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「ヘルプ・ミー」と「おーい戻ってこーい!」

職場のEさんの話。

せっかち気味なEさん。手早い動き、手早く仕事をする!が信条らしいとうかがえるほど、いつもスピード第一で、仕事をされている。

このあいだのメニューで、刻み海苔をかける手順があった。それをすっとばしたのか、かける量が少なすぎたのかよく分からないけど、残っているお皿の量からして、海苔の余り具合が半端でなかったらしい。

所長が「これどういうこと?」というと、Eさんがなんだかよく分からないけども、早口で「すみません! 〇*▲■✕〜!」と言った。

私は別メニューの提供で必死だったので、Eさんがなんと言ったのか分からない。言い訳だったのか、釈明だったのか。ちゃんとした理由があったのか。

で、次に聞こえてきたのが、

Eさん「表行って、海苔かけてきます!」

だった。

そりゃ、お金もらって食事の提供してるのだから、海苔も大事だけども。いま、猛烈に忙しい時間(ラッシュ時)だよ。「おーい、行くなぁ、戻ってこーい!」と私は心の中で叫んだ。

厨房の中は、一瞬沈黙が訪れた。

その沈黙を「了解」ととったのか、本当にEさんは海苔の配布に出かけてしまった、ようだ。

ようだ、というのは、私は別メニューの提供に必死で、よそ見をしている場合ではなかったから(繰り返し)。

Eさんの声が聞こえなくなり、所長が「どういうこと!?」と言うのが再び聞こえて、行ってしまったらしいと背中で判断した。

おーい、戻ってこーい! 行ってはならんぞー! こんなラッシュ時に、海苔で慌ててる場合ではないよー(私の心の声)。

行っちゃったみたいだけど……。

手早く仕事をする、を第一に考えるあまり、忘れ物もしちゃう。それは、人間だから当たり前。でも、そんなに慌てなくても、手早くなくてもいい場面でも、猛烈に爆走してしまうEさん。今回の海苔事件はその最たる例なんだろう。

そんなあわてんぼうなEさんをフォローしたくても、Eさんは誰かの手を煩わせることを悪のように感じているのか、手助けすると、ものすごい勢いで「ありがとう」を繰り出すか、「助かります」を矢継ぎ早に言う。「邪魔するな! 私は1人でなんでもできるんだから!」と言わんばかり。

「ありがとう」「助かります」の連呼を受けた側は、「あ、ああ。そう?」と思うと同時に、なんだかEさんの邪魔をしたのかなと思って、逆に申し訳ないような気分にさえなる。結果、Eさんの暴走を誰もが手をこまねいて「見ているだけ」になる。

同じ職場にいて思うのは、Eさんの雰囲気は殺伐としているということ。

そう、急がなくても。慌てなくても。1人で頑張らなくても。。。

私も、なんとか1人でできることはやらなきゃ、やりきらなきゃと思いがちなんだけど、Eさんの姿を見ていて、誰かと一緒に働くということは、持ちつ持たれつであるんだよなと思う。一緒に働くのだから、1人が完璧である必要は、ある意味ない。1人の未熟なプロフェッショナル意識は、穏やかな働く場を壊してしまうのかもしれない。仕事もうまく回らなくなってしまうのかもしれない。

塩梅が難しいのだけど、誰かに頼る、助けてもらう、ということも、必要なスキルなんだなと感じる。

Eさん、あの時たぶん、「海苔どうしましょう」って、所長なり、みんなに聞けばよかった思うよ。私には答えはないけど、誰かが何かを言ったと思う。ちゃんと乗せなかった海苔は、料金のうちだから、1回は叱られるけども、それはミスなんだから仕方ない。それからの善後策は、所長の指示なり、みんなからのアドバイスを待ってから配りに表に出れば良かったと思う。

Eさん、慌てなさんな。

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