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10月17日の手紙 香りの楽しみ

拝啓

「くすぶり人間と3人の尻叩き」を必死に書いているうちに秋が深まってきました。
スマホから顔を上げてみれば、
空が高く、空気がひんやりしています。
外を歩けば、金木犀の香りに満ちています。
うちの近所で、金木犀を見かけたことはないように思うのですが、これだけ強く香るのならば、どこかに生えているのでしょうオレンジ色の十字の形の小さな花からこれだけ強く、近所一帯が香るのはいつも少し不思議な気がします。
冷たい空気が金木犀の香りの輪郭を明確にし、ただ甘いだけではない深みのある香りにしています。思い切り空気を吸い込みます。なんと気持ちのいい香り。身体いっぱいに良い香りが満ちて、膨らむようです。
この香りが消える頃には、コートを出さないといけない寒さになるでしょう。
その頃には、買い物の帰りにもう少し歩こうなどとは思わなくなっているはずです。
金木犀の香りを楽しみながら、もう少し歩いてもいいなと、曲がるはずの角を曲がらず、歩いていく楽しみはこの季節だけのものです。ほんのわずかな幕間のような季節、それが秋なのです。

さて、実は香りについてそれなりにこだわりがあります。
ダメな香りと良い香りが明確にあると言った方がいいかもしれません。
世の中の皆さんが「良い香り…」という柔軟剤や洗濯洗剤(特に海外のもの)、シャンプーの香りは、個人的にはキツすぎます。
シャンプーは香りを選べば効果がなく、効果を選べば、香りがキツくなかなか良いものが見つかりませんでした。
香りは消えていくのが良いと思っているので、あまりに長く残る香りはどれほど良い香りであっても苦手です。
1日の終わりには、ほとんど消えてしまうような程度の良い香りを好みます。香りに持続は必要がありません。
同じことは部屋で焚くお香にもいえます。お香の残り香がとても苦手です。粉っぽく、しつこいのです。空気に粉の粒子が漂っているような気がして、息苦しく、窓を開けたくなります。お墓参りでお線香を立てる時はさほど気になりません。流れる空気に、お線香の香りが混ざっていくのは、良いものです。
ですから、締め切った空間で香を焚きしめるというのが苦手なのだと思います。
おそらく、この鼻は空気の新鮮さのようなものにとても敏感なのでしょう。
粉っぽくない香水はとても好きです。揮発していく香りは楽しめるようです。
一時期は香水をせっせと買って、色々と試していたのですが、ここ数年は少し距離を置いていました。歳を重ねて、香水が似合わなくなったような気がしたからだと思います。
フォロワーさんに香水好きな方がいて、やり取りしているうちに、また香水熱が再燃してきました。
調香体験をしに行って、そのお店のオリジナル香水を手にいれたことが格別大きな再燃のきっかけです。その後、また香水に手を伸ばすようになりました。
以前は、気張って、デパートのコスメフロアに突撃していましたが、
ここ最近突撃するのは、ファストファッションのZARAのメンズフロアです。
フォロワーさんのおすすめでジョーラブズ(ジョー・マローンの現在のブランド)とZARAのコラボ香水、「VIBRANT CITIES」のディスカバリーセットを入手して、驚きました。

VIBRANT CITIES ディスカバリーセット


本当にファストファッションの香水かと疑いたくなるほど高級感のある香りです。しかし、高級ブランドよりは香料の濃度が淡いのか、しばらくすると、揮発してしまいます。この淡さが絶妙です。
1番気に入った、「ELEGANTLY TOKYO」を100mlのボトルで欲しかったのですが、発売が2021年だったため在庫がありませんでした…。とても残念です。
そこから香水に詳しい人たちの間でもZARAの香水、特にメンズ香水の品質の良さが人気になっていることを知り、情報が入るたびに、ZARAを視察しにいく習慣ができてしまいました。

以下は、この夏から秋にかけてのお気に入り香水、備忘録です。
ご査収ください。


SUNRISE ON THE RED SAND DUNES


この夏、1番気に入ったのもの。

SUNRISE ON THE RED SAND DUNES

ジンジャーエールに柑橘が混じったような香り。しゅわしゅわした炭酸の泡が見えるような気がする。液体の色は淡い黄色。さっぱりとしていて夏の蒸し暑さや日差しにも合わせやすかった。夏用の軽い服装にも合うけれど品がある。汎用性が高い。ハイブランドのとある香りに似ているらしい。瓶とラベルもとてもいい。

GOLD

こちらは夏の2番目。

GOLD

シナモンの甘さとレモンの爽やかさ。
公式には「濃厚でモダンな夜のフレグランス」とあるけど、個人的には解釈違い。明るいプールサイドで食べる、シナモンが効いたアイスクリームみたいな…。中年男性っぽい香りと言われれば、そうだが、少量つけるととても爽やかに感じる。

Olivia Giacobetti VAPEUR BLANCHE

この秋、1番使うはずで、ストックにもう1本欲しいと思うくらい気に入っている。

Olivia Giacobetti VAPEUR BLANCHE

ZARAの売場は、あまり鼻が効くような環境でないので、その場ではイマイチ良し悪しがわからない。
帰ってからつけてから、その良さに気づいた。
ユーカリとシダーウッドが効いていて、俗にいうお寺系だが、重たくない。お寺系はお香の粉っぽさがあるものだがこれにはない。透明感がある。
公式キーワードに「浄化」とあるが、確かに低級霊くらいなら飛ばしそうな、清浄さで、つけるとシャキッとする。しかし、職場でも、気づかれにくい穏やかな香りで、1日の終わりにはほぼ消えている。
他の香水と重ね付けしても問題ない。
ボトルの上部がすりガラスで洒落ている。

ちなみに同じシリーズの
POPELINE BLANCHE は、オレンジっぽいもけもけした匂いがダメだったので購入しなかった。鼻がチクチクする。こちらを絶賛している方も多いので、自分の反応にショックを受けた。ようやくわかってきたのだが、ベルガモットとネロリが全面に出るとちょっと苦手なようである。
LIVRE BLANCとBLANC ENSOLEILLÉは、購入した。
特にBLANC ENSOLEILLÉはその場で気に入って購入したのだが、帰ってつけてみるとやや甘すぎて、遊び用の香りだと気づく。爽やかなココナッツミルクに花の香りが混じり、香りの持続性が高い。
帰宅した時点では、コットン系の香りのLIVRE BLANCが気に入っていた。コットンの健康的で、清潔感のある香りに、キリリとホワイトウッド、「良い匂いの洗剤使ってます」で通ると思われる香り。

しかし、購入してから数週間が経った今では、VAPEUR BLANCHEが最も良いと思う。
つける場所を選ばない、気持ちをしっかりさせてくれるお守りのような香りだ。

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