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帰ってきた夕刊UNI

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夕刊UNI~有料note~に続く第二弾! 追記型有料エッセイマガジンです。表紙は、めめんともりさん作。
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2015年6月の記事一覧

それぞれのカレー。

昨日はスナフキンがカレーを作ってくれた。 私とは違う丁寧な作り方のカレー。 玉ねぎは小さく綺麗にみじん切りし、飴色もどきではなく、本当に飴色になるまでじっくり炒める。 じゃがいもや人参は大きな乱切りし、これもまたフライパンで丁寧に炒める。 そして水は使わずトマト缶と酒で煮込む。隠し味の決め手はスナフキン特製のサンバルである。 複数のスパイスも足してじっくりゆっくり鍋を回しながら美味しいカレーを仕上げていく。 その姿を見ていると、遠い昔を思い出す。 大きな背中を丸

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忍耐力と集中力。

先日行われた高校の新体力テストでドカ弁がはじめてB判定になったと肩を落としていた。 小学生の頃からずっとA判定の認定バッジを貰っていたが、今回は惜しくも逃してしまったらしい。 あと2点でA判定だったそうで、地団駄を踏むドカ弁。 グラフを見てみると、集中力がすば抜けて突出しており、忍耐力が大きく欠けていた。 集中力に富んだ人間が忍耐力に欠けるなんて、なんとバランスが悪いのだろうか。 たしかにドカ弁にはその傾向がある。 特に誰かにやれと言われてやることが苦手。 例え

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おじいちゃんの命日。

半年前にカテーテル手術を行った父が、お医者様曰く「半年前のカテーテル手術のメンテナンス」を行うために昨日から検査入院していた。 半年に一度定期検診を受けるように言われていたが、再びカテーテル検査をしなければならないとは。 落ち込んだ父はそわそわ落ち着かず、その父の相手に疲れた母は愚痴をこぼし、まったく二人の大きな子どもをお守りする気分で過ごした10日間であった。 検査入院を言い渡された6月16日は、父の妹であり私の叔母にあたる、みよちゃんの命日だった。 父はすっかり忘

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謝れない。

買ったばかりの明太子が悪くなっていた。 お昼ごはんの時に一切れ食べようと小皿に取り分け、ごはんと一緒に食べたのだ。 口に入れた瞬間、「あかん!」ということだけはわかった。 冷凍、解凍、再冷凍、解凍したような味。脂っぽくて水っぽい、ドロドロした食感に加え、生臭さもあって食べれない。 すぐに口から吐き出した。 蒸し暑い梅雨の時期、食中毒が怖かったのだ。 いつも行くスーパーでよく購入する明太子だった。買ったのはわずか1時間前。 これはあかん!同じの買った人たちも食中毒

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カトレアの香りと記憶。

先日母と話しているうちに、小さな頃住んでいたマンションのトイレの話になった。 「そういえばさ、ウチのトイレに置いてあったカトレアの花の香りがする芳香剤の名前って何やったっけ?」 そう質問する私にウンウン唸りながら必死に思い出そうとする母。 しかし、なかなか思い出せない。 なかなか思い出せない気持ち悪さを母と娘で感じながら、買い物に出かけた。 母だけが車を降りて、私は車の中で待つことにしたのだ。 買い物を終えた母が車に向かって歩いてくる。 すると突然、母は自分の片

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女子武士女子?

毎日持たせる曲げわっぱ弁当の容量は900mlサイズ。 以前Instagramのフォロワーさんから、 「この曲げわっぱにお水入れて、本当に900ml水が入るのか試して!」と言われたことがあった。 試してみたら、きっちり900mlの水が入ったのだから、間違いなくドカ弁サイズであることが立証されたのだ。 中学生の頃からいまだに変わらずこのデカイ曲げわっぱを使っているが、相変わらず食べるからすごい。 周りの子の弁当箱は、ドカ弁から言わせれば、「フルーツ入れ」にしか見えないくら

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気になる人。

人の好みは人それぞれ。 やはり、気になってしまう人のことは誰に勧められたからでもなく、自分の本能で選び取り、この人をもっと知りたいと思うのが人の感情というもの。 ここnoteというSNSでは、たくさんの方々と巡り合うことができた。 最近では、違うSNSサービスでもここで巡り合った方々がフォローしてくださったりしていることもあり、noteとは違う作品、日常なんかをお互いに知ることが出来る。 売り買いの出来るSNSサービスでありながら、なんでもありの自由さがnote独自の

