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「枯れ朽ちたリリックを鳴らし続けた」君のシグナルが届いた日~toybee「REVIVAL」リリース!

toybeeのニューミニアルバム「REVIVAL」が2023.7.10、デジタル配信で先行リリースされたよー!(CDは7/20リリース!)

…と、突然書かれてもえ、といびー? 何?ですよね。
「toybee」というのは、最近、私が推しているバンドなのです。本日は彼らの新譜の感想をば。


toybeeとは。


前身のBOYS END SWING GIRLというバンドが解散し、その後、中心メンバーだった冨塚大地くん(VO.&G.)と鍔本隼くん(G.)のふたりが2021年に結成したバンド。ふたりだろうと、バンド。
リリックの美しさ、アレンジのバラエティ、何よりツインギターでギターにこだわり、「バンド」にこだわる音の厚さ。ボーカルのとみちゃんの甘いのにどこか翳りのある声、特に高音の魅力。隼くんのストイックでありながら時折破裂するギターの心地よさ。名前のとおり、音楽の楽しさをおもちゃ箱のように詰め込んで、でも楽しい・甘いばかりじゃなくてちょっとちくっと蜂のように刺さるところもある、予想を裏切ってくる、そんなサウンド。魅力的です。

★toybee公式サイト

この7月にずっとサポートしてくれていたベースの藤盛太一さんを正式メンバーとして迎えて3ピースになったtoybeeの今後がさらに楽しみです。

まあ、彼らのここまでの紆余曲折はとても数行で書けることではなく…過去のライブレポにちまちま書いているのでよかったら読んでやってください。

とみちゃんのソロツアーも楽しかったですよ。

ミニアルバム「REVIVAL」


来週7/20には新宿ロフトでのワンマンライブを控える中、そのライブに向けて制作されたミニアルバムが「REVIVAL」。
彼ら自身の再生であり、彼らの愛するロックの再生であり。
配信がスタートするやいなや、ファンを熱狂させ続けてます。

★配信盤はこちらから。

可能なら、レコチョク・タワレコあたりでハイレゾ音源を購入してください。びっくりするくらい音圧が違います。

てことで。
4月のshelterワンマンに合わせてフルアルバムをリリースしたばかりなのにたった2カ月でここまでの完成度のミニアルバム(って言いながら7曲やぞ!)を仕上げてきた彼らにまずは大きな喝采を。

「今だ、今でなければだめなんだ」という強い意思を感じるミニアルバムになっています。全然ミニじゃねえのよ。

皆さんの感想は今、Togetterにまとめかけてるんですが、人様の感想を読んでると引っ張られそうなので、取り急ぎ、自分の感想もまとめておこうと思います。

ドラマチックな音の連続に酔う


「REVIVAL」
惑星ダブリス
SuperImagination
ワンタイムラヴァー
風知らぬひと
フロムアンダーランド
TeenageBlack
シーラカンスと文学

全7曲、冨塚大地作詞・作曲。

インパクトが強く「開幕!」という空気の強いイントロ、ギターのサウンドがわっ!と音の世界を開く「惑星ダブリス」(「REVIVAL」ってタイトルがどばん!と画面に出てきそう)。
CDリリース前からリリックビデオが公開されたり、ライブで演奏されたりしてファンには人気だった曲。私も大好きな曲なのでいきなりテンションが上がった。
曲の中に音が充満しきった、複雑な、けして明るくはない、重たいこの曲で始めるあたり、それでも受け入れられるはず、という冨ちゃんの自信を感じもする。
逆回転のギター(「TommorowNeverKnows」のよう)、バックに流れ続ける歌詞を読み上げる無線の音、美しく響くストリングス(曲に明るさを与えてると思う)。ぼぶさんのドラム、とりわけシンバルの破裂するような音が気持ちを煽っていく。音の奔流にいきなりかっさらわれる。

