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「なんかいい」を吹き込むことで目指す、自分たちのアイデンティティを根源としたサービス創り -株式会社オレンジスピリッツ


■企業概要
企業名:株式会社オレンジスピリッツ
代表取締役:野口 洋一
設立:2007年6月1日
事業内容: クラウドサービスの企画・開発・販売・運営

■支援概要
課題:コモディティ化する業界の中で、市場成長率以上の成長はしているものの、指数関数的成長な成長ができておらず、打開策も見出だせていなかった。

支援内容:機能的価値を訴求していたが、企業・サービスの情緒的価値を訴求するために自社のアイデンティティの見直し、コンセプトメイキング・MVV策定・ロゴ制作・タグライン策定

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▲unnameの担当したコンセプトメイキング

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▲リニューアル後のオレンジメールWEBサイト


株式会社オレンジスピリッツが運営するメール配信サービス「オレンジメール」。

常にユーザーに向き合い機能面のアップデートを頻繁に行ってきたことによって、彼らは業界全体の成長速度以上の成長をしています。しかし、そのスピードは代表である野口さんの想い描くものとはギャップがありました。

さらなる成長を求める彼らから、ただ単に機能で選ばれるのではなく、「なんかいい」、「人の感覚でも選ばれるようにしたい」と、unnameにご相談をいただきました。



自社のサービスに「なんかいい」と思えないことが行き詰まりの原因かもしれないと思っていた

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▲代表取締役 野口さん(左)、平野さん(右)

- 今回は「なんかいい」という価値観が大きなテーマとなっていますが、なぜ「なんかいい」を作ろうと思ったのでしょうか?

野口さん:事業の伸びに行き詰まり感があったんです。メール配信サービスは市場全体では年次10%ぐらいずつ成長してて、オレンジメールの成長率はその2倍ぐらいは出ているんです。実際に機能面でのアップデートには力を入れていて、その成果は出ていたと思います。ただ僕自身は、もっと指数関数的な伸びを目指していたんです。

とはいえ、この事業だとそれぐらいが限界かなというところもあって新しい事業(オレンジセールス)に取り掛かっていたんですよ。ただ考えてみたらメール配信サービスってどの会社もやっていることがすごく似ているんです。これは完全にコモディティ化していて、そしてオレンジメールもそれらの1つになってしまっている。

オレンジメールを純粋に良いと感じてもらえたらもちろん使ってもらいたいんですけど、頑張って営業して無理にでも使ってもらというのは、自分たちのためなので、「今使ってるものがあるならそれでも良いと思います」と正直にお伝えしていました。そうしたどんぐりの背比べのような状況から抜け出すには、違う視点、違う角度から取り組まなければならないと考えていました。

同時に、我々のように多くの競合がいる中で抜きん出ているサービスはなんだろうと考えていました。そこで着目したのが、誰でも簡単にネットショップのオーナーになれる「BASE」というサービスです。BASEと類似したサービスとしてはSTORES.JP、Shopifyなどがありますが、その中でもBASEは抜きん出た数字を持っています。

なぜBASEは抜きん出た結果を出しているのかを考えた時、それは「なんかいい」っていう感覚だと思ったんです。それは必ずしも機能の差をつけることではないんですよね。それって感覚の部分になるので正直ちょっとわかりにくいんですけどね(笑) 

もっとわかりやすくいうと個人が情報発信をするためのツールとして、ブログってあるじゃないですか。その中でも「note」は「noteを書く」って表現しますよね。でも「アメブロ」は「アメブロを書く」ではなく「ブログを書く」っていうじゃないですか。こういうところからも「note」は「なんかいい」が含まれていると感じていました。伝わりますかね?(笑)

その「なんかいい」は非常に感覚的でそこに取り組んでも短期的に結果は出ないかも知れません。しかし長期的により鋭い成長曲線を描くには必要なもので、そして現在私が感じている行き詰まり感の原因は「なんかいい」の欠如かもしれないと思って取り組んでいこうと思いました。


- なるほど、それが「なんかいい」を目指す始まりだったんですね。

野口さん:そうです。その「なんかいい」を作るには、世の中的にありがちで、教科書的な提案をされても意味がないんですよね。新機能を作って、打ち出しましょう、みたいな。でもunnameの提案には僕が考える「なんかいい」が含まれていたんです。

unnameに僕がオーダーしたのはオレンジメールにとっての「なんかいい」を作って欲しいと言うことでした。これってとても抽象度の高いオーダーで難易度が高かったと思うんですけど、unnameは徹底してヒアリングしてくれて、一般的な会社が顕在意識だけのヒアリングだとしたら、潜在意識の部分までヒアリングしてくれる。

その結果、僕が言う「なんかいい」は分解されていき、その中で今オレンジメールに足りないものは「この企業がなんのために存在しているのか明確にすること」だったんです。それを達成するために、企業としてのコンセプトを作る必要があるという結論に至りました。

僕が言った「なんかいい」は100%の感覚的なもので、unnameは徹底したヒアリングの上でそれを汲み取って、「オレンジメールを使ってもらいたいと思っている人たち」に受け入れられる「コンセプト」に落とし込んでくれました。


- そう言ってもらえると嬉しいです! 他に相談しようと思ったところはありますか?