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10年後の私へ。

片付け物をしていたら、高校生の頃の文集が出てきた。 高校3年生の時に書いたものである。 「10年後の私へ。」 元気ですか?18歳の私から10年後の私への手紙を書くことにします。 18歳の私は、色々悩んでいて、それでも楽しく高校生活を送っています。 10年後のあなたは楽しい毎日を過ごしてますか? どんな仕事をしているのかな? 好きな人はいるのかな? もしかしたら、結婚なんかして苗字が変わってるのかな? もしそうなら、ダンナさまは優しい人ですか? ひょっとしたら、子

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華のあるなし。

今日は妹と一緒にドカ弁の学校の文化祭に参戦してきた。 ドカ弁の友人2人が一年生での大抜擢で、音楽部での演奏をすると聞き、ライブ会場に一番乗りしてきたのだ。 Aくんは三浦春馬くん似の美形男子で花形のベース担当、Mちゃんは抜群の腕を買われ、シンセサイザーの担当である。 「なぁお姉ちゃん!あれがAくん⁉︎すっごい男前やなぁ!」 ほんの昨日まで高校生やった!と厚かましいことを繰り返し、若い男の子を見て大興奮の我が妹。 Aくんは華奢な体に似合わず、ものすごく大きな手で華麗にベ

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一寸の虫にも五分の魂。

小さな蜘蛛が目の前に現れた。 一瞬ギョッとするが視線を外し、蜘蛛が目指す場所に移動するまでそっとしておく。 小さな頃、虫がいれば大騒ぎしながらバンっとその虫を叩き潰し、嬉々として『やった!』とガッツポーズなんかして周りに報告していた。 そんなある日、小さな蜘蛛が出てきたのを見て、いつものように叩き潰そうと構えたとき、祖母の厳しい声がした。 『一寸の虫にも五分の魂があるゆーてな。命あるものはむやみに殺生したらあかんねんやで。』 意味はわからなかったが、おばあちゃんが怒

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ドカ弁の悲劇。

『水着を一緒に選んでくれへん?』 そうセンパイに誘われたと昨日から浮き足立っていたドカ弁。 なかなかうまい誘い文句じゃないか! ちょっと遊び慣れた男の子なんじゃないか? そんなことを思いつつ、キラメキだっている我が娘の嬉しそうな顔を見て、若いっていいなーとしみじみしていた。 センパイはドカ弁より一つ年上の男の子で、水泳部のエース。 モテるタイプの男の子のようである。 落ち着かないスナフキンをなだめつつ、明日はどんな服着て行くのかなぁ、可愛いバッグ貸してあげようかな

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チャーリーチャーリーCome here!

最近浮かれ気味のドカ弁。 成績は撃沈続きであるが、プライベートでは何やら浮き足立っているようである。 中学時代は男子のように髪を切り、バスケ一筋だったドカ弁。 立派すぎる肩を持ち、足は子持ちししゃものように筋肉で覆われ、第2の制服はジャージという、女の子としての楽しみを完全に忘れ去ったような生活を送っていたのだ。 高校に入ってからは少し女の子らしくなり、毎日マネージャー業を懸命にこなし、新しい友達もたくさん出来たようだ。 そして明日は先輩に誘われ、遊びに行くというで

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物作りをするとは?

日々の暮らしの、限りある一日の時間の中で何かを作り続けることに取り立てて意味はないのだろうと思っている。 意味はないのだろうが、常に今よりももっと上手くなりたい、もっと自分の作品を世に認めてもらいたいなどというどうしようもない下心を持つことは、物を作り続ける人間の業のようなものなのではないだろうか。 とりわけ、物作りをする者の業はとても面倒くさいものだ。 作品に対する熱みたいなもの。 マグマのように煮えたぎる時、氷のように固く冷えて凍えそうな時を繰り返しているような感

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洒落っ子ちゃっかり。

『あの貝殻のイアリングはどこ?』 『あのお気に入りのスカートはまだ乾いてないの?』 毎度お馴染みのオシャレ番長、ちゃっかりである。 よくもまぁ、こんなに細かくコーディネートのことばかり考えていられるものだと感心する。 旅先に出れば小物コーナーにかぶりつき、離れようとしないのは小さな頃からずっとである。 ある時は、小さなうさぎの形をした容器を見つめうっとりしていたり、またある時は高価なハンチングを手に持ち、まるでスッポンが喰らいついたように離さなかったり。 小さなう

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