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「スピナマラダ!」・「ドッグスレッド」の世界を垣間見る〜第71回秩父宮杯関東大学アイスホッケー選手権大会


「ドッグスレッド」とは


「ゴールデンカムイ」の野田サトルが昨年からスタートさせた、高校アイスホッケー漫画。現在、ヤンジャンに連載中で単行本は2巻まで刊行されています。

実は「ゴールデンカムイ」の前にもアイスホッケー漫画「スピナマラダ!」を連載していた野田先生。事情は詳しくは知らないんですが、おそらく「スピナマラダ!」は打ち切りにあってしまってその雪辱としてのリメイク…ということなんじゃないかな、と思っています。

リメイク前の「スピナマラダ!」も粗削りでスポーツ漫画感にあふれていてよいのですが、「ドッグスレッド」はそこに洗練が加わり、丁寧に描かれる選手達の心理と背景が追加されて、かなり面白い展開をしています(まだまだ序盤なんですけどね)。
キャラクターは手塚治虫的な記号化(スターシステム)があって「ゴールデンカムイ」の登場人物達に重なる部分も多々。彼らの転生や子孫として描かれている部分もあるのかもしれません。二瓶先生は二瓶鉄造のまんまですからねえ…ま、二瓶先生が先にあってからの「ゴールデンカムイ」ですが。
(主人公の白川朗は顔立ちは鯉登っぽいです。ちょっと性格は江渡貝くんぽいかも…「杉元」はこれから出てくるかなあ?)

野田先生の「ゴールデンカムイ」を経て磨きまくられた画力とますます異彩を放つギャグ(シュール!)とばしばし伝わってくるアイスホッケー愛。
読み始めると面白すぎて止まらない「ドッグスレッド」、おススメです! (そして「スピナマラダ!」を読んでおくと変化をより楽しめます)

第71回秩父宮杯関東大学アイスホッケー選手権大会


んでですね。

「ドッグスレッド」でアイスホッケーへの関心が高まってきたところで、私の好きなミュージシャン・kurosawadaisukeさんが地元でアイスホッケーチームに所属している関係で大介さんのSNSで試合や練習の話を伺うことも増え、動画もちょこちょこ見るようになり…などしているうちに、どうしても生で見たくなりまして。
冬に思いつけばよかったんですが、タイミング悪しく春に思いついてしまい…今って、前年のシーズンが終わって、今年のシーズンに向かう…という間の時期らしいんですね。
素人が最初に見るならプロリーグのほうがいいかなーと思ってたら、プロはだいたい秋口からリーグが始まる模様。しょぼーん。

それでも諦めきれずにあれこれ調べてたら、4~6月に関東大学選手権があるのを発見!

よっしゃー!!
うまく予定が合ったので、6/2にグループA決勝リーグの最終試合を見てきましたー!

東伏見 ダイドードリンコアイスアリーナ

会場は西武鉄道東伏見駅すぐ近くのダイドードリンコアイスアリーナです。西武鉄道が保有する2つのアイスリンクのうちの1つ。フィギュアスケートの大会もよく行われているそうです。
なんで西武鉄道?と思ったら、以前は実業団アイスホッケーのクラブを所有してたんですね。

東伏見の駅を降りて南口、めっちゃ目の前。すぐわかる。
ドラッグストアが併設でちょっと戸惑う。

看板があって助かりました。「ドッグスレッド」っぽい色使い(逆か、「ドッグスレッド」がアイスホッケーっぽい配色なのか)。

これのおかげで入口に迷わなかった

南ゲートから入場~。
ここでは各大学でチケットを手配したOG・OB・家族等が受付していて、一般は扉の中に受付がありました。
一般、圧倒的に少なかったなぁ。大学の大会だとそんなもんか。

目の前のカップルについていってスムーズに。勝手にありがとう!
開けたらもうそこがリンクです。

余白なし、扉開けたらもう冷気。うおお。
スケートリンクなんて何年ぶりに入ったかしら…??
着いたときはまだ朝イチの駒澤大学の試合をやってるとこでした。最後、ゲームウイニングショット(サッカーで言うところのPK戦)になってた。

リンクにつくまでにもうちょっとクッションがあるとばかり

命名権を得たのはダイドーなので、場内はダイドーの自販機しかありません。ダイドー好きなので嬉しい。
そして何より、ホットドリンクがあるー!! 助かりました。通年あるんだろうね。

ちゃんとスロットもついてるよ

試合と試合、各ピリオドの合間には製氷車が走ります。気づくといたのですが、どこに格納されてるんだろ…??????

