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便秘のときに、人の体内で起こっていること

便意の正体

今回は子どもの便秘についてのお話です。

便秘というと女性の悩みというイメージがありますが、実は子どもにもよくある悩みなのです。

子どもに多いのは直腸にうんちが溜まってしまう便秘です。

そう言われても、ピンとこないですよね。

それではまず、うんちがつくられる仕組みをものすごく大雑把に説明しましょう。食べものは口の中でこなごなにかみ砕かれて胃でドロドロに消化され、小腸で栄養を吸収され、さらに大腸で水分を吸収されて、最終的に不要となったものが肛門から出てきます。

はい、これがうんちができる仕組みです。

そして、肛門からちょっと体の中に入ったところにある腸を「直腸」といいます。直腸は通常は空っぽで、ペッチャンコです。

大腸内を移動してきたうんちがペッチャンコな直腸に送り込まれると、直腸は膨らみます。この膨らみが重要で、直腸の壁がうんちで押されて伸びると、その刺激が大脳に伝わって「あっ、うんちをしたい」と思うのです。

そうです、これが私たちが毎日感じている便意の正体です。

私たちが「うんちをしたい」と感じたときは、おなかの中では、このようなことになっています。

便意を感じたら、みなさんはどうしますか?

すぐにその場で排便するわけではないですよね。

そりゃそうです。その場でしたら大パニックです(笑)。

我慢しながらトイレに移動して、そこで排便するのが社会的なルールです。


うんちを我慢しすぎるとどうなるか

ところが、あまりにも我慢をし続けると便意がなくなってしまう危険性もあります。

原因はいろいろありますが、うんちがスムースに出なくなってしまった状態を、私たちは「便秘」と呼んでいます

子どもたちは遊びに夢中だったりすると、うんちをすることを我慢してしまいがちです。もしくは、安心できるトイレがなかったり、うんちをすることが恥ずかしくて言い出せないときも我慢してしまう傾向にあります。

1回や2回ならまだしも、このような我慢を頻繁にしてしまうと、どうなると思いますか?

うんちが直腸にどんどん溜まっていきます。直腸は結構伸びるので、うんちをかなり溜め込むことができます。

ただし、無制限に溜めることはできないので、ある程度パンパンになったら、痛みを感じながら排便することになってしまいます。

うんちを溜め続けるとうんちの水分は大腸で吸収されるので、うんちはカチカチになります。つまり、カチカチでパンパンに詰まった状態ですので、排便時は肛門がそうとう痛くなりますよね。

この痛みがくせ者で、特に子どもにとっては便秘の大きな原因となっています。子どもは、「痛い」という体験をしてしまうと、それが恐怖になり、次からうんちを我慢するようになります。

この気持ち、分かりますよね。大人だって、痛みを感じると避けようとしますから。

でも、大人であれば「うんちをしないと体に良くない」という理性が働くため、排便しようと努力しますが、子どもはそんなこと関係ありません。

「痛いのは嫌だ、痛いのは怖い!」という意識が勝ってしまい、とことん我慢しようとします。

毎回、このようなことを繰り返すと、直腸にうんちの溜まり癖がついてしまい、うんちを出した後でも直腸がペッチャンコにならずに伸びた状態でたるんでしまいます。

このたるんだ状態のところに、新たなうんちが送り込まれてくると、どうなるでしょうか......。

直腸がブカブカでたるんでいるので、うんちは壁を押すことができません。つまり、大脳に「うんちをしたい」という信号を送ることが出来ず、便意が起きないのです。

便意が起きないので、排便されることはなく、またパンパンになるまでうんちが溜まります。

このような状態を慢性の便秘と言います。


便秘の悪循環を避けるために

「便意の消失」→「うんちが溜まる」→「直腸がブカブカになる」→「直腸の感受性が鈍化る」→「便意の消失」という負のサイクルを「便秘の悪循環」と言ったりします。

一度、直腸が伸びてしまうと、もどすのに時間がかかります。とにかくうんちを溜めないようにすることが必要です。浣腸やお薬など、様々な治療がありますが、もとの腸に戻すのに数年かかることもあります。

そうならないように、「うんちがしたくなったら、すぐトイレに行こう!」と呼びかけるのは、とても大切なことなのです。

子どもたちがうんちを我慢しないような環境をつくってあげるよう、気にかけてあげてください。

大人の便秘については、別の回に説明したいと思います。


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