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博物館のこと「縁切寺満徳寺資料館と遺跡公園」

3月10日 晴れ
縁切寺満徳寺資料館と遺跡公園

大学で知り合った親友に導かれた「群馬をめぐる旅」の途中で訪れた資料館。

資料館の入り口はすっきりした感じ。実際に使われてたお寺(満徳寺旧本堂)はとても静かな場所にありました。「徳川満徳寺」という名前でも呼ばれてます(こっちが正式?)。
例によって外観しか撮っておらず、館内・資料の撮影はありません。だから撮れないんだってば。

あんないばーん。広いよひろい。

お寺さんに「夫婦仲を切りたい」女性(妻)が駆け込んで、なぜ縁を切りたいのかをお役人と話します。当然、男性(夫)は別れたくないから、必死になって追っかけてきます。身体の一部をお寺の敷地内に入れなきゃダメなのかと思いきや、敷地内に履き物の片方を投げ込んでも「駆け込んだ」ことになるというのを、映像資料(イントロダクションみたいなビデオ映像)で知りました。アニメ風で、見やすくてよきでした。そのまま教材として使えそうな感じしましたよ。
駆け込んだら家に戻らないで、夫や親族を呼び出して事情聴取をしたり(妻は話し合いの場にはいないのが前提)、どうにか話し合いをさせて解決させたり、お役人が家まで行って話をしたりしてたそうです。「三下り半(夫に書いてもらわないと離縁そのものができなかった)」がないと離縁できなかったので、お寺に夫を召喚して書かせる、なども手段としてはあったそうです。
不満を募らせたら、そりゃあ別れたくもなりますよね。今は弁護士とか、然るべき機関とかに相談するのが一般例ですが、当時はこの縁切寺がその役目を担ってたわけです。なにかあってからだと遅いし、早めに駆け込む人も多かったのかな。

この間、女性はどうしてるか。お寺に住まわせてもらってるので、お手伝いなどをしてました。雑用に近い感じですが、そこで考えが改まったら離縁はしないで戻るとか、25ヶ月(お寺が女性を匿える期間には上限があった)経っても夫が離縁状を書かなければ強制的に離縁させるとか、当時の苦労と工夫がたくさんあった資料が詰め込まれてました。
実際に夫が話をする場面の立ち位置と解説が模型として残ってまして、時代劇で見るような「お屋敷で説教」的なやつの縮小版という印象を受けました。書記係がいたからこういう記録も残ってるんだよな。資料ってだいじ。

ちなみにこの幕府公認の縁切寺。日本全国にあったというわけではなくて、群馬県の太田と、神奈川の鎌倉にしかなかったそうです。もともと千姫(徳川家康のお孫さん)がお寺に入って離婚してから再婚できたというのがあって(処刑されそうになってた自分の子を、みずから命を張って助けて、その子が縁切寺の住職になったとか)、幕府公認という形になったんですって。公認というか「縁切寺の制度を維持するため」みたいなのがあったようです。なので遠方から来た経路の展示もありましたが、めちゃくちゃ遠くから来てた方もいたようです。西日本からの方はいないようでしたが…存在が知られてなかっただけかもしれませんね。
幕府公認なんだから全国に知れ渡っててもいいんじゃないかと思ったのですが。まあ江戸だし徳川だし……それで東日本一帯にしか広まらなかっなのかな、とか、徳川の圧があったのか? とかいろんな考えてしまったわけです。
こちらもイントロダクションを挟まないで見学するのと、挟んでから見学するのとでは理解の程度が違うと思いました。当時の記録、資料だけじゃよくわからん私にも優しく教えてくれました。

縁切寺ということもあり、実際に切りたい縁と、招きたい縁を願うことができると教えていただきました。願いを書いた紙を厠(かわや:トイレのこと)に流すという方法なんだそうです。

トイレ…  (・∀・)

最近はトイレに縁があるな……トイレは浄化を意味するから、これは腹落ちしましたが。切りたい縁は流してしまえということのようです。何度も何度もトイレに関する夢を見たからなのか「こいつトイレに縁があるんじゃねえの笑」っておかしくなるレベルでした。トイレ掃除したらいいことあるかな。

「縁切り札」(白地に黒い線)と「縁結び札」(白地に赤い線)という札があって、この紙にそれぞれ切りたい縁と招きたい縁を書きます。
それぞれ書く筆記用具、流すトイレ(黒と白がある)の色も決まってるという徹底ぶり。

これは「お札」じゃない。「外袋」

白地に黒→縁切り 黒ペンで切りたい縁を書く
白地に赤→縁結び 赤ペンで招きたい縁を書く

縁切り札は、白いトイレに流す
縁結び札は、黒いトイレに流す

このように案内されました。

一種の願掛け・おまじないに近いようなものですが、ひとまずやってみることに。じわっと溶ける紙。書いた文字もじわっと溶ける…
なにを書いたかは内緒です。



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