ペーパードライバーのための運転の教科書【第五章】安全運転の知識
車の運転は危険を予測することがとても大切なのですが、それに欠かせないのが運転に関する知識と経験になります。ペーパードライバーの方は運転経験が少ないのでそこが大きな弱点となります。車の運転というのは子供の成長とよく似ていると思います。小さな子供は何が危険なのか分かっていないので、何も考えずに行動してしまいよくケガをします。
でも、たくさんの失敗をして何が危険なのかを学んで少しずつ成長していきます。ただ、車の運転は子供のようなちょっとした擦り傷では済まない場合がありますので、ここでは車を運転する時によくある危険な場面やその対処方法について紹介していきます。一部、YouTube動画のリンクも貼り付けてありますので、参考にしてください。
1.信号の変わり目
“ジレンマゾーンを上手くさばけるようになったら一人前”
自動車学校に通っていた時も信号の変わり目が苦手だったという方は多いと思います。第3章でも説明しましたが、黄色の信号は原則止まれになりますですが、どうしても微妙なタイミングで信号が黄色に変わる時があります。これを「ジレンマゾーン」と言いますが、止まるには少し急ブレーキになるし、そのまま通過するには少し強引な感じになります。
信号の変わり目を攻略するポイントの1つ目としては信号の変わり目を予測することです。知っている方も多いと思いますが、信号は歩行者用の信号の方が先に赤色に変わるようになっている場所があります。なので、信号交差点に近づく時にこの歩行者用の信号を一度確認しておくのがコツです。そして、歩行者用の信号を見た結果、ジレンマゾーンになってしまいそうなタイミングの場合はアクセルペダルを少し緩めてジレンマゾーンを避けるのもテクニックです。
ただし、最近、歩行者用の信号が赤色になっても車用の信号が黄色にならない場所が増えてきていたり、「歩車分離式」といって歩行者と車が完全に分けられている交差点も多くなってきているので昔のように予測するのが難しくなっているのが現状です。
信号の変わり目を攻略するポイントの2つ目としてはジレンマゾーンを上手く処理することです。どうしてもジレンマゾーンが避けきれない場合があります。このジレンマゾーンを上手く処理するコツは行くか止まるかをできる限り早く決めることです。迷えば迷う程さらに微妙なタイミングとなり危険な状況になります。
行くか止まるかを決める時に個人的には対向車に右折しようとしている車がいる場合は止まる、右折しようとしている車がいない場合は行くという決め方がおすすめです。対向車に右折する車がいる場合は信号が黄色になった瞬間にその対向車が右折し始めてしまい危険があります。
特に直進車と右折車の正面衝突は死亡事故にとても繋がりやすいです。ただ、止まる時にも注意が必要です。後ろに車がいる場合には追突される危険もありますのでできる限りゆっくり止まるのがポイントです。ゆっくり止まるテクニックは停止線を少し越えて止まることです。
ジレンマゾーンのタイミングでは停止線で止まろうとすると必ず急なブレーキになってしまいます。停止線を越えて横断歩道の上付近で止まるつもりでブレーキをかけるとゆっくりと止まることができます。横断歩道の上で止まった後に横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合は少しだけ車を前か後ろに動かして通りやすくしてあげましょう。
対向車に右折する車がいない場合はそのまま通過するのですが、この時にブレーキを構えておくのがポイントです。対向車がいないのにブレーキを構える必要あるの?とお思いでしょうが、これは交差する道路からの見切り発進の車対策です。
見切り発進とは交差する信号が赤色になったのを見て自分の信号が青色になるのを待たずして発進し始めてしまうことです。私も信号の変わり目で見切り発進する車と危うくぶつかりそうになった事が何度もあります。
信号の変わり目はペーパードライバーの方にとっては難しい状況となりますが、大事なことは前もって予測しておくことです。信号が黄色に変わってから判断しているようで上手く対処はできません。
2.交差点を右折する時
“対向車が途切れるか信号が変わるか”
交差点を右折する時のポイントはまず優先関係になります。交差点では右折よりも直進と左折の方が優先になります。右折する時に反対から直進や左折する車が来ている場合には右折する車が待たなければなりません。待つ場所は交差点の中心にあるひし形の標示の手前になります。
