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帰ってきた夕刊UNI

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夕刊UNI~有料note~に続く第二弾! 追記型有料エッセイマガジンです。表紙は、めめんともりさん作。
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2015年9月の記事一覧

必殺!ちゃっかり術。

週末はちゃっかりのピアノのグレードの試験であった。 YAMAHAのピアノを習ってはや6年。 個人レッスンになってから4年である。 まったく練習せず、こちらがやいやい言って試験当日を迎えたちゃっかり。 『ちゃっかりさん、どうぞお入りください。』 名前を呼ばれて試験会場に入るちゃっかりを見送る私とスナフキン。 先日の発表会で弾いた曲、『ラッパ手のセレナード』がドアの向こうから聞こえてくる。 これは奇跡的に間違わずに弾き終えたようである。 次に聞こえてきたのは『シュタイ

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足がなんたら。

『uniちゃん、お母さんどう考えても合点がいかへんの!』 今度はなんやねん、母上よ。 膝裏が痛い、なんか足の血管も浮いてきた!血流が悪かったら循環器で手術せなあかんらしい‼︎ 先日もやいやい言ってきた母。仕方ないので整形外科への送迎をしたのだ。 診断結果を結論から言ってしまえば。 『70歳にもなれば膝裏軟骨もすり減る、そして水も少し溜まっているから抜きましょう、血管の浮きもたいしたことないけど気になるならサポーターしといてね。以上!』 であった。 『良かった〜!安心

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スナフキンとレンタカー。

夫、スナフキンは自由人で不思議な人であるが、お仕事は営業マンである。 遠方への営業に出る時は、レンタカーを借りて運転していくのがスナフキンスタイル。 電車が1時間に一本しか来ないような、電車もバスもないような田舎町が彼の好みであり、そういう田舎町の良さを都会に売り込んだり、逆に都会の便利さを田舎に伝えたりしている。 とにかく、田舎のおじいちゃん、おばあちゃん、町工場の頑固な職人さんなんかと仲良くなるのがすごく得意なのだ。 スナフキンには、第一印象で『素朴な人だ。』と相

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『無』であること。

般若心経は子どもの頃から馴染み深いお経である。誰に言われるまでもなく、自ら進んで唱えていた。 菩提寺から貰ったオレンジ色の経本の一番初めのページに載っているのが、般若心経だった。 漢字がぎゅうぎゅう詰めに書かれていたが、横に平仮名で読みが入っていたので、大寺さんが法要で読んでいる節回しを見よう見まねというのか、聴きよう聴きまねで唱えるのが好きだったのだ。 『uniは般若心経上手に唱えるなぁ。さすが長女やなぁ。』 『子どもやのにこんな上手にお経唱える子は珍しい。ご先祖さ

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行く道。

『何回押したん?』 ATMでの出来事。 隣のおじいちゃんと息子さんと思われる男性の会話が聞こえてきたのだ。 『もしかして3回押した?暗証番号忘れたん?』 笑いながら優しくおじいちゃんに問いかける息子さん。 『あ?んー。3回か4回か…。』 『そりゃもう5回くらいやってもたな!』 『わからん。』 どうやらカードの暗証番号をおじいちゃんが忘れてしまい、何回もトライした結果、現金を引き出せなくなるというピンチに陥ってしまったようである。 『お母さんかクミは番号知って

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触角。

『ちょっと、ちゃっかり!早く鏡の前どいて!』 洗面台の前からなかなか動かないちゃっかりにドカ弁がギャーギャー言う声が響くのが朝の定番である。 キラキラした髪留めや、カチューシャを着ている服に合わせてコーディネートし、色んな形に髪を結わえるのに余念がないJSは姉の言葉などどこ吹く風。 『だからその触角止めろって!』ドカ弁が爆笑しながら言う。 確かに髪の束を顔の横に2本たらりと垂らしている様子は、触角のようである。 『なんでキチンと纏めへんの?』 ちゃっかりに聞いてみ

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夫離れ。

『お母さんは子離れは出来た。だけど夫離れが出来ていないんだよ。』 病院の待合室でそんな声が聞こえてきたのだった。 娘さんとご両親かと思ったが、話の流れから付き添いのヘルパーさんと老夫婦という組み合わせであることがわかった。 私と同じくらいの年齢の女性ヘルパーである。 その彼女から見て、奥さんの方が非常に疲れていると感じること、毎日でなくてもいいからデイサービスを利用して、奥さんも休まなければ、「このままでは夫婦2人で共倒れになるよ。」と熱心に説得にかかっているよう

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書道具の大人買い。

体全体を使ったパフォーマンス書道に挑戦すべく、馴染みの書道具屋に向かう。 『とにかく太い羊毛を探してるねん。』 店のおばちゃんに言うと、一号筆の高い筆をたくさん見せてくださった。 『太いタイプのやつはこれくらいやね〜』 値段はもう0が違うやつばかり。 『今日ね〜5万しか用意してないねん。手漉きの全紙も箱買いしたいし、墨も欲しいから予算厳しいかなぁ。』 おばちゃんに泣きを入れてみた。 すると。 『いやいや、じゃ勉強するわ!これ定価5万5千円やけど、特別に4割引き

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老いる。

昨日は伯母の三回忌であった。 一回忌が昨年であったから、一年ぶりの親戚との再会であった。 和やかに法要の日を迎えた、というわけではなく、数ヶ月前からゴタゴタしていて、故人を偲び静かに冥福を祈るという精神で執り行われるはずのものが、何が何やらな状況になってしまった。 伯母は私の母の姉である。 母の兄弟は4人で、2人の姉は他界、残すは兄である長男と末っ子の母になっている。 伯父である長男一家は、生前この伯母たちにかなりの世話になっていたのだ。 伯父が破天荒な飲んだくれの

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仮病理由、内出血。

昨日のお風呂上がりから急に寒いと言い出したドカ弁。 テストがあるから休むわけにはいかない。しかし部活は休みたいと言う。 『そんなもん体調悪かったら仕方ないやん。そのまま先生に言えばいいやん。』 何故こんなことを高校生にもなった我が子に言わないとならんのだ。 そこに入ってきたのが、我が家のJSちゃっかりである。 『ドカちゃん、サボりたいの?じゃ、適当に理由言えばいいじゃない。』 『は?顧問担当の体育があるねんで!元気やったら言いにくいやん!』 『うーん。じゃ、内出

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