宇宙の果てにひとり孤独に漂う宇宙飛行士が地球に向けて信号を放ち続ける…それだけでもぐっと来るシチュエーションなのだけれど(手塚治虫の「火の鳥」の宇宙編を思い出している)、韻を多用したリリカルな歌詞(「フラスコのマゼラン」と「プラス思考の枷」はすごいジャンプ!)の中に、二重の意味での「忘れ去られたもの」が潜んでいるように思う。
つまり、彼らが何度か語っているロック・リバイバル…ギターバンドがなかなか評価されにくい現在にそれでもこだわって届けたいサウンドのこと、もうひとつは、彼ら自身のこと。
SHELTERワンマンが実現するまで、彼らは自分たちの音楽が必要とされていないのではないかという不安の中でずっと活動を続けていた。「もはや死など隣り合わせ」という歌詞は実はかなりの本音なのではないかと思う。

Can you feel its soul?
魂を感じるか? 俺の声が聴こえるか?

ロックミュージックの叫びであり、冨塚大地の叫びなんだと思うとぐっときてしまう。
この曲が書かれたのはもうだいぶ前で(1年近く前のライブで聴いている)、おそらく彼らも一番苦しい時期だったのではないか。

孤独を恐れずに信号を送り続けて、今は、しっかりと届いている。「枯れ朽ちたリリックを鳴らし続けた」君のシグナルが届いた今、心なしか、今回のCDに収まったアレンジには昏さよりも明るさを感じるのである。

うっとりと陶然としてる頭をぶん殴るように、オールドなサウンドで元気に行くぞー!!と叫んでるように始まる「SuperImagination」。
これも人気曲!
ラジオから聴こえるようなギターのサウンドがぐーーっと近づいてきて、自分の耳元にどん!と届く瞬間の心地よさったら。
この曲は特に、とみちゃんの唄の癖(あ行、特に「う」がすっごく独特に粘るよね)を感じられて、にやにやしちゃう曲。
この曲はもともと曲の中に「Satisfiction」が織り込んであって彼らのロック愛を端的に伝えてくれるんだけど、「歌うのは俺らのオリジナル」と展開するあたりの自負が最高にいい。
隼くんの強烈なギターソロ(最高)のあとで、きゅーっ!とテープの早回しのような音が入って、さらにギター弦をきゅ!きゅ!!とこする音が何回か入るところ、すごいアレンジセンスだなあと思うんだけど、この音にハートをきゅ!っと絞られてしまってたまらん。
ビートの強い明るい曲だけど、一本調子ではなく、途中、ふっと落ちる、あの緩急も最高に気持ちいい曲だと思う。

「踊りたいならトンじゃって」のとおり、ハイテンションになったところにそのまま、チャック・ベリー!(Johnny B. Goode!)な「ワンタイムラヴァー」
中盤は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマイケル・J・フォックスのイメージだって配信では話してた(てけてけてけてけ!)。そのギターソロの真ん中に、急に、ビートルズの「デイ・トリッパー」のフレーズかましてくるもんだからにやにやが止まらなかった。
バンドメンバーでのコーラスは、ライブでみんなとコール&レスポンスするイメージなんだと思うので、ロフトまでにしっかり覚えておかないとね!
頭からおしまいまでぶんぶん唸ってるタイチさんのベースが最高。これがあるから、ギターがあっちこっちぶっとんでてもちゃんと帰ってこられるのだ。
歌詞は結構、ちょいちょいエロいなーと思って読んでんだけど、どうかな(こいつを慰める、とか、優雅に跨る、とかさ・笑)。