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野口さん:いや、ないですよ。まずヒアリングのときに質問が上手で、非常に心地よく進めてくれているなと感じたのと、僕のオーダーってすごく抽象度が高かったんですけど、それに対して、今まで提案されたことのないドンピシャな提案、感覚で「いいね!」という提案をしてくれた。さらに、提案の1つ1つの部分に質問をしても、1つ1つに、すべてにきちんと答えを持っていたので、間違いないだろうと、決め手になりました。

あ、比較しようとしていたわけではないですが、もやもやと打ち手を模索していたときに、「大企業でブランディングやってました」という方にお会いしまいた。お話を聞かせていただき、金額は数百万円だったのですが、話がものすごく教科書通りで、ある意味コモディティ化しているというか、その人独自のブランディングの定義だとか、理念だとか、哲学だといったものを感じれらず、これは違うなぁと思いました。

unnameは、教科書どおりにやるのではなく、1つ1つに独自の「答え」や考え方を持っていて、オーダーメイドで完全に自分たちのためにやってくれている、というのを感じました。徹底的にヒアリングをし、その上で、自社のアイデンティティや大事にしていることを見出してくれ、提案してくれました。



ヒアリングとワークショップの過程からも出てきた成果があった

- コンセプト作りって今までにはあまり取り組んでいなかったことじゃないかなと思うんですけど、今回そこに取り組むことに不安はありませんでしたか?

野口さん:全然感じてないですよ。逆に「なんかいい」みたいな抽象的なものを作るのには「企業としての存在理由を明確にするコンセプトを作る。そしてそこからミッション・ビジョン・バリューを作る必要がある。」っていう提案はすごくしっくりきました。非常に的確ですよね。

さっき話したデザイナーみたいな人は教科書通りの話しかしてくれなくて。普通の会社は大きいブランドに惹かれてそこにいくかもしれないけど、僕はそう思わなかった。その方の提案を含めて、世の中の多くは、教科書的な似た提案ばかりだと思うんですけど、unnameはすごくオリジナリティがあって魅力的だったんです。

例えばヒアリングの質問内容1つとってもよくある感じじゃなく、ちゃんと自分たちの大事なところを深掘りしてくれたんですよ。テンプレートのようなヒアリングだと表面的なものしかできないなと感じた経験が以前あったんですけどunnameはそうしたものとは対照的で、ユニークかつプロフェッショナルだなと思いました。

どこにお願いしても似たり寄ったりで、もうダメかなぁと感じている会社にはunnameの提案はすごく刺さると思いますよ。兎にも角にもヒアリングベースで自社に最適な提案をしてもらえるのが良いですよね。


- そうですね、我々は特にヒアリングには力を入れています。他に印象に残っている提案などはありましたか?

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平野さん:うーん、たくさんしたやり取りはどれもが印象深いし良かったんですけど、私が一番「おおっ」って思ったのはワークショップです。これはバリューを作るためにunnameが私たちを含めた社内メンバーに対して行ってくれたものでしたが、バリューを作るっていう事と同時に、社内メンバーの人となりを知れたんですよ。これは普段リモートで働く私にとってはとても大きくて、バリューという結果だけではなく過程の時点で成果が出ているように感じたんです。

そもそも、ワークショップに時間を使う事自体、あまり乗り気じゃないのでは?と私が思っていた方もいたんです、実は。でもバリューっていうのは社内メンバーの行動指針になるものなので、結果だけ見せても意味がない。みんなで作って、納得して、理解することに意味があるということを説明して参加してもらいました。

その彼はワークショップの序盤に「みんなの思う"なんかいい"に僕は共感できないかもしれない」という話があったくらいなんです。でも、ワークショップを通じて出来上がったバリューを見せた時には真っ先に大きな反応をしました。「会社のことをみんなで考えるのは大切だ」、「会社がどこを目指しているのかを共有することって良いですね」、そのようなことを口にしていました。彼にはもっと無機質なイメージを持っていたので、私は驚いて、これは本当にすごいことだなと思ったんです!

ワークショップもヒアリングの一部に近いとは思うんですけど、unnameがそこに力を入れてくれたおかげでメンバー同士の理解度も高まって、バリューに対する共通理解も得られました。

開発に関する会議で彼とは定期的に話すんですけど、私の彼に対する理解度が高まったのでワークショップ以前よりも会話がスムーズになりましたね。


- 社内でもそうした変化があったんですね! 提案した内容についてお二人はどう思いましたか?