交差点が比較的小さいとこのひし形の標示がない場合がありますが、その場合は交差点の真ん中辺りまで進んでください。 右折待ちをしている時の見るポイントは対向車と信号機の2箇所です。信号が青になったばかりの場合、信号はしばらく変わりませんので対向車が途切れないかに注目すると良いです。
運転操作に慣れない間は素早く右折することができないので対向車との距離も十分に余裕がある時に右折し始めるようにしてください。なかなか右折できずにいると後ろの車からクラクションを鳴らされてしまうこともあると思いますが、焦って右折するのは危険です。
対向車が多くてなかなか右折できない場合は今度は信号が変わるのを待つと良いです。信号が黄色に変わると対向車がスピードを緩めて止まり始めるので、対向車が止まることを確認したら右折し始めてください。この時のポイントは信号に右矢印が出るかどうか。
右矢印の信号が出る場合は右矢印が出ている間は右折できる状態になります。右矢印が消えるタイミングは交差点によってバラバラですが、大きい交差点ほど長く右矢印が出る傾向があります。右矢印が出ない信号の場合は信号が赤色になった時に停止線の手前にいるか停止線を越えているかで対応が変わります。停止線の手前にいる状態で赤色信号で右折し始めてしまうと信号無視になりますので注意してください。
右折は一歩間違えると対向車との正面衝突と成りかねないので、安全第一で行くことが大切です。先を急ぐあまり無理なタイミングで右折したり、信号の変わり目で強引に右折したりするベテランドライバーをよく見掛けますが絶対にマネしないようにしてください。
3.歩行者や自転車
“あなたもちょっと前まで歩行者の立場だった”
ペーパードライバーの方にとっては歩行者や自転車の立場の方が身近な存在ではないでしょうか。みなさんも道端を歩いていて今までにも危険な思いをして経験が数えられない程にあると思います。
毎年、交通事故によって多くの尊い命が奪われていますがその被害者の多くは歩行者や自転車になります。歩行者や自転車に気をつけて欲しい場面の1つ目はまずは交差点になります。
特に自転車の動きは早く安全確認も広い範囲で見ていないと見落としやすいです。また、交差点を曲がる速度も徐行を意識してください。交差点をカーブと同じように加速しながら曲がる車をたまに見掛けますが、万が一歩行者や自転車を見落としぶつかってしまった場合は死亡事故になります。
次に気をつけて欲しい場面は歩行者や自転車を後ろから追い越す場合です。特に相手がこちらに気づいていない場合は不意に車道に飛び出してくる事があるので十分に距離を取って追い越すことが大切です。
また、最近は自転車も車道を走らなければならないという風潮があり、車道を走る自転車も増えてきていますので注意が必要です。最後に気をつけて欲しい場面は信号のない横断歩道です。みなさんも横断歩道を渡りたくて待っていてもなかなか車が止まってくれないという経験はあると思います。
交通ルールでは横断歩道で歩行者や自転車が渡ろうと待っている時、車は止まって道を譲らなければならないことになっています。しかし、残念ながらそういった場面でも止まらないドライバーが多いのが現実です。
横断歩道で待っている歩行者に道を譲るために止まったら後ろの車を追突されたというのはよく耳にする話です。横断歩道の手前で止まる時はできる限り早めにブレーキをかけてブレーキランプをつけて後ろの車に止まることをアピールしてください。
4.住宅街
“大通りよりも住宅街の方が危険”
住宅街は交通量も少ないので一見すると安全に見えますが、実はその逆で交差点での出合い頭の事故が多く起きています。なぜ出合い頭の事故が多いのかというと、見通しが悪い交差点が多いというのと交通量が少ないので通行する人が油断しやすいという理由があります。
住宅街を通る時のコツはまずはスピードを抑えることです。特に止まれの標識が付いている交差点でしっかりと止まって左右をよく確認しましょう。また、見通しの悪い交差点にはカーブミラーが付いていることが多いのでカーブミラーで自転車や車が来ていない確認するのもポイントです。
次に住宅街は道幅が狭くなるのも難しい所で、対向車が来ると2台ギリギリになってしまう場所も多いです。道幅の狭い場所を通過するコツは積極的に止まることです。運転に慣れていない間は車体感覚が掴めていないので狭い場所を動きながら避けていくのは危険です。
対向車に避けてもううつもりで道を譲りましょう。行き違いできるスペースの広い場所を早めに見つけておくのもコツです。また、行き違いする時に特に気をつけて欲しいのは車体の左側です。右ハンドルの場合、運転席が右寄りに付いているため、車体の左端までの距離が遠く感覚も掴みづらいのが特徴です。左側の感覚を掴むコツはドアミラーになります。
