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沈没の街

2023/6/14

宿の無料朝食を頂き、チェックアウト。
午前7時半出発のミニバスに乗る。トヨタのハイエースだ。
これでルアンパバーンから次の街、ヴァンヴィエンへと向かう。

各宿から乗客を集めて周るみたいだが、私の宿へは2番目にバスが到着したので、席を選べた。
3列シートが通路を挟んで2席と1席に別れている。

最後列から一つ手前の、1席窓側を確保。


これが後にファインプレーとなる…。


席は全部で10席なのだが、あっという間に埋まった。
まぁ、窮屈だとは聞いていたので覚悟はしていたし、この位なら問題無い。

そして走り出す。
アスファルトはすぐに無くなり、砂利道が続く。
なかなかの悪路だが、酔い止め薬も飲んだし、大丈夫だろう。

目を瞑り、寝て過ごそうとしていた矢先、またバスが止まる。


『ん、なんだ?』



ゆっくり目を開けると、そこには3人のアジア人が。


『えっ…?だって席もう無いじゃん』


それよりも



『なんだよあの大量の荷物…業者かよ…!』


電子ピアノからプリンター、植木鉢まで、どう見ても載せられない程の荷物。

それを既に満席のバスに載せようとしてる。


『まぁ予想外だけど、こういう事よくあるよな。毎回ホント想像を越えてくるわ…』


ハイエースの通路にブロック型の箱を置き、そこに乗客を座らせる。

肩を窄ませ、とても狭そうだ。
通路なのだから当然だ。

もちろん背もたれなど無い。
そりゃそうだ、だって通路なのだから。

荷物は乗客の足元だけでなく、膝の上まで載せ、あらゆる空間を人と物で埋めていく。

そして発進。

私は窓側なので、もたれかかる事が出来る。
それだけでも疲労が多少は軽減される…。

と思っていたら、また停車。
今度は男性1人が、やはり大量の荷物を準備して待っている。

『いやいやいや…流石にもう無理だろ…』

運転手とその乗客が何やら交渉している。
どうやら、次のバスに乗る事で合意したみたいだ。

『だよな、だってもうギュウギュウ詰めなんだから。無理無理。』

これで、もし仮に次の乗客が来ても、もう乗せないだろう。既に1人断ってるんだから。



10分後、バス停車。




今度は何と、3人組の女性達が信じられない程の荷物を置いて待っている。

所謂、爆買いというやつだろう。


『無理無理無理、交渉の余地も無いって』








『……乗せるだと………!?!?』


信じられなかった…!
本当にもう乗せる場所も積むスペースも無い。

どうするのかと思っていたら、最後列の背にあるトランク部分の荷物を、全て外に出し始めた。私のバックパックも。


『おいおいおい…』


そうかと思ったら、その荷物をハイエースの屋根に括り付け始めたのである。

『おいおいおい…!』

これでまだ半分ほど…
実際はまだまだ屋根に載せた

そして、家畜の如き扱いで再出発。
完全にドナドナ状態だ。



ひたすら続く悪路に揺られ、3時間ほど経過し、何も無い山中でまた停車。

眠っていた私が目を開けると

運転手がうなだれている
他の乗客は一旦外に出て休み始めた



どうやら、この先で落石があったらしい

立ち往生する車の列

通行止めも辛いが
岩が車に落ちていたらと思うと…

空気が悪いので、バンダナで鼻と口をガードする


約1時間半後。
ようやく通行可能になり、再び走り始め、山を下りた先の集落で昼食休憩に。

角煮と煮玉子と御飯
チキンスープはパクチー入り
30,000キープ(約240円)
見た目が客に出すクオリティではないが
味は日本の角煮に近く、美味しかった


その後は何事も無かったが結局、ルアンパバーンからヴァンヴィエンまで8時間。

一先ず無事に到着


夕方前に着いたので、荷物を宿に置き、軽く歩いてみた。

ここでも寺院、仏像は健在…


さぁ、ヴァンヴィエン
バックパッカー沈没(長期滞在してしまう)
と言われる街

ここで何が起きるのか


2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。