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ガチ芸術家じゃんなるほど。と応募の時に思ってふるえた。楽しみだけど対応できるのかな。不安。まあなんとかなるだろう。なにしろ我々は人対人なのだから。
と思ってからもう半年近くたってるじゃんほんとおそろしき時間よ。インタビュー当時出されたZINEも読んでないし、ごめんなさい。生活がなりたたない忙しさ。
脳と心と体の混乱の濁流の中、記憶と空間をいろどるMadokAさん回をお楽しみください!

今回ご参加いただいたのは MadokA さんです!
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1、障害の夜に

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以下TwitterDMより抜粋[2020年12月14日 午後9:24]

qbc:これ、グーグルビジネスの方も障害起きてますね。

MadokA:なんか、他にツールないかな…。
でも、このスタイルでも良いなら…ここでインタビューでも良いですよ。

qbc:そうしましょうか…グーグルの目覚めを待ちながら。

MadokA:復旧したら移行って感じでいきましょう。逆に面白い 笑。
ネタにしてください‼︎

qbc:インタビューは、アップ前にご確認できます。伏せたいところは伏せられますので、ばんばん話しちゃってください!

MadokA:ははは 笑。

qbc:最初に聞いているのですが…どんなインタビューにしましょうか?

MadokA:特に考えてはいないのですが…そうですね。
今、ZINEの制作をしているので、それを主軸に聞いていただけると助かります。

qbc:では、ZINEを始めるきっかけをお伺いしたいです。

MadokA:はい。ZINEを始めるきっかけは、30代で本が作りたいって目標があったことと…イギリスに住んでいた時、日本と違ってインディペンデントで面白いことやる人が多くて、面白いZINEを自主的にインディーズで出版していることに影響されてです。
海外のZINEはジャンルもいっぱいあるんですよ。私は本や雑誌が好きなんですけど、こういうのあればなーって思う雑誌が、2005年以降かな?だんだんと少なくなっていって…。
イギリスから日本帰ってきて、それが体感レベルで感じられるくらいだったんですね。
特に音楽と文化系の雑誌は、デザインとコンテンツがつまらなくなっているって思いました。それがきっかけで、自分が読みたいものを作ろうかなと…今に至ります 笑。

qbc:なるほど。

MadokA:グーグル、復旧したようですよー。続きはzoomにしますか?

qbc:そうしましょう!

2、ライブハウス

qbc:音楽がお好きで、ZINEをはじめたのですか?

MadokA:そうですね。もともとアートの活動をしていたのですが、自分の作品のインスピレーションは音楽からきていたり…自分の作品の中に、自然に音楽が混ざっているという状態なので音楽の要素は多いのかもしれません。あとは、私の作品は空間を使ったモノが多くて、空間芸術や空間デザインは保存がしにくいんですよ。
例えば、ディスプレイとか…建物とかだったら保存しやすいですよね?
でも、インスタレーション的な「その場」と「その時」でしか作れない空間は、美術館やギャラリーなどに収蔵されたりしないと、保存というのはなかなか難しいです…。
作品の特性上、仕方がないことですが一回だけや、その場限りになってしまうことは多い。
なので、モノとして残る空間デザインを作りたいっていうことも大きいです。
本をマテリアルにしたアイデアは別のプロジェクトでもやっていたのですけど…今回はもう少し掘りさげて、「音楽を読む」というコンセプトと一緒にアイデアを発展させ、ZINEというカタチで作り始めました。

qbc:なるほど。すでにZINEはできているんですか?

MadokA:はい。都内と…あと関西のほうでは大阪と神戸で配布されています。
100部の少部数なので…もう、ほぼほぼ捌けているんじゃないかなと思います。

qbc:着手しはじめたのっていつごろだったんですか?