ドアミラーは車体左右の先端に付いていて尚且つ目で確認できるので車体の横幅を掴むのに最適です。住宅街の道路の左側にはよく電柱が立っていることが多いので左側に寄せる時はドアミラーをぶつけないように気をつけましょう。
5.車間距離
“車間距離を詰めるのは百害あって一利なし”
交通事故の中でも追突事故はとても多いです。追突事故には色んな原因がありますが、この車間距離もその原因となります。前の車をあおるように車間距離を詰めて走る車を見掛けますが、前の車がブレーキを掛けてもすぐにブレーキを掛ければ問題ないと過信しているドライバーもいるかもしれません。
しかし、車間距離を詰めて走る車は前の車がブレーキを掛けた時に急いでブレーキを掛けることになるので、どうしても急なブレーキになりやすいです。急なブレーキになれば車間距離を詰めて走る車自身も追突されやすくなるので車間距離を詰めて走ることに良いことはありません。
じゃあ、どのくらいの車間距離が理想なの?という話になりますが、目安の1つとして停止距離があります。時速40kmの停止距離(普通自動車)は約22m、時速60kmの停止距離は約44mになります。ただ、この停止距離を覚えて実際に目測で車間距離を取るのは現実的ではないですね。車間距離のコツは常に多めに取るように心掛けることです。
私が実践している方法は、前の車と続いて走る時にブレーキを掛けなくてもアクセルの調整だけで車間距離をキープできる距離で走行するように意識しています。このアクセルの調整というのはアクセルペダルを戻した時にスピードが落ちるエンジンブレーキのことで、エンジンブレーキを使うメリットがあります。
1つ目のメリットはブレーキペダルを使わなくて済むこと。特に長距離走る時はアクセルペダルとブレーキペダルの踏み替えが頻繁にあるため、足や腰の負担が大きいです。エンジンブレーキを使うとペダル操作も楽になります。
2つ目のメリットはエンジンブレーキはとてもゆっくりスピードが落ちていくので後ろを走る車にとって優しいブレーキになり、追突事故防止になります。車間距離を十分に取ることは追突事故防止にとても重要です。車間距離を詰めて走行する車がとても多いですか、決してマネをしないように気をつけてください。
6.進路変更
“進路変更はウィンカーを出してすぐに車線を変えるのは危険”
進路変更はペーパードライバーの方にとっては大きな壁の一つのではないでしょうか。進路変更は走行しながらバッグミラーを確認しなければならないので操作も複雑なため難しく感じやすいかもしれません。
進路変更のコツはまず合図(ウィンカー)の出し方です。交通ルールでは進路変更の合図は「進路を変えようとする約3秒前」となっています。分かりにくい表現ですが、要するにウィンカーを3秒間出してから進路変更を始めてくださいという意味になります。
なぜ、ウィンカーを3秒出す必要があるのか?これは周りの車に進路変更をすることをアピールするためです。よくウィンカーを出してすぐ進路変更をするドライバーがいますが、それでは何の効果もありません。3秒間ウィンカーを出すことによって周りの車がそのウィンカーに気づき、進路変更に協力してくれたり注意を払ってくれたりします。
次のコツは速度になります。進路変更しようとする車線を走る車と速度を合わせるのがポイントで、相手との速度の差が大きい程相手も譲りにくくなります。特にバックミラーを見ている間に無意識にアクセルがゆるんでしまって速度が落ちやすいです。
最後に安全確認の方法です。みなさんも教習所で習ったと思いますが、進路変更の時の安全確認はルームミラー、ドアミラー、目視の3箇所になります。目視というのは直接目で確認することですが、車の真横にバックミラーでは写らない部分があります。運転に慣れていない間は3箇所を確認するのはなかなか難しいので、最初はドアミラーだけでも構いません。
進路変更は操作が複雑なので初心者には難しいかもしれませんが、最初は後ろに車が全くいない場所で繰り返し進路変更をしてみて、進路変更の手順がスムーズにできるように練習する所から始めるのがおすすめです。
7.雨の日の運転
“雨の日に窓ガラスがくもる時はエアコンを活用”
雨の日の運転は窓ガラスに水滴がついてかなり見づらくなりますので、ワイパーを活用しましょう。また、雨の日は窓ガラスがくもりやすくなるので、そんな時はエアコンを上手に使いましょう。