2曲続いたテンションをそっとおさめる「風知らぬひと」
とても文学的な恋の唄なのだけれど、アレンジには遊びがいっぱいで奥が深い曲。イントロは「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド」(アコギがいい音。エレキの揺れる音とベースの低い音とが不安定な気持ちにさせる)、サビ前に「カム・トゥギャザー」(しゅっ!というスキャットとドラムの音どこどこっ!となる印象的なフレーズ)、随所に「StrawberryFieldsForever」、中盤のギターソロは「ヘイ・ジュード」。ビートルズが好きなことは公言してるとみちゃんなんだけど、今回はかなりふんだんにそれを盛り込んでいて探すのがとっても楽しい。
この曲はすごく歌詞の解釈が難しいなあ、と思っていて、文学青年・冨塚大地の本領発揮という印象。
シンプルに恋の歌のように響くけれど、それだけでもないような。不思議な歌詞。まだ私には謎だらけ。考えるのが楽しい。英語版のタイトルが「Whispering love」。ささやく愛。なにか、青い鳥の姿が浮かんでいる。
流れるようなメロディに比して、背後にいろんな音がフックのように潜んでいて、何度もはっとする。我を忘れて追いかけた、の和音階のようなメロディにも耳を奪われるし、最後のボレロのリズムにもそそられる。心がそわそわする曲、とても好き。

翳りのある前曲を引き継いで始まる「フロムアンダーランド」。
Shelterライブで我々を号泣させた曲ですが、なんだかあのときより明るく感じるのは気のせいかしらん。
間奏のドドドドドドドドドと迫るドラムとベース、細かく刻まれるギターがたまらんです。
アルバムの中で1曲だけ人に勧めるならどの曲がいい?ととみちゃんがリリース日の配信で聴いた際にもこの曲を答える人が多かった。私もこの曲。
今は穴の中、地下(アンダーランド)にいてもいつか地上(ワンダーランド)に行ける、という、歌詞にこめられたそっと差し込む光のような希望と、シンプルな4ピースのストレートな音とが相まって、この曲に強い普遍性とスケールを感じさせるからじゃないかな、という気がしている。

「風知らぬひと」が起承転結の「転」で、「フロムアンダーランド」が「結」。ここで一度、おしまい!っていう感じがあって、アンコール感な「TeenageBlack」へ。「あほんだらいふ」系のバカスカなロックンロール!
明るい倍テンの疾走感の強い音に比して、歌詞は結構な陰キャ感。恥もつらさもしんどさもまるっと受け入れて背負ってくしかねえだろ、と「15歳の冨塚大地」へ、そして今、しんどい「思春期の君」へもう覚悟決めろよ!と喝を入れる曲だなあ、と思って聴いている。
Paint it black!(黒く塗れ!ローリング・ストーンズ)

そして、エンドロールな「シーラカンスと文学」
一度だけライブで聴いて、なんていい曲なんだと思っていた、やっと音源で聴けた。嬉しい。
苦しくないから、の高音が切なく響く。
これも随所にビートルズのサウンド(特に「StrawberryFieldsForever」、全体のサウンドは「Something」っぽい、とっても)は感じるんだけど、何の曲に似ている…という感覚を越えて全体に大きくサイケデリックで、TheWhoの組曲のようなサウンドスケールがあってめちゃくちゃいい…。ライブで一度聴いたときも、光が底まで差し込んだ深海にあぶくを吐き出しながら浮かんでるような心地がしたのを思い出した。
この曲は音源ではぼぶさんがドラムなんだそうで、今度のロフトは無理だけど、いつかライブでもぼぶさんのドラムで聴きたいな。

というわけで駆け足で7曲の感想。またそのうち、足すかもです。

公式の解説が出ちゃったよ!

もたもたしてたら、公式の解説がポッドキャストで公開されちゃいましたーぎゃー!
聴かずに書いてるので、的外れもあるかもだけど、ファンの妄言としてお読みくだされ。

ポッドキャストはこちらから!


なお、CDは予約をいったん締め切って、今後、7/20以降通信販売でも買えるようになるのでは…とは思いますが、なんと500枚作ってすでに300枚予約超えてるそうで。追加生産盤になるかもしれませんが、彼らのこだわりのサウンド(「CDはほんと音いいから!!」ととみといびー曰く)をぜひ円盤でも味わってください。
私も手元に届く日が楽しみです。

★公式ショップはこちら。
toybee Official Shop

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