小説『ヌシと夏生』21_テルテル坊主
個室は最上階にあった。病院にこんな部屋があるのか?と驚くくらい、ホテルのようにきれいな部屋だ。
「高いんじゃない?」つい、お金のことが気になる夏生に「うちの店、お陰様で今繁盛してるから」と、猫が小さく胸を叩く。
「これは立派な部屋だな。しかしこんなにしてもらうわけには……」
老人が心配そうにいうと、「私たちも遠足みたいな気分で楽しいから」と人に化けた猫が前髪を細い指でくるくるいじる。元の姿を知っているだけに、一体どうやってここまで精巧に化けられるのだろう?と不思議でならな