税金のリアル!千葉県内市町村ごとの住民の所得額や納税額の実情
千葉県ホームページに掲載されている「令和5年度版市町村税の概況」のデータをもとに、各市町村の平均所得額や平均個人住民税額、また住民1人あたりの徴収税額等を見える化をしました。
1 令和5年度版市町村税の概況
千葉県では、各市町村における個人住民税や法人住民税、固定資産税、軽自動車税等の課税額や徴収額等を白書としてまとめた「令和5年度版市町村税の概況」を公開しています。
オープンデータとして二次利用できるよう、PDFファイルとExcelファイルの両方を掲載しています。
今回は「個人住民税の課税・所得データ」と「徴収実績データ」を取り込み、集計分析し、グラフや地図で見える化をしました。
2 県内で平均所得が高いまちはどこだ?!
まずは、令和5年度(2023年度)個人住民税の納税義務者数、総所得金額、個人住民税所得割額、賦課期日(1月1日現在)の人口等のデータを取り込み分析してみました。
平均所得金額
個人住民税を納めている人の平均所得金額が一番高かったまちは、浦安市で4,625,969円です。
続いて、流山市で4,019,842円、習志野市で3,952,804円、市川市で3,938,745円となっています。
1位浦安市と2位流山市の差は、約60万円ですから、浦安市の納税者の平均所得は、すごい高いことがわかります。
一方、平均所得額が低いまちは、大多喜町で2,622,861円、南房総市で2,662,317円、長南町で2,675,167円、鋸南町2,680,033円となります。
※ここでいう所得金額は、給与や年金等の「総所得金額」となります。株譲渡や不動産譲渡等の分離課税分の所得等は含まれていません。
平均課税額
次に、個人住民税の平均課税額(所得割額)が1番高かったまちは、千葉市で190,926円です。
続いて、浦安市で184,447円、芝山町で167,477円、市川市で151,448円、流山市で149,158円となっています。
データをよく見ると、千葉市は株譲渡、芝山町は不動産譲渡の分離課税分の住民税額が、他市町村に比べると高くなっていました。
一方、平均納税額が低いまちは、大多喜町で83,555円、鋸南町で85,581円、南房総市て86,009円となっています。
なお、個人住民税の税率については、県内全ての自治体全で標準税率(市町村民税6%・県民税4%)を採用しており、「浦安市や市川市、流山市は住民税が高く、大多喜町らは住民税が低い」ということはなく、県内どの市町村も同じ税率だそうです。
住民の中で住民税を納めている人の割合
住民人口のうち、個人住民税を納めている人(納税義務者数)の割合を計算してみました。
納税者率が高いまちは、浦安市で55.7%、市川市で 54.4%、船橋市で51.6%、成田市で51.2%、松戸市で51.1%となっています。
一方、納税者率が低いまちは、勝浦市で41.7%、大多喜町で42.9%、南房総市で43.7%となっています。
平均納税額も低くく納税者率も低い「大多喜町」「南房総市」は、財政状況や行政運営が相当厳しいことが想像できます。
千葉県個人住民税課税・所得マップ(2023年度版)
これら市町村別の個人住民税の課税額や所得額が確認できるマップです。
パソコン画面やタブレット横画面でご覧になれます。
画面上のリストから、市町村を選ぶとその市町村のデータが確認できます。
3 ふるさと納税の控除額が55億円?!
ここでは、個人住民税と切っても切り離せない「ふるさと納税」について、整理してみました。
参照したのは、総務省「ふるさと納税ポータルサイト」の「ふるさと納税に関する現況調査等」のデータとなります。
令和5年度ふるさと納税の控除額が1番高かったまちは、千葉市で、なんと55億4,095万円となります。
続いて、船橋市で27億5,578万円、市川市で25億4,609万円、松戸市で17億8,414円、柏市で17億3,825万円となります。
ふるさと納税は、住んでいる自治体に納めるべき住民税の一部を、応援したいまち、ゆかりのあるまち等の他の自治体に「ふるさと納税」として納税する制度です。
ふるさと納税を受け取った自治体にて、ふるさと納税が有意義に使われることを願う一方、千葉市のように本来入ってくるはずだった住民税55億円分を、どのように確保・工面して行政サービスを維持しているのか心配になります。
また、ふるさと納税寄附金総額をふるさと納税利用者数で割った「1人あたりのふるさと納税寄附金額」を確認したところ、1位は御宿町で193,901円となります。
続いて、浦安市で135,360円,富里市で124,344円、芝山町で118,590円、千葉市で112,168円となります。
御宿町のデータを見ますと、利用者数192名で、寄附金総額37,228,900円で、もしかしたら少数の方が、ドカーンふるさと納税をしたのかもしれません。
千葉県ふるさと納税控除額等マップ
これら市町村別のふるさと納税の控除額や利用者数などが確認できるマップです。
パソコン画面やタブレット横画面でご覧になれます。
画面右上のリストから、市町村を選ぶとその市町村のデータが確認できます。
4 県内で1人当たりの納税額が高いまちはどこだ?!
続いては、令和4年度(2022年度)市税徴収実績データを取り込み分析してみました。市税全体ですので、個人住民税や固定資産税、軽自動車税等も含まれます。
年間の市税徴収総額で見ますと、千葉市の 2,054億円、船橋市の1,054億円、市川市の887億円、松戸市の717億円、柏市の710億円と人口規模の大きいところが上位に来ますが、この額を住民人口で割った「住民1人当たりの市税納税額」を算出してみますと・・・
県内で1人当たりの納税額が高いまちは「芝山町」で、年間納税額は439,792円となります。
続いて、成田市で261,293円、浦安市で239,817円、袖ケ浦市で232,728円、印西市て222,690円となっています。
なお、1人当たりの納税額の高い芝山町や成田市は、固定資産税の比率が高いようです。
また、法人住民税徴収額を市内法人数で割った「1法人あたりの法人住民税納税額」を比較しますと
芝山町で4,106,568円、袖ケ浦市で3,552,563円、成田市で2,544,180円、市原市で2,154,618円、印西市で2,074,579円となりました。
芝山町や成田市、袖ヶ浦市の固定資産税は、住民ではなく、法人が納税している可能性が高いですね。
千葉県市税等徴収実績マップ(2019-2022年度)
各市町村別の市税徴収実績が確認できるマップです。
パソコン画面やタブレット横画面でご覧になれます。
画面上のリストから、市町村を選ぶとその市町村のデータが確認できます。
5 ウラシマ・デジタルマップ集
シビックテック・ウラシマでは、このように浦安市や千葉県、国の機関等が公開している報告書や白書等のデータを取り込み、グラフやマップ等で見える化をしています。
ご興味がありましたら、ウラシマの「デジタルマップ集」も、ぜひご覧ください。
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