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お題小説まとめ

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お題をお借りして書いたショートストーリーをまとめました。 短いものばかりなので、ちょっとしたスキマ時間にでも。
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記事一覧

お題小説『手料理・浴衣姿に目が留まる・募る思い』

 食卓には鱈の西京焼きと根菜の炊合せ、香の物に味噌汁、米飯が並んでいた。見事な一汁三菜だ…

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お題小説『昨夜の名残・愛の炎・豊かに流れる髪』

 彼女は窓の外に広がる夜空を見つめる。月はおろか、星さえも見えないただ闇が支配するその空…

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お題小説『セピア色・僕と違う華奢な手・両想い』

 『思い出はセピア色』だなんてフレーズは、誰が言い出したんだろう。  僕の記憶に残ってい…

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お題小説『嘘をつく、嘘じゃないかも、君にだけ』

 ベンチに座って脚を伸ばす。バス停の屋根が落とす影からはみ出した部分が、じりじりと焼け…

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お題小説『夢見る恋』

 目を開くと、見慣れた部屋の風景がリエの意識に飛び込んできた。しばらくぼんやりとそれを…

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お題小説『悟られないように・浸入される心・不安になる気持ちにも慣れたし』

 そう。この笑顔だ。  いつも当たり前のように向けられる幸せそうな笑顔に、私は溜息を漏…

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お題小説『もがれた翼・艶っぽい声・薬指』

 左手にそっと細い手が乗せられた。次いで、腕に僅かな重みと温もり。 「私たち、一体何をしているのかしらね」  面白くもない言葉だった。続く笑いはねっとりと纏わりつくような艶っぽい声。 「全くだ」  俺も面白くない答えを返す。何を返したところで、俺たちが罪を重ねていることもこれから何をするかも、変わることはないのだから。 「これ、もう要らないでしょう?」  手に乗せられていた白い指が、俺の薬指に嵌る指輪を撫でた。 「捨ててしまいましょう」  そう言う彼女の左手に、もう指輪は

お題小説『花柄の帽子・指輪がころり・眠れない夜』

「――昨夜さ」  目の前に座る磯辺がそう切り出した。俺は寝不足で重い頭を傾げると、手に…

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お題小説『いつかは二人で・ベストな関係・放課後の校庭』

 ふわりと翻るスカートの裾を眺めていた。雨が浄化していったかのような澄んだ空気の中でも…

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