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千葉都民の皆さん、県境を意識したことありますか?県境未定地についても

緊急事態宣言が解除されたのに続き、6月19日からは全ての自粛要請解除となりました。

お隣東京都ではまだまだ収束しているとは言いがたい現状ですが、市川市を含めた千葉県内では今のところ新規感染者数も落ち着きつつあるようでなにより。
市川市立の小中学校も1週間前倒しする形で通常登校へと切り替わりました。

このコロナ禍において、それまでの生活では想像もつかなかった新たなルールや概念が続々と生み出されてきました。
「STAY HOME」から一段進み、行動における自粛キーワードは「県境をまたぐ移動自粛」へと変化するように。

しかしこの「県境をまたぐ移動」、県境近くに住む身として非常に違和感の強い概念でしかありません。

国内パスポートって何なのよ?

緊急事態宣言が解除される少し前、「国内パスポート」なる謎のフレーズが取りざたされました。

きっかけは経済学者である慶應義塾大学の竹森教授が発したフレーズ。
驚き(とおそらく呆れも)をもった人々によりSNSなどで拡散され、なかには県境上に設置された駅(西武池袋線秋津駅)や商業施設(ヨドバシカメラマルチメディア町田・イオンモール高の原)を利用する場合はどうするんだなどというツッコミも話題になりました。
県境をまたぐ事例としてはポテトチップスの湖池屋本社も有名ですよね。

さすがに関所や通行手形的なものを設けることは現実的ではなく実現することもありませんでしたが、昨今のコロナウイルス対応を受けて、改めて県境というものを意識するきっかけになったことは間違いありません。

千葉県は県境=川?!

ところで利根川と江戸川(旧江戸川含む)に挟まれた千葉県民にとっては、県境=川と認識している方が多いのではと思います。
他県のように道一本どころか隣の家との間に県境が設けられているケースは想像つかないかもしれません。

しかし厳密に千葉県境は川によって区切られているとは限りません。
千葉県にもわずかながらですが、利根川沿いに陸続きの県境が存在します。

利根川の南側、千葉県我孫子市に一部食い込むような形で飛地と化している茨城県取手市小堀(おおほり)地区。
大正時代の利根川の河川改修工事により分断されたこの地区では、対岸を結ぶ「小堀の渡し」が運航されています。

駅から歩いて行ける千葉県と東京都の県境未定地

建物内を通る県境がある一方で、日本国内には県境が定まらず境界未定のままとなっている場所が14箇所も存在します(2018年現在)。

県境未定地のほとんどは富士山頂のような山間部や海上あるいは河川上といった水面で気軽に足を踏み入れることは難しいですが、例外的に誰もがいつでも行けてしまう県境未定地も存在します。

それが東京都江戸川区と千葉県市川市との間にある県境未定地。
新旧の江戸川が分岐する三角州の河川敷、この一画こそが東京都でも千葉県でもない場所なのです。

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https://maps.gsi.go.jp/vector/#15.109/35.700273/139.918593/&ls=vpale&disp=1

詳しくはだいぶ前に投稿したブログ記事をどうぞ。

また先日林先生の初耳学という番組でも紹介されました。

県境未定なるミステリアスな響きとは裏腹に、この河川敷には市川市管理の野球場が設置され、釣り人やジョギングする人々などが思い思いに過ごすほのぼのとした川辺です。
またすぐそばの江戸川水閘門は桜名所でもあります。

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東京メトロ東西線妙典駅から少し歩きますが、川沿いの景色を眺めながら歩けば苦もなくたどり着ける場所なので、境界に興味のある方はぜひどうぞ。

夢の国のすぐそばにもある県境未定地

続いて紹介するのは旧江戸川河口付近の水上。
東京都江戸川区と千葉県浦安市の間にも県境未定地は存在しています。
あの巨大テーマパークがそびえる舞浜の夢の国からすぐそばの場所にあります。

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https://maps.gsi.go.jp/vector/#14/35.63893/139.873322/&ls=vpale&disp=1

まさか泳いで行くわけにもいかないので、浦安で屋形船に乗る機会があるときに実感してみてください。

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浦安市では乗合屋形船の運航も行っています。
新型コロナウイルスの影響により運航自粛中(2020年5月現在)ですが、再開されたあかつきにはぜひ乗船を。揚げたて天ぷら美味いよ冬は鍋だよ。

東京○○だらけの千葉県で

緊急事態宣言解除により再開された施設の中には、入場者を県民限定に制限した事例が多々みられました。
マザー牧場も5月中は千葉県民限定に絞っていましたね。

この「○○県民限定」のくくり、やたら「東京」をつけたがる千葉県の地で暮らしていると、所属意識の曖昧さを実感させられ、同時に戸惑ってしまうことにも気付きました。
地続きの県境でなくとも無意識に県境ボーダーレスな日常生活。

そういえば東京の名を冠する千葉県内の施設はどのような対応しているのかと調べてみたら、東京ドイツ村はとくに来場者の居住地を限定してなかったようです。
そりゃそうですよ、東京名乗ってるのに千葉県民しか入場させないなんて矛盾してますもの。

しかし千葉県「東京○○」の代表格である東京ディズニーリゾートはいつ再開するんでしょうね…。
→7/1より営業再開!事前予約制とはいえ待ちわびていた方々にはなによりの朗報ですね。

県境をまたぐ移動自粛って結局なんだったの

東京都に隣接する千葉県内に居を構え、都内へ通勤するいわゆる千葉都民の私ですが、緊急事態宣言により在宅勤務となり、STAY HOMEで都内どころか県内ですらほとんど出歩く機会のなかった2ヶ月間でした。

通勤という日常のもとでは特別な思いもなく越えていた県境が、見えない線となって意識の中にのしかかった経験は、後にも先にも訪れないのかもしれません。

県内の離れた街よりも、都心のほうが物理的にも心理的にも距離が近い暮らしをしていると、果たして県境をまたぐ移動自粛というのは何のためだったのかと思ってしまいます。
その答え合わせをするのにはまだまだ時期尚早ですが、解答が示される日は果たして訪れるのでしょうか…。

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今年3月に架け替えられたばかりの行徳橋周辺ではチーバくんバリケードが繁殖。千葉県民を都内に行かせるものかと強靭な意志を感じる(いやただの工事中)。

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