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【感想】読書感想文「厭魅の如き憑くもの」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0045

戦慄の本格ホラー推理!山深い村に蔓延る恐怖の連続!
神々櫛(かがぐし)村。谺呀治(かがち)家と神櫛(かみぐし)家、2つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。
本格ミステリーとホラーの魅力が圧倒的世界観で迫る「刀城言耶(とうじょうげんや)」シリーズ第1長編。

『厭魅の如き憑くもの』(三津田 信三):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000205019

ネタバレあり感想。

民俗学的なミステリーが読みたくて手に取った、シリーズ一作目の作品。
著者の三津田さんご本人がおっしゃる通り(※)で、ホラーなのかミステリーなのか、最後まで読まないと分からないお話でゾクゾクしました。
ホラー、オカルトの枠組みの中で推理するフェノメノシリーズに近いのかなと思って読んでいたけれど、最終的には本格ミステリーでしたね。

※「講談社ノベルス」の特集記事?のようなサイトでの一問一答にて。
このサイト、シリーズの中での年表や相関図も載っていて、制作側の熱量が感じられる良いサイトです。

『生霊の如き重るもの』三津田信三|講談社ノベルス|講談社文芸第三出版部|講談社BOOK倶楽部
http://kodansha-novels.jp/1107/04/index.html

言耶の推理が行ったり来たりで、様々な可能性が提示されるのも私は好きでした。
井上真偽さんの「その可能性はすでに考えた」でもそうでしたが、「この場合はこう」「でも、そうするとこれが成り立たない」「ということは……」という流れで、あらゆる可能性を考えてもらえると、一緒に考えている気分になれて楽しいですね。

ちなみに「おわりに」のネタばらしで読み違いをしてしまい、理解するのに結構時間がかかってしまいました……。
同じような人がいないよう(多分いないだろうけど)、どう読み違えたかメモしておきます。

『「壱」から「陸」までの彼女の異様な日記』という文章の『日記』に気を取られ、「紗霧の日記より」を書いたのが実は「小霧」だったという誤読をしてしまったため、戸惑いました。

『「壱」から「陸」までの』というのは、「紗霧の日記より」「取材ノートより」「漣三郎の記述録より」以外のものを指していたんですね。

一部の章を分かりやすく書くと

壱 巫神堂:小霧視点
紗霧の日記より(一):紗霧視点
取材ノートより(一):言耶視点
漣三郎の記述録より(一) :漣三郎視点

弐 上屋の奥座敷:小霧視点
紗霧の日記より(二):紗霧視点
取材ノートより(二):言耶視点
漣三郎の記述録より(二) :漣三郎視点

ということでした。

気付くまで時間がかかったのが恥ずかしい……。
けど、理解できた瞬間が気持ちよかったので良し。

章ごとに視点が切り替わるから、ノベルゲームにしても面白くなりそう。

このシリーズ、追いかけていきたいなあ。

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