眠れない夜の惑星

短歌記録bot 言葉をあつめています

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21.10.31 短歌の貯金箱

【お気に入りの短歌10首】 ・わがしらぬ君の恋ほど明るくて木星の目を恋いつつ眠る/梅内美華子 ・皆殺しミナゴロシって言い合ってさみしかったね夜の屋上/村上きわみ ・吹き替のディズニー映画のあかるさがきみの影の青を深める/北川草子 ・うつくしく身を引かれたるさびしさよ柵を埋めて咲くすいかずら/永田紅 ・長生きができたらいいな ひまわりの黄は漆黒にあんがい似てるね/早坂類 ・借りもののからだのことを打ち明けてあなたはついに氷上の星/笹井宏之 ・忘れないことは悪くはないだろう真夏が

    • 21.10.30 いちごつみ(お気に入り短歌7選)

      【お気に入りの短歌7首】 ・秋がもう機能してゐるひだまりに影を踏まれて痛みがはしる/荻原裕幸 ・傷ついて傷つけた記憶それだけが砂漠に落ちた星の輝き/畑彩子 ・何故生きる なんてたずねて欲しそうな戦力外の詩的なおまえ/陣崎草子 ・声が震えているな、秋、何度でもマグダラのマリアを愛してしまう/千種創一 ・追憶が空気に触れる食卓の秋刀魚の光の向こうで会おう/堂園昌彦 ・誰しもが抱えて生きる悲しみは真昼の星のようで見えない/野口恵子 ・ヘッドホンしたままぼくの話から海鳥がとびたつのを

      • 21.10.29 ひつじぐも(お気に入り短歌10選)

        【お気に入りの短歌10首】 ・月光は大人の時間コンビニの袋ゆらしてぶらんこに乗る/川井怜子 ・土砂振りにひざを濡らして帰り来る君はまだ恋人のようだね/子守有里 ・きみの声わずかに光ることなどもわたしの胸に残る風紋/伊津野重美 ・苦しみに削がれ純度を深めゆく人の行方を照らせジュピター/伊津野重美 ・「あの夏」と呼べば思い出めいてきてどの夏も襟をただしはじめる/斉藤そよ ・八月を泣きたい人は泣いて下さい/渡辺隆夫 ・感情のあふれるままに嚙みあえば夏があなたに消え残るでしょう/東直

        • 天の誘い/立原道造(1939)

          【詩】天の誘い/立原道造(1939) 死んだ人なんかゐないんだ。 どこかへ行けば、きつといいことはある。 夏になつたら、それは花が咲いたらといふことだ、高原を林深く行かう。もう母もなく、おまへもなく。つつじや石楠(しやくなげ)の花びらを踏んで。ちやうどついこの間、落葉を踏んだやうにして。 林の奥には、そこで世界がなくなるところがあるものだ。そこまで歩かう。それは麓をめぐつて山をこえた向うかも知れない。誰にも見えない。 僕はいろいろな笑いひ聲や泣き聲をもう一度思ひ出すだ

        21.10.31 短歌の貯金箱

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          短歌の貯金箱

          【お気に入り短歌10首】 ・真夜中にケーキの箱をあけむとす仮初の世を覗くがごとく/栗木京子 ・人生に付箋をはさむように逢いまた次に遭ふまでの草の葉/大口玲子 ・愛することが追いつめるようになってゆくバスルームから星が見えるよ/俵万智 ・忘れないことは悪くはないだろう真夏が似合うあなたであった/小島なお ・パレットにあるだけ絵具を出してみて何も描かないような休日/天野慶 ・右からの横顔だけを知る人を魚影のように思い出す夏/永田紅 ・わりと本気で雲に乗りたい八月の午後がとてつもな

          2021.10.21 短歌の貯金箱

          お気に入りの言葉たちをひとつの箱に。 どこかのあなたへ、いつかのわたしへ、 ギフト・ボックスのお届けです。 ♡短歌 ・手を洗いすぎぬようにね愛してたからねそれだけは確かだからね/雪舟えま ・夢のきみとうつつのきみが愛しあふはつなつまひるわれは虹の輪/水原紫苑 ・きみのいない朝のしづけさ まなうらに人魚の失くした尾がひるがえる/北川草子 ・生きていることはべつにまぐれでいい 七月まぐれの君に会いたい/宇都宮敦 ・次々と涙のつぶを押し出してしまうまぶたのちから かなしい/笹井宏

          2021.10.21 短歌の貯金箱

          2021.10.19 いちばん好きな歌人

          わたしの一番すきな歌人は、 笹井宏之さんである。 高校を卒業したくらいに インターネットではじめて読み、 彼の言葉に宿る「いのち」の透明感に圧倒された。 自然や生き物、静物とのゆるやかな一体感、 同時に人間の理解を拒むかのような、 傷つきやすさが垣間見える歌たち。 短歌を読んで、涙が出るなんて初めてのことだった。 彼の訃報を知ったのは、 それから十年経ってからのことだったが 笹井さんの歌は、今も胸の奥底で ふとした瞬間にこだましてくる。 ここ最近読みかえしていたのは 第

          2021.10.19 いちばん好きな歌人