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広告代理店から事業主に移って気付いた「ギャップ」について

こんばんは、神宮寺です。

久しぶりの更新になってしまいました。申し訳ございません。

先日のnoteでも共有しましたが、私は今、株式会社TENTIALというスタートアップでマーケターをしております。

元々長らく広告代理店にいたので、事業主のマーケターをやってみて、代理店時代にはちゃんと気付けていなかったことが見えてきたので、今日はその「ギャップ」について書いていきたいと思います。

<特に読んで欲しい人はこんな方です>
・代理店で働かれている方
・事業主でマーケターをされている方
・これから上記のどちらかに就職・転職を考えている方


(1)広告費をたくさん使いたい代理店とできれば使いたくない事業主

代理店は広告費が増えれば増えるほど、利益が増えていきます。

代理店で働いているとどうしても広告費をたくさん使っている時が嬉しいし、自分たちの目標を達成するためには「広告費をもっと使う方法はないか?」という思考になってしまいがちです。

一方で、事業主にとって大事なのは、売上と利益。特に利益です

それを実現するために必要なものが広告であって、広告を使わずに目指している利益を達成できているのであれば広告を使う必要はありません。

▼代理店
・広告費を使いたい。
・当然、広告予算が大きいクライアントの優先順位が高い。
・広告費を伸ばすために、与えられた目標値(CPAなど)を達成することを重要視。

▼事業主
・利益を増やしたい。
・利益に結びつかないものにお金は使いたくない。
・CPAが安くてもLTVが低ければ(広告費が回収できなければ)意味がない。
・逆にLTVが高められれば、CPAが多少高くても問題ない。

こういう書き方をすると代理店が悪く見えてしまうのですが、クライアントの利益のことを真剣に考えて広告施策を立案してくれる代理店はたくさんあります

一方で、そうじゃない会社も一定数存在するのも事実です。同じ代理店でも担当者によっての違いもありますし、抱えている案件数などにもよって対応が変わってくることがあります。

事業主と広告代理店それぞれの会社で追っている目標は当然異なるので、このギャップはある程度仕方ないものだと思いますが、この前提を理解していないと怪しい広告代理店に利益を吸い取られてしまう可能性があるので注意が必要です。

ちなみに事業主サイドに問題がある場合もあります。例を2つあげます。

①利益を上げる施策を考える上で必要な情報を開示しない

とにかくCPAを下げてほしいというコミュニケーションをとることです。
これでは表面的な改善施策しか考える余地がなくなり、不毛なコミュニケーションを繰り返すことになります。
一方で情報を開示しすぎるリスクもかなりあると思うので、ここは後述します。


②リスクをとらない

・不当に安い目標CPAを課す
・マージンを削りまくる
・シミュレーションとの乖離が出た際に補填を求める

などが挙げられます。
いくら広告代理店とはいえ全ての施策の効果が予測できるわけではありません。もちろんシンプルなミスや怠慢などは別問題ですが、想定値との乖離が出るのはむしろ普通です。

代理店側にリスクを一方的に押し付けてしまうと、見込みのあるチャレンジングな施策は提案されなくなります
上記の例のようなことをすると、間違いなくシュリンクしていくだけで何の利益も生まれません。

事業主側がある程度覚悟を決めてリスクを負わなければ、大きなリターンを得ることはできないので、結果的に代理店と取引をするメリットもなくなってしまいます。


(2)競争力が増す代理店と競争力を失ってしまう事業主

事業主にとって効果的なマーケティング手法は、競合他社との大きな差別化要因となります。

LTVがほぼ同じだった場合に、他社比較でCPAが20%安く獲得できていれば圧倒的に有利です。他社にはそのままCPAを下げるのを苦戦し続けていてほしいというのが本音です。

一方で、代理店においては「実績」が競合優位性となります。

・「〇〇業界で100社のプロモーション実績があります。」
・「月間○億のプロモーション実績があります。」
などがクライアントの安心感につながり、多くの案件の受注につながります。

当然ながら、上記は矛盾します。

代理店と密に情報を連携して、画期的なマーケティング手法を発掘する

(事業主)
「このマーケティング手法を差別化要因として、競合と差をつけることができるぞ!」
(代理店)
「このマーケティング手法をもって他の会社にも活用ができるぞ。提案しまくろう!」

早々に手法が浸透して差別化要因ではなくなってしまう

もちろん「実績がある」という安心感とトレードオフなので、いたしかたない部分はあると思います。

むしろ後発の会社にとって広告代理店の活用はかなり有効な手段と言えます。

一方で、このリスクがあるからあまり代理店と密にやりとりしていないという会社もあるはずです。画期的な手法を発掘し続けられればいいのですが、そううまくいくものではないので、なかなか難しいところですね。


(3)情報が勝手に入ってくる代理店と情報入手が困難な事業主

広告代理店は、常に多種多様な案件が稼働しており、様々な事例や情報が蓄積されています

広告媒体社とのパイプも強く、情報が集約されるようになっております。

さらに社内には、広告手法(媒体)別の専門チームがあったりして、スペシャリストたちが各々の担当領域の情報をいち早く入手し、整理した上で社内に展開しています。

一方で事業主のマーケターは、全てインハウスで対応する場合、上述の情報収集の役割を一人(もしくは数人)でこなす必要があります。

しかし、媒体社は売上アップのレバレッジが効きやすい代理店を優先するので、1事業主に対してはそこまでリソースを割けない場合が多く、自ら能動的に情報をキャッチアップしにいかなければなりません

もちろん代理店ほどの情報量は必要ないので、自社に関連のある部分だけでいいのですが、それでも相当しんどい業務ボリュームになります。

代理店を活用すると自社の実績が競合に横展開されてしまうリスクはあるものの、情報量という観点では圧倒的に代理店に優位性があります

ただ情報量があれば成果が良くなるわけではなく、自社のプロダクトに適した広告手法を選定する力がなければ成果はよくなりません。

そのためには、広告の理解だけでなく事業についても深く理解している必要があります。

担当者がコロコロ変わってしまう代理店があったりしますが、事業主側からすると担当者との目線合わせや事業のインプットを再度やる必要があったりするので、これは結構辛いです。

信頼できる代理店、担当者と長期的にガッツリ組んでやっていけるのが理想的かなと個人的には思っています。

会社という枠を超えて一つのチームとして、一つの目標に向かって連携ができるとすごくいいなと思います。


さいごに

ひと昔前と比べるとインハウスでマーケティングをする会社が大幅に増えてきた中で、代理店の役割や代理店と事業主の連携の仕方は大きく変わってきたように感じています。

インハウスで全てまかなうのは相当ハードですし、その分人を増やせば人件費や管理工数も増えてしまうので、事業の規模が大きくなるにつれて代理店に活用する必要性は増してきます

お互いの事業内容や目的をきちんと理解し、WinWinになるような取り組みを心がける必要があります。

マーケターは代理店に丸投げするのではなく、しっかりと自分でも情報を入手できるようにしておくことで、より価値のある連携ができるようになるはずです。

私自身もまだまだ情報収集が足りていないので、ぜひ積極的にマーケターの方々と交流させていただきたいと思っています!

私自身、代理店側の視点と事業主側の視点の両方を経験してはじめて見えたことがたくさんありました。

代理店時代に気付かぬうちにクライアントのためにならないことをやってしまっていたな、ということにも気付いて反省しました。

代理店側と事業主側を経験している人のほうが少ないと思いますので、少しでも参考になればと思い、書かせていただきました。(あくまで一個人の意見ですので、これが正解だとは思っていません!)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今後も頑張って更新していきますので、ぜひスキ&フォローをお願いします!

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