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日本人が意外と頑固なのは稟議文化のせいなのか[The culture map⑤]

私には部長からの指令でメンターをさせてもらっている年上中途のメンティーがいる。

普段は海外本社の外人としか仕事をしていないので、近頃は部長以外で唯一コミュニケーションをとる日本人なのだが、

彼のお悩みポイントでよくあるのが
昔決定したことが覆された
もしくは
決定事項が文章化されていない
という案件。

「そーなんですねーそれは大変ですねー」
とか言ってオウム返しで適当に受け流しつつ、

#役立たずメンター
#一応満足して帰ってくからよしとしている
#相槌さしすせそ。神

内心、覆されるとか日常茶飯事だけど、
長年別の会社にいた中途だから文化の違いか?
日本と本社の違い?
と可能性のあるファクターをぐるぐる考えたりしていた。

そんな私の疑問を解消してくれたのが、

カタツムリスピードで読み進めている本
異文化理解力(The culture map)
第5章。

今回は国別の意思決定方法の違いについて、
本の紹介と共にいつも通り越境リモートワーカーとしての本社勤務体験談を織り交ぜて述べていきたい。

意思決定の種類と誰が決めるか

意思決定の方法には、

A) トップダウン型: リーダー等のある一人が決定するパターン。

B) 全員合意型: グループで合意して決めるパターン。

の二つがあるという。

トップダウン型と聞くと
リーダー以外は何も意見が出来ない恐怖政治を想像してしまうが、

そうではなく、

リーダーから降りてきた決定事項は、
意外とその瞬間の決定事項みたいな感じで、
その後も話し合われては変更/微調整が可能。

一方の全員合意型は、話し合いを重ねた結果の最終『絶対的』決定事項なので、
その意思は強固。

一歩踏み込めば引き返せない世界へと
突入するのである。

各国の意思決定と上司部下の関係性

さて、一つ前のこの本の紹介記事で、
国別の上司部下の関係性をテーマにした記事を書いた。

基本的には上記記事における、

社長のチャリ通が許される国(フラットな組織が一般的な国)=全員合意型

社長のチャリ通が許されない国(ヒエラルキーが明確な組織が一般的な国)=トップダウン型

と考えて良いようだが一部例外国があるという。

その例外の最たる国が日本とのこと。
(※ちなみに、その他の例外はアメリカ/ドイツだが今回詳細は省略)

日本は上下関係ヒエラルキーがはっきりしている『社長のチャリ通なし派』にも関わらず、何故か意思決定は全員合意型

それを象徴するのが稟議だと本の中でも紹介されており、

これを知らずに日系企業にて、稟議終了後の形だけ会議に本気で意見を持っていって撃沈したノンジャパニーズのエピソードが取り上げられている。

稟議」って

こういう漢字なんだ

って初めて知ったレベルで今までの社会人人生「稟議」というものとは無縁なのだが、

稟議とは、会社・官庁などの組織において、会議の開催により消費する時間を減らすため、担当者が簡易案件を作成して関係者に回し、それぞれに同意のための捺印と承認を求めることをいう。
出典: 天下のwikipedia

実際に「稟議」というものはなかったとしてもリンギカルチャー自体は日本人の意思決定における根本を形成しており、根強いのかなと外資勤めの私でも思ったりする。

実例: 日本と海外の意思決定の違い

自分が会議に参加する際、
日本法人vs本社でどう違うか、そして自分の対応をどう変えて上手くいったかを振り返ってみた。

【海外本社の仕事で意思決定をする場合】

・ステークホルダーが全員集まった会議中に全てが決まってしまうので言い忘れがないように、理論武装していく。
・意見のぶつかり合いの末決定される。
・が、次の日新しい情報が出てきて誰がが覆す(こともある)
・そして、お主あれだけ強く主張してたのに意見変えるんかーい!って人がいる。
・なんなら前の担当者の記録はなかったことにされる。
・ボスが勝手に会議のアジェンダを決めて、知らぬ間に自分の名前が発表者にのっていることがある。
・上から降りてきた決定に皆ぶつぶつ言うが、なんだかんだ適応していく。

【日本人のみの会議で意思決定する場合】

1回目の会議はだいたい情報共有やいろんな事実をあーだこーだ出すだけなのでどうせ決まらない。
・その後次の会議の前に1人1人呼び出し合意をとっておくのが早く決まるコツ
(the nemawashi★)
・特に、本気で決めたい時は事前に部長や職位が上の人とミーティングをしておくと更にスムーズ。
・だから決定タイミングの会議はわりと穏便
・前の担当者の決定が記載された議事録を印籠のように掲げて、状況が変わっても岩のように動かない人が1人はいる。
・会議のアジェンダは事前に合意される。
・何のお伺いもなく、上から決定事項が降ってきようもんなら「聞いてない」が多発する。


そりゃ日本のようにもんでもんでじりじりと全員で何度も確認して積み上げた結論は、覆らない。

メンティーの怒りも
ここから来てるのかなと納得。
(そして役に立たないメンターでごめんなさい。とこの場を借りて謝罪)

理由が分かるとスッキリ。


今回は日本vsその他にフォーカスして述べたが、欧米の中でも相対的に全員合意型だと感じる国・人もやはりいるので、

どういう意思決定プロセスをする環境や国なのか見極めていけたら効率良く仕事が進むのかな、と思ったのでした。


以上、5章でした。ご参考までに。

第1章↓


第2章↓

第3章↓




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