天体観測とSDGsの繋げ方
小学5~6年生向けのSDGsを学ぶキャンプにて、「宇宙プログラム」講師として参加してきました。
当初は天体観測だけの依頼だったのですが、せっかくなのでSDGsと繋がる内容にさせてもらいました。
宇宙×SDGsを思いついたキッカケ
SDGs(持続可能な開発目標)を知ってもらうためには「なぜ目標を設定する必要があるのか?」という背景の説明をする必要があって、地球・日本が抱える問題(貧困・差別・気候変動・人口増加・少子高齢化)を知ることからスタートになります。
現状を把握することは大事だし、必要な作業だけれどネガティブな問題が山積しすぎてしんどいなあと個人的には思う。
SDGsは「地球に住み続けるためには?」という問題に対する目標だけれど、「月や火星に住み続けるためには?」という視点を見せると、ちょっと違う方向からSDGsの問題が考えられるのではないかと思い主催側に提案しました。
宇宙開発から技術が還元されて我々の生活に根付いているものは多い。
他の星に住むための課題解決策は、地球に還元される。
その考え方のベースはSDGsの目標と共通するものが多いので、親和性高いんじゃないかなって。
子供たちへのプログラム内容
今回のキャンプにおいての宇宙プログラムは3つで構成しました。
・双眼鏡&肉眼による月の観察
・「月に住み続けるため」の課題のディスカッションと発表
・「月に住むということ」というテーマの講義
月をじっくりと見てもらって、あそこに住むには・・・ということを少しリアルに感じてもらいたいと思いました。当日、晴れていれば土星、木星が見えていて賑やかな空なのですが、あえて月メインの観望としてコンテンツは組み立てていました。
(空き時間に見てもらう用に天体望遠鏡は持って行ったけど)
月をリアルに感じたところで、子供たちには各チームでディスカッションをしてもらいます。
「月に住む」のではなく「月に住み続けるためには」どんな問題が出てくるのか?を考えてもらいました。
子供たちから出てきた意見はこんな感じ。
「月のボコボコは隕石がぶつかった証拠だから、当たらないように囲いが必要」
「なんか分からんけど水が大事やと思う」
本当は全グループの意見が聞きたかったけれど、時間の都合上できず無念。
月に住むということ(っていう講義)
ディスカッションを終えた後、子供たちにはこんなことを伝えました。
SDGsの実施期間として設定されている2030年は、月面基地に数名~100名ほど滞在する計画になっている。月に住むことは、すぐそこにある現実。
ただし、月を目指す人はさまざま。
・資源が欲しい人
・重工業を地球から月に移したい人
・火星への中継地点に使いたい人
・観光がしたい人
・研究がしたい人
色んな思いを抱えて月を目指す人がいる中で、キッチリと目標やルールを決めないと争いが起こる。
住めるはずのない月や火星に住むためには、地球とは違った常識を構築していく必要がある。違う星に住み続けるためにもSDGsの目標は土台となる。だから、移住するために開発した技術はきっと地球のために役立つものとして還元できるんじゃないかと思う。
例えば、月で住み続けるためには「ゴミ」という概念自体を捨てて全てをリサイクル・リユースできる循環システムを整える必要がある。イメージとしたら月は酸素が無いので地球のようなクリーンセンターで燃えるゴミを燃やすようなことはできないよねって話。まさに「つくる責任、つかう責任」の考え方が必要になってくる。そのために出てきたアイデアや技術はきっと地球の環境保全にも役に立つと思う。
宇宙に目を向け、地球の恵まれた環境に気づいて欲しい。そして地球を大事にしてもらいたい。そのためには、色んなことに興味を持ち学んでほしい。
そんな話をしていたな~って、月を見るたびに思い出してくれることを願いながら子供たちに語りました。
実際は、雨が降ったので月を見せることができませんでした。でも、宇宙についての豆知識を織り交ぜながら、今回の話をしたので好奇心は刺激できたんじゃないかなと思います。反応は良かった。
大阪の元気な子供たちはツッコミも鋭い。でもツッコミがあるというのは、話を聞いた上で、自分の思ったことをちゃんと言語化できているということでもあるので、私はめっちゃ嬉しいし楽しかった。
このコンテンツ、もっと精度を上げてスポットじゃないものに仕上げていこう。。。SDGsの変わり種として使ってもらいたい。
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