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21.10.29 ひつじぐも(お気に入り短歌10選)

【お気に入りの短歌10首】
・月光は大人の時間コンビニの袋ゆらしてぶらんこに乗る/川井怜子
・土砂振りにひざを濡らして帰り来る君はまだ恋人のようだね/子守有里
・きみの声わずかに光ることなどもわたしの胸に残る風紋/伊津野重美
・苦しみに削がれ純度を深めゆく人の行方を照らせジュピター/伊津野重美
・「あの夏」と呼べば思い出めいてきてどの夏も襟をただしはじめる/斉藤そよ
・八月を泣きたい人は泣いて下さい/渡辺隆夫
・感情のあふれるままに嚙みあえば夏があなたに消え残るでしょう/東直子
・青空の高さを測るようについ ついぼんやりと君を見ていた/植松大雄
・きみがこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある/正岡豊
・ひつじぐも、君が私に気づくべき秋にも雲はにじみ、くずれる/永田紅


【寺山修司『海の起源に関する一章』(寺山修司少女詩集)】

ーきみ、知ってるかい?
海の起源は、たった一しずくの女の子のなみだだったんだ。
そのなみだが、どうしてとまらなくなって地球を水びたしにしてしまったのかは,どんな科学の本にも出ていないが、ぼくだけは知っているんだよ。ー



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