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おしりのリハビリ!バイオフィードバック療法とは?

いいうんちをつくるためには大腸の働きが重要ですが、うんちを漏らさず、それでいてスッキリ出すためには肛門の働きが大事です。

肛門には自分の意思で動かすことができる外肛門括約筋と自分の意思では動かすことができない内肛門括約筋があり、これらが連動することでうんちを漏らさないようにできるのです(参考:肛門は「うんちかオナラか」を識別している)。

今回は、これら肛門括約筋に加えて「恥骨直腸筋(ちこつちょくちょうきん)」も紹介します。

うんちを漏らさないようするため、通常は内肛門括約筋がガッチリと出口を閉じてくれているのです。

さらに漏れ防止を徹底するため、直腸にロープをグルっと回すようなかたちで巻きついて、直腸を横に引っ張っているのが恥骨直腸筋です(図)。つまり、直腸をくの字に曲げることでうんちを漏れにくくしています。

逆に、うんちをするときは、恥骨直腸筋が緩むのでうんちが出やすくなります。

ですが、病気等でこれらの筋が弱ってしまったり、肛門括約筋と恥骨直腸筋の連動がうまくいかなくなってしまうと、うんちが漏れてしまう可能性があります。トイレに行くまでうんちを我慢できないっていうのは、大ごとですよね。

こんなときの治療方法の1つとして「バイオフィードバック療法」があります。


バイオフィードバック療法とは?

最先端テクノロジーを駆使するようなイメージで、とても気になりますよね?

慢性便秘症診療ガイドラインでバイオフィードバック療法を調べてみると以下のように解説されています。

意識にのぼらない生体情報を工学的な手段によって意識上にフィードバックすることにより、体内状態を意識的に調節することを可能とする技術や現象の総称

大雑把に言うと、感覚ではわかりにくい筋肉活動を電位の変化として把握し、図やグラフなどで視覚化したり、音に変換して聴覚化することで患者に分かりやすく伝える方法のことです。

ちなみに、この方法は1960年代に提唱されたようで、気管支喘息や尿失禁など様々な病態で応用されており、便失禁に対しては1974年、便秘症に対しては1987年に最初の報告がされました。

それでは、便秘症に対するバイオフィードバック療法とは、どんなことをするのでしょうか?

前述の慢性便秘症診療ガイドラインによると、「肛門筋電計や肛門内圧計、直腸バルーンなどを用いて患者に自分自身の肛門の動きを意識化させることによって、骨盤底筋協調運動障害を改善する一種のリハビリ療法」と書かれています。

骨盤底筋協調運動障害とは、うんちをするときにお腹に力を入れると同時に肛門付近の力を抜くことが出来なくなってしまうことを言います。骨盤底筋協調運動障害になると、肛門付近の力を緩めることができず、逆に恥骨直腸筋が収縮してしまい、うんちがスムーズに出なくなってしまうのです。

この症状を改善するために、肛門筋電計では、外肛門括約筋の動きを電気の変化で把握します。肛門に電極を入れ、ゆったりと安静にしている時、肛門に力を入れて締めた時、うんちをするために肛門を緩めた時の筋肉の動きを調べます。

続いて、肛門内圧計は、肛門に直径5mm程度の細いチューブを入れて、直腸と肛門内の圧を把握します。ポイントとなるタイミングは、肛門筋電計と同様です。

最後に、直腸バルーンについて。これは、50mlの空気や水の入った風船をうんちに見立てて、肛門から直腸に挿入し、それを出す訓練のことを指します。

これらの計測値を確認して、風船を肛門から出す訓練を行うことで、自分と体の対話を重ね、骨盤底筋を緩めることを学ぶこと。これが便秘症におけるバイオフィードバック療法です。


食事は“出口”も重要だ!

前述の慢性便秘症診療ガイドラインによると、欧米の文献には「骨盤底筋協調運動障害による機能性便排出障害に限ればバイオフィードバック療法は有意に有効である」というエビデンスがあるようです。しかし、日本人を対象とした報告は、治療経過や結果を観察し、そのデータをまとめて報告したものにとどまっており、医学的根拠の高い文献はまだないようです。

肛門の機能回復、つまりうんちを漏らさない、もしくはすっきり出す能力は生活の質を保つうえで大切なことですし、社会参加するうえで欠かせません。意図せずうんちが漏れてしまうようでは、不安で外出もできませんよね。

バイオフィードバック療法に取り組む症例が増え、多くの知見が集まるとともに、この療法の精度が高まっていくことが期待されます。

食事については「よく噛んで食べること」って言いますよね。いつまでもおいしく食べるためには、十分な咀嚼(そしゃく)や上手にのみ込むことが必要です。

そうであれば、出す方も意識することが大切です。うんちをするときに、お腹に力を入れると同時に恥骨直腸筋や肛門括約筋が緩む感じをイメージしてみてはいかがでしょうか?

うんちがすっきり出ると、なんだかすべてがうまく行くような気がしますよね!


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