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2024年1月26日 「お嬢様ことば速習講座」感想

今日は雪がちらつくことはありませんでした。
雪が悪いというわけではありませんが、
ホッと胸を撫で下ろします。
空気はかなり冷たいけれど、空の色は明るいため、
さほど重苦しい気分にはなりません。
空が青く見えるというのは、
それだけで、加点のようなものです。
今日一日に、30点追加と
声高に叫びたくなりました。
大して良いことがなくても、「もうすでに30点はあるものね」と
自分を慰めることができます。

さて、常日頃から口が悪い人間で通っておりますが
その実、
昔の小説に出てくる女性が使うような言葉に
心惹かれるところがあります。
もう今では、
お芝居や漫画、アニメ、小説などでしか使われなくなったように思われる
敬語ほど畏まってはいないけれど
丁寧で柔らかい言葉の数々。
自分のキャラクターとは全くあってはいませんし、
日常でも褒められた言葉遣いなどしていないのですが、
不意に脳裏に浮かんだり
口をついたりします。
先ほどの「…あるものね」という言葉も日常ではさほど耳にしませんが
心の中でつぶやく分にはいいじゃないの…と思っています。
「いいじゃないの」という言葉も、くだけたとはいえ、やや古風ではあるでしょうか。

さて、今回は、昨年Audibleで聴いた加藤ゑみ子「お嬢様ことば速習講座」の感想です。


・聴くことになった経緯


占星術のトピックや占星術の学び方を発信されている星見当番さんが

その学びを発表する場をX (Twitter)のスペースで定期的に、開いてくださっていたのですが、そこでのルールは「どなた様もお嬢様言葉でおしゃべりなること」というものでした。
このルールがあるからこそ、節度と礼節を見失うことなく、発表や交流ができるのでした。 
使い始めこそ、やや気恥ずかしいものの、お嬢様言葉を使おうとしていると、あまり粗野な言動は思い浮かびません。
言葉は振る舞いに影響があるのだ…と感じました。


お嬢様言葉…使ってみると、想像よりも難しいものなのです。
日頃どれほどくだけた、品のない言葉でしゃべっているのか、品のないボキャブラリーなのか、二言ほど話せば自覚いたします。しかし、お嬢様ならどう言った言葉を使うのか、そもそもそれがわかりません。
そこで、推薦されていたのが、この「お嬢様ことば速習講座」です。
Audibleもあるとのことだったので、早速ダウンロードしました。
「公共交通機関の中では聞かない方が良い」というアドバイスもありましたが、
待ちきれず、電車の中で聞いてしまったことをここで告白します。

・ナレーターさんがとてもお上手


ナレーターの松浦このみさんの読み方が、とても素晴らしいです。
感情たっぷり、緩急しっかりでお読みくださるので、話し方、そして言葉の選び方でどれほど印象が変わるのかを魔法のように、明らかにしてくださいます。
「このような言い方は良くありません、」という時の、その悪い例もまた迫真の演技であり、電車の中で聞いたことを後悔するほど抱腹絶倒です。
また素敵なお声のお嬢様言葉で繰り広げられる、叱責というか、お小言も、必聴です。

・お嬢様言葉はゆっくりそして軽やかに


このAudibleを聴いて、最も勉強になったのはこの点です。
「お嬢様は早口ではおしゃべりにならない」ということです。
お話をするスピードをゆっくりにするだけで、ずいぶん、余裕と品が出るのです。
ものすごい早口として名を馳せてきた人間としては、焦ったくなるほどのゆっくりさですが、それが肝要なのだそうです。
あのままを再現することは、せっかちな人間には到底無理なわけですが、
それでも、勉強になりました。
お嬢様言葉を使うような場でなくとも、
オンラインでお話しする時、
マスクをしてお話をする時、
子どもやお年を召した方とお話しする時に
ゆっくり話すスキルは有効です。
また、地声でべったりと発声するだけでなく、凛とした声でお話しするようにすることも大事だと感じました。

・言い換えのスキル


お嬢様言葉というのは品よくあらねばなりません。
それゆえに、
あまり直接的な表現は避け、柔らかく言い換えたり、
やんわりといなしたりするようなのですが、
そこも大変興味深く聞きました。
表現が直接的すぎるきらいがある人間にとっては、なかなか難しいことですが、
こういうのも、慣れであるのかもしれません。
ひとつの言いたいことに、
いくつもの表現を持っておき、
その時と場合に合わせて使い分けることは、お嬢様でなくとも、
一端の大人であれば必要なスキルです。
折に触れて、考えておくと良いような気がします。

・いつも心にお嬢様を!

くだけた言葉使いや方言の素晴らしさ、
懐のひろさというものも確かにあると思います。
その一方で、お嬢様言葉や少し昔の小説に出てくるような言葉使いの美しさ、楽しさもあると感じるようになりました。
いつも心の中に、1人くらいお嬢様を住まわせておいて、
煮詰まったり、困ったりした時にこそ、
お嬢様ことばで呟いたり、
お願いができる、そういうおばさんになりたいと思います。
流行りの言葉を無理やり使うよりもずっと面白くて素敵な気がします。
落ち込んだ時にも、この本はおすすめです。
ウイットに富んだユーモアというのは、こういうことを言うのでしょうね。


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