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第23回 トイレの設備工事は、どの業者でも良いわけではない

みなさん、こんにちは。
毎週月曜日に更新する災害時トイレの連載です。

先日、倉敷市の真備に行く機会がありました。
2018年の7月豪雨の際に避難所運営に携わった小学校の先生と再会しました。

発災直後は大混乱です。
避難所運営体制を整えるには、時間がかかります。そんなときでもパニックにならずに、力をあわせて現場対応できたのは、地域の人たちの力があったからとのこと。

地域の人たちは、避難所立ち上げ準備をしたり、避難者を誘導したりと積極的に動いたそうです。
もちろん、備蓄やマニュアルは大事ですが、それらを使って動くのは「人」です。そのつながりをどうつくるか、さんざん言われていることですが、ここから目を背けるわけにはいきませんね。

さて、今回のテーマは「トイレの設備工事は、どの業者でも良いわけではない」です。

結論

平時も災害時も、トイレ排水設備の工事は、どんな業者でもやってよいわけではありません。指定事業者にお願いすることが必要です。

区部における排水設備(排水管・ます等)の新設等(新設・増設・改築)の工事を行うことができるのは、指定事業者だけです。排水設備の工事を行うときは、指定事業者に依頼するようお願いします。
なお、多摩地域については、各市町村長が指定した排水設備工事事業者に依頼するようお願いします。

出典:東京都下水道局のウェブサイト
https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/living/a4/haisui/index.html

便器から流れていく汚水の通り道

便器から流れていく汚水は、住戸内の床下にある排水管をとおって排水立て管に接続します。排水立て管というのは、汚水をまとめて下階に下ろすための管です。

排水立て管で集められた汚水は建物外部に運ばれ、敷地内の地面の中にある管をとおって下水道に排水されます。(敷地内に埋設されている浄化槽に排水される場合もあります。)

災害によってダメージを受けやすい箇所

地震が起きてみないとどこが破損するかは分かりませんが、とくに排水管の接続部は、抜けや破損が起きやすいと考えられます。

建物内の排水管は、建物の躯体に固定されていれば一緒に揺れることから比較的ダメージは小さいと考えられます。
一方で、建物から外部に出る部分は地盤沈下や液状化等により破損しやすく、敷地内の埋設管は破断や逆こう配になる可能性があります。

公共下水道の耐震化は行政が実施しますが、自宅の敷地内設備の対策は、各自で実施しなければならないことを理解しておいてください。

高額な修理代金

トイレの詰まりや排水設備の破損などが起きたとき、インターネットで修理業者を検索して格安業者に依頼した結果、高額な修理代金を請求されてしまうというトラブルがあるようです。

そうならないようにするには、詰まり等であれば、まずはラバーカップを活用して自ら対応してみることが必要です。これは災害時も同様です。
それでも改善されない場合は、業者に依頼することになります。
日頃から自宅の排水設備を維持管理している業者に、災害時の対応方法を相談しておくことが望ましいです。

困ったときの連絡先

決まった業者がない場合は、地方自治体に相談するのがよいです。
たとえば、東京都では、宅地内排水設備に関して困ったことがあれば「排水なんでも相談所」というものが設けられています。
業者の店頭に共通のマークが掲げられており、原則として相談は無料でできます。

また、東京都指定排水設備工事事業者の協同組合が運営する「総合設備メンテナンスセンター」もあります。ここでは、区部の宅地内排水設備に関する有料修繕を取り扱っています。

給水系統のトラブルは、断水や濁りなどすぐに気づきますが、排水系統は気づきにくい傾向にありますので、定期的な点検を実施することをおすすめします。

ご案内

9月1日に、オンラインで防災トイレフォーラム2022を開催します。
首都直下地震の被害想定、また、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震における現場のトイレ対応内容について、ご報告いたします。ぜひご参加ください。よろしくお願いいたします。


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