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5月23日(水)都市をつくった先に残るものは

取材でヴァタナックキャピタルタワーという、プノンペンで有数の高層ビルを見る機会があった。設計した人絶対ただもんじゃないだろ、と思い帰って調べてみると、仁川国際空港京基100、ロンドンのチャリング・クロス駅などを手がけてきた、テリー・ファレルの事務所による作品だった。

このビルを見ること自体は建築好きのわたしにとって心踊るものだったけれど、なにか頭の片隅にひっかるものを感じるので、今回はそれを書き残しておこうと思う。

プノンペンに着いたときに、まだなにも知らなかったけど、この街も高層ビルが並ぶ、それこそ隣国タイのバンコクのような姿を目指して発展しているんだろうなと思った。実際はどうかわからないけど。

あと何年か何十年かかかるのかわからないけど、人が若くて、資本もたくさん入ってきて、外国人も増えて、道も整備されて、このまま周りの先進国と呼ばれる国の発展をなぞっていけば勢いが止まることは無いんだろうなと思う。

でも、今の東京がどうしたらいいかわからなくなってるみたいに、いつか頭打ちになることもわかっている。スクラップ&ビルドでひたすら新しいものを造っていけば価値になる時期はいつか終わる。その先には、他の都市とどう差別化して発展させていくか、という試行錯誤が始まる。

そしてそれに気付いたときには、もう色々遅かったりする。ひたすら他の都市の姿を追ってきたあとに、あれ、自分たちの個性って、アイデンティティってなんだったっけ? と思う。そういう形のないものは、意識しないとどんどんこぼれ落ちていったりする。他の国や都市の発展をなぞっていくにあたって、よその文化を「取り入れる」を超えてはいけない。

そんな風に隣の国のことばかり気にしていないで、自分の国のよさも生かしていってくれよ、と、プノンペンの摩天楼(というほどの高さはないが)を見て思った。

もしいただけるなら......都心までの交通費にさせてください......