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茶道具

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2021年11月の記事一覧

送り干支

送り干支

毎年12月の稽古日には、その年の干支の

道具を使います。「送り干支」と言う、誠に

ゆかしい習わしです。恩師三田富子先生の

稽古場に通ってから、初めて知りました。

あの18歳の年から年の暮れには、必ず干支の

道具・何かを登場させます。

今年の分は洒落た「絵馬に牛の絵」です。これは

馴染みの道具屋が、十二支全部をつくらせました。

しかも一年おきに、字と絵にした凝り様です。

大体多いの

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茶会の道具 茶碗

茶道では無く「邪道」かもと、思われる事を

しています。茶会でお客さんに出す、茶碗です。

主・替え・仕舞・数・などの茶碗の他に、もう

一碗大切な茶碗が有ります。

それはお詰めさんに出す、一碗です。{お詰めさんへ

大サービスね}と言って、差し出す茶碗。これが

中々難しい。先に挙げた茶碗とダブらない様に、

考えるのはどうして・・・

12月12日にささやかな茶会を担当します。

一年遅れの

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稽古の茶道具 写し物

稽古の茶道具 写し物

長次郎作赤楽「検校」の写しを、稽古に使いました。

藤村庸軒が師である、宗旦の茶話を記した「茶話指月集」

からの銘です。利休居士が長次郎の元を訪れると、見事な

茶碗が残っていました。これを見て「皆は検校だ」と

言われたとか。検校とは盲人の僧侶で最高の位です。

琴の名人八つ橋検校・大学者塙保己一などでも有名な

位です。

この話を社中にして{皆は同じく道具が解らないけれど、

とても検校で

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茶道具百話 鴨

茶道具百話 鴨

11月半ばの稽古に、この香合を持参しました。

高麗青磁で出来もマアマア、気に入りの品です。

炭手前でこれを使い客に出すと「大川君この鴨、

太り過ぎよ。北から長い旅をして来たから、きっと

痩せている筈・・・」恩師三田富子先生は仰せでした。

稽古場中が笑いに包まれました。

私は{それでは春になり、鳥の帰る季節にもう一度

飛んで来ますから}こうお答えしました。

稽古の茶道具 寸法

「先生、水指が先月より大きな物ばかり

出ていますね」水屋から声が聞こえます。

{良い質問、どうしてだと思う?}「炉で

釜が大きくなり、水を沢山使うから・・」

{近いけど惜しい、炉になると柄杓が大きく

なるでしょう。すると水指の口も広くないと}

こんな風に道具を見て、質問してくれるのは

うれしい事です。

常々{この棗、どうして出てると思う}{何故

今週の取り合わせで、この蓋置?}な

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茶道具百話 てつや茶碗

茶道具百話 てつや茶碗

熊川こもがい茶碗は、色々魅力の多い焼物です。

端反りの口・深い見込みの茶溜り{これを鏡と言う}・

竹節の高台などの約束が有ります。

あまり上手く写した品が少ない中、ヤフオクでこれを

見出しました。やや深目なので、主に炉の時季に

使っています。

これを初めて使った時「先生この茶碗は何と言うの

でしょうか?」「てつや茶碗ですよ}「てつや!?

ってどんな字を?」{熊川でコモガイと読みます

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稽古の茶道具 追善

稽古の茶道具 追善

11月は悲しい月で、月の半ばに祖父・父・

伯母二人・の命日が続きます。

毎年11月の二週目は「追善」の道具組です。

寄付   落葉両三片 色紙

床    日々庵筆 画賛

花    数珠玉・嵯峨菊 花入 瓦形

香合   信楽 伽藍石

他に茶入に「餓鬼腹写し」茶碗に「奈良絵」

などを使いました。

軸は珍しい画賛で、恩師三田富子先生の師

「鈴木宗保先生」の画賛。鈴木先生は円能・淡々・

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稽古の茶道具 禅語

稽古の茶道具 禅語

長い間炉開きには、「無一物」の一行か横物を

使って来ました。これは禅語的な難しい意味より、

炉の点前を忘れてしまった社中への嫌味なのです。

{炉の点前は無の状態でしょ!!!}

今年は「無一物中無尽蔵}の一行を使います。

果たして社中の人々の可能性は「無尽蔵」かどうか?

若い頃は炉開き=目出度いで、そんな語句ばかり

掛けていました。中年以降考えが変わりました。

だが禅語は悟りの境地の

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