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教職の魅力とは何か考えてみませんか?『教職の愉しみ方 授業の愉しみ方』 まえがき

堀裕嗣先生と共著を書かせていただきました。
現場の教師にしか伝えられない教職の魅力、授業の魅力があります。
これから先生になる学生さんや教職に就いたばかりの若い先生には、その愉しみをぜひお読みいただければと思います。
教職に就いて久しい先生もぜひご一読いただき、改めて教職の愉しみとは何か、授業の愉しみとは何かを考える一助としていただければと思います。

宇野弘恵のまえがき  
 
 Twitterで「#教師のバトン」と検索をかければ、教員の働き方に関する膨大な意見や訴えや愚痴が流れてきます。朝早くから夜遅くまで、休日も出勤しなくては仕事が終わらないという声。人手が足りなく、一人で何役もこなしていてもう限界だという声。授業がうまくいかない、子どもとうまくかかわれない、保護者の要望に応えきれないという声。そして、もうやめたい無理だという声。これに対抗するかのように「#小学校教員はいいぞ」「#中学校教員はいいぞ」の投稿も一時流れましたが、短い期間で姿を消しました。それほど、教職に魅力より大変さを感じている人が多いということを感じました。

 こうした投稿を注意深く見ていくと、自分から教職という仕事に寄っていくことなく「大変だ」「無理だ」と叫んでいるものがあることに気が付きました。「こんなのは大学で習っていない」「誰も丁寧に教えてくれない」「保護者は無理難題を押し付けてくる、できるはずない」「管理職にきつく言われたから心が折れた」と、知らない、できない、無理!のオンパレード。

 もちろん、本当に大変な状況にある人も必死に頑張っても手一杯な人も、本当に先輩教師や管理職が理不尽な場合もあると思います。部活など個人の努力だけでは解決できない問題も山積です。自死に追い込まれるようなひどい環境で頑張っていらっしゃる方もいると思います。そうではなく、自分から歩み寄らず試行錯誤もせず、コストパフォーマンスのよさばかりを追う主張には首を傾げたくなるのです。授業や生徒指導をこなすことしか頭にない主張に疑問を投げかけたくなるのです。

 本来、教職は創造的な仕事です。手をかけ時間をかけ、試行錯誤しながらゆっくりゆっくり行っていく仕事です。にもかかわらず、すぐに結果を求められ失敗が許されない昨今、教師が愉しみながら仕事をする余裕がなくなりました。次々に追加される業務、教科に忙殺され、愉しむどころか一息つく暇もないという方も多いと思います。

 そうであっても、やはり教師が教職を愉しめない学校に魅力はないと思うのです。子どもの学びに携わる教師が自分の仕事を愉しみ、にこにこわくわくしてこそ学校じゃありませんか。そういう環境の中で子どもは学ぶことの楽しさや喜び、働くことの愉しみを感じ取るものだと思います。そしてそれだけの愉しみがこの仕事にはあると思います。

 本著は、そんな愉しみはどこにある?どうやって愉しみを見つけたらいいの?と問うきっかけになればと思い記しました。教職をこなす仕事としてではなく、教職を愉しむ仕事として考える一助となれば幸甚です。

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