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【助けたい気持ち】ミラーニューロンと日本の道徳

はじめに

アリは高度な社会性を持ち、危機的な状況になると協力しあう。巣の防衛や狩り、巣の修復など、仲間を助ける行動は、よく観察される。これらの行動から、アリは仲間を助ける能力を持つと言える。人間もアリと同様に、困っている人がいたら人を助けるという行動が道徳的な問題なのかについて考察してみた。

日本の道徳

日本では、江戸時代からの慣習により、共同体的な行動が重んじられてきた。神道や仏教、孔子思想などの文化的な影響により、人間は他人と共同で、助けることが良い行為であると教えられることが多い。この価値観が利他的行動につながり、日本人の日常に助け助けられる環境が形成されている。

脳の神経メカニズム

1990年代に、イタリアのパルマ大学の研究チームが、霊長類の脳における神経活動の観察から始まった。そして霊長類が、他の個体の行動を観察すると自分がその行動を行うときと同じように活動する神経細胞を発見した。その神経細胞をミラーニューロンと名付けた。ミラーニューロンは他者の行動、意図、感情を理解し、共感する能力に関与しており、社会的行動や言語学習、模倣学習などに重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、その正確な機能や役割については、まだ完全には理解されていない。

ミラーニューロン

ミラーニューロンは、人間が成長することによって強化されると考えられる。例えば、子供の頃は人の感情に対する共感能力が低く、涙もろさや感動することは少なかったが、年齢を重ねてさまざまな経験を積むことで、他人の行動に共感したり、感動したりする能力が高まる。これは、ミラーニューロンの成長が、自分が相手の立場に立ち感情を共有し、共感する能力が増していると考えられる。
このプロセスは、つまり自身の感情がミラーニューロン化しているのかもしれません。

そして、重なり合う

日本人は道徳的な教育から、お互い様と助け助けられる関係が現代まで続いている。年齢を重ね、さまざまな経験を積むことで感情がミラーニューロン化していく。道徳心とミラーニューロンにより、人は誰かを助けようとする行動を引き出すことができるようになる。

まとめ

日常から得た経験やスキルは、意識せずに無意識で行動できるようになる。日本人は、道徳心やミラーニューロンの成長により、困っている人を助けたいという思いが無意識に出来るようになるのだ。無意識な行動だから、本能と勘違いしてしまいがちだが、実際には日本における伝統と培われた経験でできた技術なのである。

訪日外国人が困っていた際に、日本人がとても親切に対応したことに驚くのは、日本人が無意識に助けようとする親切心である。
日本人の助けようとする親切心は、日本人自身が気づいていない特殊な能力の一つである。


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