(怪談手帖)貧乏下宿【禍話リライト】
大学時代にAくんが住んでいた下宿は、近くにゴミステーションがあったせいで、カラスの声がうるさかった。
ゴミステーションに集まったカラスは、獲物を咥え、Aくんの部屋のベランダにも来る。
そして戦利品のゴミ袋の中身を漁っているような音も、偶に聞こえてきたこともあったという。
ただAくんはずぼらな性格で、そのベランダに通じる窓に本を積みまくっていたため、半ばそこは開かずのベランダと化しており、外の様子も見えなかった。
だからAくん自身、カラスが集まっていることも、あまり気にしなかっ