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日本の美意識

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日本の美意識、余白、に関して調べるために読んだ本
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2023年2月の記事一覧

日本の美意識~『風姿花伝』より~

なんで珠光は侘び茶を思いついたのだろう、と思って、世阿弥の美意識に影響された説があったので、世阿弥の「風姿花伝」の美意識の部分を拾い読みした。芸や美について、観客視点で説明してあり、色あせずわかりやすかった。

芸能とは、人のこころを和らげて、感動を呼びおこすもの。とか。

花(=美)とは、珍しいなあ、面白いなあ、と思うこと。それは四季折々の草木の花が咲いて散りゆくのに感動するのと同じこと。とか。

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日本の美意識 ~小泉八雲『日本の心』より~

”日本の絵は万事非個人的で暗示的である。”
"Everything in a Japanese drawing is impersonal and suggestive."

”日本の画家が提示するのは、一般的な類型であって、わずらわしい細部をごてごてと描き出すことはない。それでいてより大いなる法則をこのように完全に究め尽くしているので細部の暗示は見事というほかない。”
"Observe that

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日本の美意識 ~長谷川等伯「松林図屏風」より~

余白の美は、長谷川等伯の松林図、と暗記した気がする。等伯は南宋の牧谿の画に影響受けたらしいので、牧谿画の受容が室町時代だから、余白の美は桃山時代に意識化された美意識なのかな。

長谷川等伯「松林図屏風」

長谷川等伯が私淑した、南宋時代の牧谿の水墨画は、室町時代に茶掛けとして人気だったらしい。好んで日本に輸入された理由は、独特な霧の中のような表現が好まれたとか、死後中国での評価が下がったので輸入し

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日本の美意識 ~珠光『心の文』より~

”この道の一大事は和漢のさかいをまぎらかす事、肝要〱、ようじんあるべき事なり。また当時、ひゑかるゝと申して、初心の人体がびぜん物・しがらき物などをもちて、人も許さぬたけくらむ事、言語道断なり。かるゝと云う事は、よき道具をもち、そのあぢわひをよくしりて、心の下地によりてたけくらみて後までひへやせてこそ面白くあるべきなり・・・。”

「心の文」茶人珠光から古市澄胤へ書き送ったもの。
「冷える」「かれる

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