エアコンの使い方はまずは風向きスイッチをデフロスターの位置(図の①)にします。デフロスターにするとフロントガラスに風を当てる状態になります。次に風量スイッチをオン(図の②)にして、温度調整レバーを温かめに設定します。
最後にエアコン(A/C)のスイッチ(図の③)を入れます。特に大事なのはエアコンのスイッチで、このスイッチは除湿する機能が働きますので、スイッチを入れていないと窓ガラスのくもりが全く取れません。
他には雨の日は歩行者にも気を遣ってあげてください。みなさんも雨の日に車に水を掛けられた経験があると思いますが、水たまりがある場所を通るは速度を落としたり避けたりしてください。
また、雨の日は歩行者が傘を挿しているため車の存在に気付きにくいので歩行者の近くを通る時も警戒して運転しましょう。
8.セルフスタンド
“セルフスタンドは油種を間違えないように”
日本ではセルフスタンドは1998年以降から登場し始めたので、割と最近免許を取った方はガソリンスタンドというとセルフスタンドの方が馴染み深いと思います。
セルフスタンドに対してフルサービスのスタンドがありますが、セルフスタンドは自分でガソリンを給油する分、ガソリンの値段が少し安いのが特徴です。セルフスタンドを利用する時の注意点はまず油種になります。
油種にはレギュラー、ハイオク、軽油の3種類で油種を間違えると車の故障にも繋がるので注意が必要です。軽油はバスやトラックなどのディーゼル車用の燃料で、レギュラーやハイオクはガソリン車用の燃料になります。普通自動車の場合はほとんどの車がレギュラーになりますが、スポーツカーや高級車などはハイオク専用となっていることが多いです。
どの油種を入れるか分からない場合はガソリンを入れる給油口にシールが貼ってあったり、メーカーの公式ホームページを検索したり、ガソリンスタンドの店員さんに聞くのも良いと思います。
次に給油口の開け方ですが、給油口を開けるレバーは運転席の足元に付いているタイプが多いです。ただし、車種によっては分かりにくい場所に付いていることがあるので、これもインターネットで検索するかガソリンスタンドの店員さんに聞くのが良いです。
また、給油口は車の右側に付いているタイプと左側に付いているタイプがあります。見分ける方法は運転席のスピードメーターなどがある計器類の燃料計(写真を参照)になります。
給油口の位置が決まっているのでガソリンスタンドに入る時はスタンドの機械もその位置に合わせて停める必要があります。それから、実際にガソリン入れる時にガソリンを入れ過ぎて溢れてしまわないか心配になると思います。
実はガソリンを入れるノズルの先端にはセンサーが付いていて満タンになると自動で止まるようになっています。また、1000円分や10リットルなど金額や数量もしてできるようになっており、その指定した分に達すると自動で止まるようになっています。セルフスタンドは初め家族や知り合いと一緒に行くと無難です。
9.あおり運転
“KYな運転があおり運転のきっかけに”
あおり運転と聞くとイメージするのは2017年6月、神奈川県の東名高速道路で悪質な煽り運転を受けた末、夫婦が死亡、娘2人が負傷した事故だと思います。
ペーパードライバーの方にとっては自分もあおり運転されてしまわないか心配になると思います。もちろん、あおり運転をするドライバーが100%悪い訳ですが、あおり運転をされないためのポイントをいくつ紹介します。まず大事なのはバックミラーで後ろをよく確認しながら運転することです。
自分の車が周囲の車の邪魔になっていないか、後ろを走るドライバーの表情もよく見ると良いです。もしも自分の車を追い越したそうにしている車がいる場合は車線を変えたり、交差点を右左折して道を譲るのが大切です。
また、車線が2車線以上の道路では一番右側の車線は追い越す車や右折する車が走行する車線になりますので、追い越しや右折する用事がなければ一番右側の車線以外の車線を走行するようにしましょう。
制限速度については残念ながら制限速度を守らないドライバーが多いのが現状です。私は制限速度を守っているから何も悪くない!と周りを気にせず走るのはとても危険です。
交通ルールを守ることはもちろん大切ですが、交通ルールを盾にした結果トラブルに巻き込まれてしまっては本末転倒です。私も何度もあおり運転を受けたことがあり、その度に腹が立ってしまいますが、あおり運転をするドライバーをまともに相手にしても何も良いことはありません。あおり運転に巻き込まれないように上手くかわしていくことが大切です。
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