パックが飛ぶのでリンクの周りにはぐるっとネットやアクリル板が付されていて、それでもなお、パックは客席に飛び込んできます。
関東大学選手権大会の参加大学の垂れ幕がずらり。

大きな大学では応援団やチアリーダー、ブラスバンドも。
この日は法政、明治、東洋の応援団がいて、一番派手だったのは明治でした、さすがランキング1位。
面白かったのは、音を出すのは休憩時間か、アイシングなどで試合が止まってフェイス・オフに差し掛かる合間のほんの数秒だけなんですよ。
それは応援だけじゃなくて場内BGMも一緒でした。
東洋にいたっては試合中は一度も、音を出さなかったです。大学によって違うんですねー。明治はブラスも応援団も激しかったです。

チーム同士のベンチは対面ではなく、この小さなスペースが同じ側に横に並んでいて、反対側には本部とペナルティボックスがありました。
これはリンクによるのかな?

選手の入場を待つベンチ

ベンチの横には各チーム、ドリンクを置いたり、けがをしたときに冷やすための氷があったり。ベンチに入れない選手はベンチ近くの客席で応援していました。

寒さ対策

初心者なので先にいろいろ調べたり(でもあの、調べ方も悪いのかもだけど、アイスホッケー観戦のための情報、特に体験記ってあまり出てこなかった…ルールの解説はいっぱい出てきたけど)、大介さんにアドバイスもらったりして「ガチ冬」で対策しました。
6月の比較的涼しい(23℃くらい)日なので行きは七分袖1枚。靴下は膝まであるものを履いておきました(暑かったら下げればいいやーと思って)。
持って行ったのは、
・タートルネックのインナー
・ダウンコート
・ブランケット
・ストール
・使い捨てカイロ
・手袋
です。
カイロと手袋は使いませんでした、そこまでの冷えではなかったです。
インナーとコートは到着後に着ました。ダウンコートはさすがにオーバーでは?と思ったんですが、2試合(=2時間半くらい)終わったときには持って行ってよかった、としみじみ。
ブランケットは必須!! 客席の椅子がめっちゃ冷える!!!
ストールは座る位置で、という感じ。リンクに近づくほど冷えるので前で見るならあったほうがいいな、と思いました(実際、明治の試合で前に座ったときは足がどんどん冷えたので重宝でした)。
室内は10℃くらいの感じでしたが、実際はどうだったんだろ?

法政vs中央

まずは中央大学vs法政大学の試合を見学。
大介さんから注目選手などを教えてもらっていたので参考にしつつ、実は父が中央のOBなので中央を応援することに。
ということで、中央大学のベンチのすぐ後ろに陣取ります。お隣は選手のお母さんたちの団体でした。お母さんたちみんな、私より年下だなあ…(ふっ…)。
通路挟んだところにはご夫婦がいらして、直接の関係者ではないようでしたが、選手名をメモしてきて狙って立派な一眼レフで撮影してたので写真を頼まれていたのかも?
ちなみに広報や取材はパスをもらってリンクの真横から撮影してました。怖くないかなあ。

選手達のカッコ良い写真IceHockeyStreamさんの記事でご覧ください。この方のnoteでめっちゃ勉強しましたよー。

試合はAIカメラによる動画配信もされてました(有料)。

こんな視野でした。上から2列目だと全体が見渡せました

わからないなりにわかる範囲で応援!!
印象ですが、サッカーとバスケが混ざった感じ…? 疾走感は全然違いますが、目でパックを追えないということはなかった。割と動きはつかみやすい。あと、人が人にぼんぼん当たってもいいっていうのがとにかくびっくりでした。リンクの壁に当たる衝突音、すごい。
でもこれまだ、中央・法政の試合はおとなしいほうだった…。

フェイス・オフ

中央大学は第1ピリオドの最後に納得のいかない形で得点され(審判に申し立てたけど変わらず)、それが奮起となったのか、第2ピリオド以降は圧倒的な強さを発揮、最終的に4対2で勝利しました。

見ているとこの日の法政はパスのつなぎかたがあまりうまく行っていないように見えました。ひとり、ゴールを決めた選手だけが動きも速さも突出してたけど、ひとりじゃしょうがないんだなあ、チームスポーツだもんなあ。

というわけで、中央、おめでとー!
何も関係ないとしても、応援してたチームが勝つと嬉しいですな。

勝ったどー!

