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洒落っ子ちゃっかり。

『あの貝殻のイアリングはどこ?』

『あのお気に入りのスカートはまだ乾いてないの?』

毎度お馴染みのオシャレ番長、ちゃっかりである。

よくもまぁ、こんなに細かくコーディネートのことばかり考えていられるものだと感心する。

旅先に出れば小物コーナーにかぶりつき、離れようとしないのは小さな頃からずっとである。

ある時は、小さなうさぎの形をした容器を見つめうっとりしていたり、またある時は高価なハンチングを手に持ち、まるでスッポンが喰らいついたように離さなかったり。

小さなうさぎの形の容器に入っていたのは、なんと練り香水である。舞妓さんなんかが小指ですくい取り、耳の後ろ辺りに少しだけ塗りつけるようなもの。

そして、高価なハンチングとは、職人さんが染めた一点ものの柿渋染め。

結局、絶対に離さないという実力行使で狙った物は手に入れてしまっているのである。

先日、ドカ弁がちゃっかりのちゃっかり具合を最発見したという。

友達が遊びに来る時は、本棚にズラリと可愛い少女漫画を並べているらしい。

『ウチの部屋の本棚からも新しい漫画とか勝手に持っていって並べてるねん。』

そう言われて、ちゃっかりの部屋の本棚を確認してみると、なんとまぁ!

可愛い少女漫画がズラリと綺麗に並び、机の上には無造作を装ったかのように、読みかけのJSガールがさり気なく広げられているのである。不思議なインテリアではあるが。

どんな顔をしてこの状態をディスプレイしているのかと想像すると笑いがこみ上げてくる。

昨日は日曜日。
仲良しのお隣さんはお出掛けし、ドカ弁は友達と遊びに行ってしまったため、1人の時間を満喫するなどと優雅なことを言って部屋にこもっていたちゃっかり。

そして今日。
月曜日の朝は何かと忙しい。

週末に家族が散らかした部屋の掃除にひと汗流さなければならない。

お天気も良いから布団も干してあげようとちゃっかりの部屋に向かう。

扉を開けると目を覆いたくなるほどの散らかり具合である。

脱ぎ散らかしたTシャツと短パン、飲みかけのお茶のペットボトル、床に高く積み上げられているのは、『こち亀』の単行本であった。

可愛い少女漫画はどこにもない。

そういえば。

『こち亀読むとどうでもいっかーって気分になる〜‼︎リラックスする時はこち亀にかぎるね!』

そんなことをずっと前に言っていたことを思い出した。

1人の時間を満喫し、心の平安を得るための必須アイテムはギャグ漫画だということを知った本日。

洒落っ子の舞台裏は案外オヤジ風味のようだ。

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