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足がなんたら。

『uniちゃん、お母さんどう考えても合点がいかへんの!』
今度はなんやねん、母上よ。

膝裏が痛い、なんか足の血管も浮いてきた!血流が悪かったら循環器で手術せなあかんらしい‼︎

先日もやいやい言ってきた母。仕方ないので整形外科への送迎をしたのだ。

診断結果を結論から言ってしまえば。

『70歳にもなれば膝裏軟骨もすり減る、そして水も少し溜まっているから抜きましょう、血管の浮きもたいしたことないけど気になるならサポーターしといてね。以上!』
であった。

『良かった〜!安心したわぁ。水抜いたらスキッとしたわぁ!』

満面の笑みの母。

しかし、本日の午後、神妙な面持ちで現れ、冒頭のセリフをかましたのである。

『合点がいかへんのって、次はなんやの?』

『どない思っても膝の水抜いても痛み止まったのはたった2日やったし、なんや足の付け根も痛いし、膝の水が原因じゃない気がするの!』

『いやいや、先生の診断聞いて水抜いてもらってスキッとしたわぁって言ってたやん。サポーターでオッケーやったし。』

すると伏し目がちに沈んだ顔でこう言いだすではないか。

『今ワイドショーで癌の話ばっかりしてるし。なんや骨肉腫?そんな症状に似てるような話をテレビでやってるし。足が立たなくなったらuniちゃんらにも迷惑かかるし思って!』

『あのね、もしかその骨肉腫?やったとしたらどっちみちあかん感じになるんでしょう?そんなことで気にするならテレビのワイドショー観るのやめり!』

『いーやよ!(違うよ!の淡路弁)だってテレビつけたらやってるんやもん‼︎』

『だからさぁ、お母さんいったいテレビどんだけ観てるんよ!で、どんな姿勢で観てるわけ?』

『えーとね、お昼ごはん食べて洗濯取り込んだらお父さんのベッドに横になってテレビを2時間くらい観るけどそのまま小一時間寝てしまうから一時間くらいしか観てないと思う。』

『ふーん。で、夜は?』

『夜は6時半にごはん食べてお風呂入って8時半には布団に入って11時頃寝るの。朝は6時半に起きたらお父さんが朝ごはんを枕元に運んできてくれるの。』

『…ちょっと待って。夜8時半に布団に入って、まぁ11時まで起きてたとしても、朝6時半まで寝てるってことは10時間近く布団に横になってるわけ⁉︎』

『そうなるね!だいたいお父さんどんどん早起きになって!ま、お母さんより6つも歳上やから寝てられへんねんよ!朝ごはん作るのも楽しみみたいやし‼︎』

昼寝のテレビタイムに2時間、夜10時間計12時間をお布団でゴロゴロしてその間にテレビつけてるってことは。

一日の半分を寝て過ごしてるんやないの‼︎

『ちょっと‼︎骨肉腫?ちゃうわ‼︎寝過ぎや‼︎寝たきりになったらどないすんの‼︎』

『だって足が痛いねんもん!』

『明日座椅子買いに行くで‼︎昼の2時間のテレビタイムも、お風呂上がりの8時半から11時までも座って過ごしなさい!寝ころぶのは眠る時だけ‼︎』

まったく、油断していると何をしてるかわからん‼︎

コレと同じ台詞を昔私たちに言っていた母に、今度は逆に子どもの私が言わなければならない時がやってきたとはなんだか切ない。

『原因はそれやってんね!そうやね‼︎じゃ、ちゃんと寝る時までは座っておくことにする‼︎』

安心したように元気づく母。

『それでさ、足の付け根が痛いのって週末なんかしたん違うん?』

念のため尋ねておくことにした。

『あっ‼︎』

『なんやの⁉︎』

『庭の手入れと花の植え替えするのに一時間くらいしゃがんでた…。』

『合点がいった⁉︎』

『合点がいった‼︎やー安心したわぁ!』

今後、足がなんたらは右から左に聞き流すことにしよう。

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