明治vs東洋

この試合は東洋が終始、押している感じでした。
スピードは明治があるようで、第1ピリオドも第2ピリオドも先制は明治だったんですが、すぐにひっくり返される感じ。
最終結果を見ると、リーグ戦なので総勝利数等で優勝は明治大学だったんですけどね。

試合のカッコよい写真は同じくこちらの記事でどうぞ!

応援団の方が配ってくれましたわーい

明治は応援団もチアもブラスも、ご家族や友人やもしかしてOBOG?も、観客席びっしりになるくらいの応援でした。
紙製のメガホンを配っていただきました。うおー。
ユニフォームまで明治はド派手でした。

明治は黄色と紫でド派手!!!

中央・法政の試合よりも展開が早い!
スピードも1.5倍くらい。その分、ぶつかる頻度も高くてしょっちゅうリンクにどごーん!と音が響き、パックが客席に何度も飛び込み、ペナルティの数も多いし、なにしろ交代の数がめちゃくちゃ多い!
「ドッグスレッド」にも1分くらいで脚に乳酸が溜まる、って言ってたのが理屈でなく体感できる試合でした。ひー、ハードー。
喧嘩は起きませんでしたが、選手の上に選手がぶつかって覆いかぶさりあわや、な場面もあったし、審判が何か注意を加えている場面もあったし、ランキング上位校ともなると全体にエネルギッシュなんだなぁ…と感嘆してました。
あと、明治も東洋もパフォーマンスも派手でした。シュート決めたときのポージングも(戦隊ものみたいなフォーメーションしてた)。強さと華は比例するよな、確かに。

客席に飛び込んできたパック…

2ピリオドまでは明治側で見ていたんですが、席がなくて最前列になってしまい、ベンチが邪魔してパックを最後まで追えなかったので、最終ピリオドだけ東洋のベンチ側に移動(メガホンは隠した、もちろん)。
明治を応援する目になってたのでうっかり明治のシュートで喜びそうになった、危ない(笑)
東洋の応援は静か目でしたが、聴こえてくる会話からはゲームをしっかり理解して見てる方が多かったです。

明治が決めると倍で返す、というような試合展開で、最終的には東洋の勝利!

東洋、勝ちました~
両チームともおつかれさまでした~

ルールの話(初心者的把握と感想)

まずは、日本アイスホッケー連盟の初心者向け解説を読んでみた。
(あと「スピナマラダ!」「ドッグスレッド」の巻末解説や、土肥くんやロウのおじいちゃんの台詞で勉強したッ!!)
そのうえで試合を見て思ったこと、などなど。なんか間違って解釈してたらすいません。

アイスホッケーのリンクはこんな形。
丸い青の半円がゴールエリアで、ここからシュートを打つときはひとりでないとだめ(半円の中に味方がいたらだめ)なんだって。でも、団子状態で審判、見分けられるん? すごくない?

パブリックドメイン画像を利用しました。

ダイドードリンコアイスアリーナでは、ゴールのネット裏にボックスがあって、ゴールが入るとパアーン!って音とともにランプが光ってて、たぶん、ネットにセンサーがついてるんだと思ったんだけど、どうでしょう。
んで、一応、ボックスの中に人がいて目視でもチェックしてた。
明治vs東洋の試合では一度、東洋の申し入れでビデオチェックもされてました(結果的に得点になった)。

ビデオチェック、めっちゃ手間取ってた


フェイス・オフ
バスケットボールで言うとこの、ジャンプボール。
審判が向かい合ったFWの間にパックを落としたら始まり。中断からの再開もフェイス・オフで。場所はゴール前に左右に描かれた円(フェイスオフスポット)の中で。
このとき、他の選手は丸いラインの外にいないといけないらしいんだけど、明治・東洋の試合の時、審判が何度も後方の選手に注意してた。近すぎたのかな?

試合人数
チームは6人。ベンチには22人まで。
キーパーふたりと、ほか5人✕4セットがフル。
ゴーリー(キーパー)・フォワード(3)・ディフェンス(2)。
正直、フォワードとディフェンスは初心者には動いてる中では見分けはつかない。

めっちゃ交代するやん
乳酸がすぐ溜まるんですって。全力で疾走しまくるんだもんなあ。
1分はオーバーだけど、明治・東洋の試合では3分くらいで戻るケースもありました。
疲れたら、ってことが第一にあるんだろうけど、チャンス!の瞬間に休んでためっちゃ元気なFWを送り込んですぐさまパックを運ばせる、とか、そういう戦略もあるのかもなーと思いました。相手がペナルティ重ねて選手数が少ないときとか?
おそらく交代の組み合わせ(自分とこの人はペア、みたいな)は決まってるんだろうけど、法則までは見分けられなかった。
コーチはいたけど、ベンチではほぼ指示を出しておらず、基本は選手達の判断で進んでいくんだろうと思いました。

