小説『ヌシと夏生』10_ろくろ首
「……失礼しました。厚かましくて、すみません」頭を下げる夏生に「いえ。こちらこそお嬢さんにお酒を勧めすぎたかもしれません」と、返すものの不安そうな表情だ。
「ところで奥様は今日のことは?」
「もちろん首のことは黙っています。……ちょっと変わった仕事をしている昔の友人が来るって説明しています。それ以上のことは何も」
きれいで、料理も上手で、親切で。夏生だったら、こんな人と結婚できるのだったら、首が伸びるくらい、どうってことないように思う。なんとなく取り残されたような感じで