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妙典に新規オープンした無印良品がほんのりと地元色を出している件について

閉店ラッシュの行徳をよそに、ここ1年ほど両隣の南行徳と妙典で大型店が勝負に出ています。
間もなくオープン1周年を迎えるSOCOLA南行徳
対するイオン市川妙典店も、昨年秋妙典民歓喜の中オープンしたスタバ(初日朝は100人ほど並んだと聞いています)や今回の無印良品進出。
西友行徳店から撤退してから数年、お隣妙典とはいえ無印が戻ってくるとは。
どちらも浦安にありますが、市川や船橋からは川に隔てられた小島という土地柄、また妙典のイオンは今は亡きSATYが発祥だったことが影響しているのか、いまどきどこのショッピングモールにもありそうなこの2つは進出していなかったのです。

さて9月16日にオープンした無印良品 イオン市川妙典
オープン前から地元密着を意識した店舗作りに尽力している点など、西友行徳店時代とは随分と戦略に差があるような気がしてなりません。
セゾングループが存在していた頃とは時代も違いますしね。

地域とつながる戦略を具現化した無印良品イオン市川妙典店

今回のイオン市川妙典出店に関しては、ローカライズ戦略を具現化したものと思われます。
オープン直後の3連休に訪れた時の模様はこちらのレポをご覧ください。

訪れたのは地域と連動した期間限定マーケット「つながる市」開催日。
地元ゆかりの店舗や団体による物販や、前日にはフードバンク開設と広範囲な出店ラインナップ。
またエレベーター前には千葉県内の名産品を集めた「ちばの良品」コーナー設置。
行徳のシンボル神輿も飾られてますがさすがに非売品でした。

また千葉県内の古民家や旅館などから不用品回収し再販売するリユースプロジェクト「おゆずり良品・千葉」のコーナーも出店。
自社製品の消費を促す立場のグローバル小売業とは思えぬコンセプトが集結しています。

これだけでなく公式サイトの店舗ページを見ると、周辺情報の充実ぶりには目を見張るばかり。
地元のお店や施設の情報がGoogle Mapと連動しわかりやすく掲載されていて、地域情報ブログ主として大いに刺激される内容。
アプリで店舗フォローすれば容易に情報が得られる強力地域情報ツールと化しています。
他店舗のページも見たのですが周辺情報を載せているところはあまりなく。
新規オープンだからこそ取材もできたことでしょうが、今後もきちんと情報更新し続けることができるか見守りたいところです。

サブステナルとローカリズム 「捨てないくらし、譲りあうくらし。」

バブル崩壊直後の流通業界にどっぷり浸かっていた身としては、無印良品のローカライズ戦略はコペルニクス的転回そのもの。
そこで改めて調べてみると、わかりやすい解説記事がありましたので紹介します。

これを筆者なりに整理すると、従来の路線よりも個店ごとに「ローカル化志向」を強め、エシカル(ethical) & リーズナブル(reasonable)を掛け合わせた「エシブル」消費を担うグローバルな存在になり、さらに世界水準の高収益体質もめざすということになります。

https://diamond-rm.net/management/82733/

良品計画の狙いは、まずサステナブル(持続可能)な地域社会の担い手としての立ち位置を明確化し、共感するサプライヤー・従業員・消費者を囲むことにありそうです。そのためには商品の価値を再定義し、商品・サービスをブランディングし直し、最低価格ではなくリーズナブルでエシカルな価格を受け入れてもらう。必要な場合は地産地消も促進する。そして、その対価として得られる適正利潤の一部をローカライズした従業員主導で地元に還元し、従業員のやり甲斐を満たすと同時に、可視化された地元還元を通してロイヤルカスタマーの支持を強める。このようなバリューチェーンを構築したいのだと考えます。

https://diamond-rm.net/management/82733/3/

サステナブル(持続可能)な地域社会の一環としてローカライズが不可欠だと考えているようですね。
それにより支持者が増えて企業イメージ上昇にもつながるとの壮大な計画。
最近よく耳にするエシカル消費のひとつに地産地消が挙げられているのも、地元内消費することで輸送コスト削減や地域雇用創出となるため。
PB商品で地元色を出すことが難しいだけに、異なるアプローチをもって地域密着化を導こうとするのも納得できます。

ユニクロのローカライズ戦略(SOCOLA南行徳の事例)

大手によるローカライズ戦略というのは昨年南行徳にオープンしたSOCOLA南行徳も例外ではありません。
オーナーチェンジによるリニューアルにあたり、それまでのダイエー→イオンからの差別化の一環として地域密着を謳うのは大いに考えられます。
オープン時の当ブログ投稿を見ていただければ一目瞭然、とくにユニクロの売場は抽選会景品を地元製品で揃えた点や市内事業所で働く方々によるユニクロ製品レビュー企画など、全面的に市川市推し行徳推しの様相でした。
なお中台製作所コラボコーナーは今夏の時点では健在。
マネキンも法被の下は夏服に衣替えしてました。

東京メトロのローカライズ戦略(妙典greener)

また小売業の枠を超えたローカライズ戦略の例としては、東京メトロ運営のヨガ・ボルタリング・ラン&ウォーク・カフェgreenerが挙げられます。
月1回開催されるちいさなマルシェは地元の生産者や小売店などと協働したマルシェイベント。
この日だけの限定コラボ商品やイベントも生まれるなど、妙典の地縁がきっかけで生まれた大手と地元業者とのつながりが、新たな可能性を地域にもたらしている好例といえます。

大手企業の地域密着スタイル 消費者にとってより身近に感じるのは

大手小売店が地域と関わるのはどんなとき?と素人の自分が思いつくのは、地域の消費者ニーズに合った商品を売るためのマーケティング研究、あとは地域清掃や祭り参加といった地域貢献活動的なことでしょうか。
これらは自社の商品を販売するための働きかけになるかと思います。

妙典の無印良品のような地域との関わり方は、売場に直接地元の事業所を組み入れる共存共栄的なもので、いち消費者の立場としてみたらこういうのもありですね。
画一的な売場におけるエッセンスにもなり得て、少しばかりの非日常感も与えて来店動機にもつながる可能性。
ネットショッピングが当たり前の時代、小売店にとっては大手が中小を飲み込む時代ではもはやないですし、共存することで親しみやすさも生まれて企業イメージ上昇につながりWin-Winですね。

一見矛盾しているかのようにも見える大手小売業の地域密着化。
商品の品揃えで差別化図りにくい場合は他のことで差別化する必要があり、その結果地元とのコラボを目指す方向にあるようです。

ひとつ気がかりなのは、年月が経過しても引き続き地元密着戦略が維持されるのだろうかという点。
これからも地元密着の視点は忘れずに、無印もユニクロもローカライズ戦略がんばってほしいです。
大企業が地元のことを気にかけてくれるのはやはり嬉しいものですよ。

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