ゴーリーのあれこれ
時々、バシンバシンバシン、とリンクをスティックで叩く音がして、見るとゴーリーが叩いていて、味方への叱咤とかなんでしょうかね?
ゴーリーはほぼ動かないんですが(動けない、が正確か)、しょっちゅう水分を採ってたのが印象的でした。あんなに重いものつけて立ってるだけでもエネルギー消耗するんだろうな。
ゴーリーがいなくなって6人攻撃だった瞬間もあって、あ、ほんとに総攻撃ってあるんだ!ってびっくりしました。ゴーリーの交代もあって、交代直後の念入りなストレッチやスティックを使ったルーティンが印象的でした。

ルールについては下の2つ「オフサイド」「アイシング」だけは覚えとけってみんなが言うからルールそのものは覚えたけど、見ていて実際にそのシチュエーションだと判断するのは難しかった(審判が止めてから、そうだったんだ~って理解するって感じ)。
高い位置で俯瞰で見ないとわかんないと思う。選手は動きながら判断するんだもんねえ、すごいよね。審判はもっとすごい。

オフサイド
攻撃側(パックを持ったほう)の選手が、パックより先にブルーライン(相手チームのエリアの真ん中あたりにある青いオフェンスライン)を身体全体で越えてしまうとオフサイド。
(スケーティングで先にゴールまで回り込めるから、それをやるとみんな通っちゃってずるいってことなのかな?)

アイシング
攻撃側(パックを持ったほう)がセンターラインより手前(=自陣)から出したパスが誰にも触れずに相手方のゴールラインを越えるとゲーム停止。
自陣のゴールに一番近いフェイスオフスポットで再度、フェイスオフ。 

ペナルティあれこれ
そのほかはペナルティによってゲームが止まる。
ペナルティの重さによって異なる時間、反則した選手はペナルティボックスに入らないといけないんだけど(2分、4分、10分が実際にありました)、マイナーペナルティは入ってる間に味方が失点するとその段階で戻れるけど、メジャーペナルティは時間いっぱい戻れないらしい。
たまに、ボックスに人がいるのにリンクに5人残ってるときがあって、それはペナルティがチームではなく個人に課せられた場合なんだそうです(ので、別の選手と交代してよい)。

正直、このあたりは、ペナルティボックスに誰か入って、得点ボードにペナルティを犯した選手の背番号と時間が出て初めて「ああ、反則だったんだな」ってわかるって程度でした。
スティックに関するペナルティは危険だからなんだろうけど、明らかに故意じゃない、わ!当たっちゃった!ってときはどう判定されるんだろう?

・スティックを肩より上に上げてはいけない(ハイスティック)
・スティックを相手に引っ掛けてはいけない(フッキング)
・スティックで相手を叩いてはいけない(スラッキング) 
・パックを持っていない相手選手を妨害する(インターフェアランス)←これ、実際に結構取られてました
・キーパーでない選手がパックを掴む(ハンドリング)
 などなどなどなど…

ペナルティぽいけどペナルティにならないこと

・押す、むりやり割り込む(みんな壁にぶち当たりまくってた)
 程度がひどいとさすがにペナルティになるんじゃないかと思います。
・パックを足でつかう(足によるゴールは無効)
・パックに手で触る(はたきおとすなど。手でゴールに投げ入れるのは無効。握るなど長く持つのはペナルティ)
・ゴールポストの後ろに回る(むしろ使いまくる)

まあね、どれほど調べていってもやっぱり初心者だし、わかんないっす!!

わからなくても面白かった!!

でも、わからなくても面白かった!です。
一番嬉しかったのは、「ドッグスレッド」の中で朗や慶一達が感じているであろうスピード感、冷気、シュートが決まった時の高揚感、ぶつかり合う瞬間のどっ!という音、熱気などなど、二次元を三次元で感じられたことです。特に今回は大学生だったので、「朗達の数年後」でおそらく漫画の中で感じてる感覚と近いものを見られたんじゃないかと思います。

新しい体験ができたのも「スピナマラダ!」・「ドッグスレッド」の2作品のおかげです。
野田先生、面白い漫画をありがとう!

また、見に行きたいです…今度こそ、プロホッケー!
いずれは朗達の暮らす、苫小牧まで行ってみたいぞー。



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