平野さん:コンセプトストーリーが私はすごく好きです。なんかいい会社ってかっこいい理念や概念があるじゃないですか。オレンジスピリッツってそういうのが今までになかったんですよ。

ウェブに書いた文章は野口さんから「スペースがあるから良さそうな文章で埋めて」みたいなオーダーを受けて私が書いたものだったんです。

FireShot Capture 026 - 株式会社オレンジスピリッツ - www.orange-cloud7.net

▲現行サイトの平野さんが書いた企業コンセプト

これは会社の想いを私なりに純粋に書いたものなので、悪くはないとは思ってるんですけど、unnameが作ってくれたものを比べると表面的なものだったのかなと感じました。

新しくできあがったものとそれを作る過程によって、私たちは全員が目指すべき姿を共通認識として持てるようになったんです。なので、今はただメルマガを配信するサービスを作るのではなく、ただ機能を実装するだけでもなく、より根本的な想いを世の中に広めていくための真摯な姿勢をメンバー全員が持っています。

私たち自身の、私たちに対する認識が「メルマガを扱っている会社」から、「コンセプト、ミッション、ビジョン、バリューを信念に働いている」会社だと思うことができて、可能性がものすごく広がったと感じます。言葉1つ変わるだけで可能性が広がるって改めて考えるとすごいですね(笑)

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▲今回unnameが担当したコンセプトストーリー

野口さん:自分の中では新しい判断軸ができたと思ってます。メールってほぼ全員使うので、オレンジメールのお客さんって世の中で働いている人ほとんど全員なんですよ。それに加えて、今までは想い主導でやってきたので、ターゲティングの部分がすごく難しかったんです。そこが新しいコンセプトによってハッキリさせられたのは僕にとってはかなり大きかったです。

今までには8割の人は使わない、2割の人しか使わない機能っていうのは実装しなかったんです。これは投資対効果が悪いのが理由なんですけど、同時に指数関数的な成長が得られていない原因にもなっていた気がします。

本当はまずイノベーター、アーリーアダプターの人たちに刺さるものが作らなければいけないんです。彼らが「なんかいい」と思って使ってくれないといけないんですよね。これからは目先の投資対効果だけを重視するのではなく、一見2割の人にしか刺ささらない部分にも向き合っていきます。これは大きな違いになっていくと確信しています。

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他社は関係ない。自分たちのアイデンティティを根源としたサービスを作っていく。

- 将来的に長く活用いただけたら嬉しいです。コンセプトを作った今の心境はどうですか?

野口さん:言語化っていう意味ではめちゃめちゃいいと思いました。この後、具体的な機能の実装などになったときにどうなっていくのかは不安は確かにあります。

今まではスプリットテストをしていい方を選んで行けばいいっていう機械的な手法を選んでましたけど、これからはそうした単純な数字の良し悪しだけでは選ばなくなるんです。そうすると、短期的には数値的なものは下がるかもしれません。ただ、そうした時にうまくいっているかどうかの判断軸は感覚なので、社内メンバーみんなとその感覚を共有して長い目で見ていきたいなと思いますね。

その代わりに、これによってフロントランナーになっていけるんじゃないかとも思ってるんです。例えば動画メールってなかなか流行ってなくて、多くの人に受け入れられていないんです。でもそれが本当に良いものであれば、多くの人に普及させていくことも我々の仕事になっていくと思います。

平野さん:今までは機能を実装する時、自分たちがやることには自信がなかったんです。だから自分たちがどう思うかよりも他社のサービスと比べてどうかっていう部分に注目しすぎていたんですけど、これからは自社のサービスにもっと自信を持ちたいと思います。

自分たちがフロントランナーになっていくっていうスタンスなので、他社がどうかっていうことは関係ないんです。あくまで自分たちのアイデンティティを根源としたサービスを作っていきたいと思います。



自分たちがなんとなく感じていた限界を打破してくれた

- 競合は関係ないっていうことは我々が大事にしていることなので、共感してもらえたら嬉しいです。総合的にunnameはどうでしたか?

野口さん:「伸びてるんだけど行き詰まりを感じる」、「もっと伸ばしたいけどどうしたらいいのかわからなくなってしまっている」という企業の方は相談してみるといいんじゃないかなと思います。

教科書通りの提案ってとりあえず一通りやってみるじゃないですか。コンサルティングしてくれる人を変えても、結果的に同じことの繰り返しになってしまうことって多いんですよ。

その中で、unnameはありきたりではない提案をしてくれる。そうした部分に少し諦めを感じている人にはすごく深く刺さるんじゃないかと思います。

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平野さん:自社や自社のサービスをなんかダサいんだよなぁと思いながらも頑張ってる人って少なくないと思うんですよ。なので、単純に自分たちのサービスやブランドとかをカッコよくしたい人にはすごくマッチすると思います。

実際に私はかっこよくなったと思っていて、自信がつきました。きっと魅力を引き出してもらえたんですよね。

野口さん:かっこよくならないだろうと思っているものをかっこよくしてもらえるんですよね。マーケティングでも「売れないものは売れません、売れるものを売りましょう」みたいな人いるじゃないですか。それも真理かもしれないけど、本当のプロは売れないものを売れるようにする人だと思うんですよ。

自分たちがダサいんじゃないか、かっこよくないんじゃないかって思ってるものもかっこよくしてくれる、本当にプロフェッショナルだなと思いました。

- 本日はありがとうございました!



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