【徒歩旅回顧録】 夜桜の下で #3


店内に一歩入ると、この上ない安心感がこみ上げてきた。

真っ暗で、雨が降る道をひたすらに歩いてきたからだろうか。

靴をロッカーにしまい、券売機へ。

バスタオルは、嵩張るので持ってこなかったが、

幸いにもレンタルできる様なので、

させていただくことにした。

タオル類を受け取り、いよいよ脱衣所へ。

一刻も早く湯船に浸かりたかったが、

身体のあちこちが痛むので、なかなか脱衣できない。

10分程かけてようやく、シャワーまで辿り着いた。

シャワーをゆっくり浴びると、いよいよ入湯。

湯の種類はかなり豊富で、楽しませて貰った。

特に、ジャグジーはかなり肩に効いた。

これのお陰で、肩はかなり楽になった様だった。

大いに満喫して脱衣所から出ると、もう閉店15分前。

もう少し居たかったとは思ったが、

これ以上早く来ることはできなかっただろう。

せっかくなので、瓶のカフェオレを飲むことにした。

永らく銭湯に来てなかったもので、

この風呂上がりの一杯の美味しさを、久々に思い出せた。

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さて、銭湯から出ると

私の右足が強烈に痛み出した。

気が少し抜けたことで、一気に来たのだろうか。

普通に歩くことすらままならなくなった。

とは言え、目の前にはガストがあり、今日はもう寝るだけ。

なんとかメンタルを保ちながら、ガストに入った。

午後9時を回っていたこともあってか、

かなり店内は空いていた。

席に着くと、コンセントの場所を店員さんが教えてくれた。

有難し、有難し。

スマホと共に私も充電されながら、

好物のネギトロ丼をゆっくりと食べた。

そして食事を終えると、私はすぐにホテル探しを始めた。

銭湯を出る頃からの足の痛みは、良くなる気配を見せず、

明日の朝に回復しているとも思えなかった。

この状態で、2日連続まともに寝ることができないのは、まずい。

そう思い、明日はホテルに泊まろうと決意したのであった。

幸いにも1泊2400円程のホテルが見つかり、すぐに予約をした。

これで明日も頑張ろうと思っていると、

後方の怪我組から、あと30分程で到着すると連絡が入った。

時刻は既に、22時30分。

出発から実に15時間近くが経過していた。

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彼らの到着に合わせて、お会計を済ませ、

待ち合わせ場所のコンビニへと向かった。

待ち合わせ場所に着くと、放心状態の様に見える2人組が

力無く座り込んでいた。

約6時間振りの再会を噛み締めながら、

一行は、側にある公園へと向かった。

もともとは、公園で野宿をする予定だったが、

明日未明に雨が降るらしいということで、

24時間営業のすき家で一夜を明かすことも考えた。

しかし、横にならないと明日が相当厳しくなるという事で、

野宿を決行することにした。

なるべく地元の方の迷惑にならない様、

民家から遠い場所を選び、朝も早く起きることに決めた。

ようやく見つけた今夜の寝床は、桜の木の下であった。

公園の灯りに照らされた桜は、

今日の疲労をほんの少し癒してくれた。

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#3 終わり


#0→ https://note.com/uq43905966/n/n3dffe2b25fa0

#1→ https://note.com/uq43905966/n/nd8f6aa453c20

#2(前)→ https://note.com/uq43905966/n/nd704bc5b1591





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