MadokA:プロジェクトとしてはかなりゆっくりで…コロナもあったり、自分の体調とかメンタルとの兼ねあいをみながらでした。自費出版ということもあり締め切りもなく…こだわりながらといこともあって、とてもゆっくりなペースで制作しました。
やりはじめたのは、2020年です。でも、2019年の秋かな?たまたまご縁があるギャラリーで知りあった、ドラマチックアラスカというバンドのヒジカタナオトくんと知り合いになって、それから話したり、彼のライブを観てすごくおもしろいなって思ってから…今作っているZINEの構想というのかコンセプトや、アイデアが出てきました。
それから、彼にやりませんか?と2020年の年明けぐらいに言いました。
その後に、デザイナーの友達とか写真家の人と絡めていき…今の制作チームになりました。
フリーペーパーだけど、半年以上というか、約1年ぐらいかかってるんじゃないかな…。

ドラマチックアラスカ!

qbc:イギリスに行かれていたのは、どれぐらい前ですか?

MadokA:イギリス居たのが4年前ぐらいですね。ロンドンに5年ほど住んでました。
先ほどの話に戻りますが、本を作りたいという目標…実はイギリスへ行く前からあって。
私は、自分がやりたいこと全部、リストアップしているんです。
一生のうちでこれをやりたいとか、それはもう小さいころから決めていて。この年の時にはこう、みたいな…だから、その中でやっぱり、30代のときに自分の生きてきた何かをベースにして、本を出したいなという思いが強くありました。

qbc:なるほどなるほど。

MadokA:ZINEの内容も、実は小学校からライブハウスに通っていたことも、ベースになって絡んでいます。それはZINEを作り始めてから、自分の中で感じたことがあって…。
みんな、ライブハウスの話を1から100は話すけど、0から1の話はしないよなって…。

qbc:たしかに。

MadokA:ライブハウスって言っているけど、いろんなものが重なってる。
それは少しサイエンスフィクションみたいなものであり、ライブハウスが出発点になってる並行世界の話をイメージして描いてます。

qbc:なるほどSF。そうですね…どういう経緯で美術の道へ進まれたのでしょうか?

MadokA:この作品を作る過程で小学校の卒業文集をあらためて見直したら…そのときすでに「なにか空間作りをしたい」ってことは書いてましたね 笑。
あと、美術のキュレーションをやりたいとか、あとは英語をできるようになりたいとか、書いていました。だいたい…なんとなく夢叶ってるなーっていう 笑。
だから、小さいときからやりたいことは決まっていましたね。たぶん表現、作ることは私にとって生きることなんだろうなって思います。

qbc:なるほどなるほど。最初のライブハウス経験って、どんなだったんですか?
一番最初に印象に残ってるようなことで、これが良かったんだよね?みたいなことはありますか?

MadokA:私、BUCK-TICKとか大好きで 笑。もう小学校のころから聴いていて、今もYMOや電気グルーヴとかも好きなのですが、BUCK-TICKも電子音を取り入れてますよね?
そういった部分が、おそらく本能で好きなのかもしれないです。
あとは当時、KERAとかZipperとかの雑誌に、ゴシックロリータのムーブメントが少し出てきたぐらいの時期でした。それとVivienne Westwoodとかのファッションがすごい好きだったから、そういうものに影響されてましたね。
あと、GLAYとかLUNA SEAとか、L'Arc〜en〜Cielとか 笑。ああいったバンドがちょうど人気が出てきたころなので…そういうジャンルのバンドは観に行ってた気がします。

qbc:なるほど、そうか。私、姉がX好きで、ライブハウスでXジャンプをしてた世代なので。

MadokA:エクスタシーレコード!!

qbc:そうそう。あと姉は筋肉少女帯も好きでしたね。夜な夜なサリーを着てコスプレをして、中野とか高円寺とか、そっちのほうへ行ってましたね。

MadokA:実は私は中野出身、中野育ちなんですよ。中野ブロードウェイのタコシェとかも小学校のころから、ランドセルを背負って行ってました。大槻ケンヂさんとか、ナゴムレコード系なバンドの人も見かけたりしてました。

qbc:なるほどー、良い環境ですね。
10代20代のころ、やりたいことに対してうまくいかないとか、そういうことはありましたか?

MadokA:私、学校も嫌いだし馴染めなかったです。ライブハウスに入り浸ってましたよ。
だから、当時は私の友達って学校には居なかったと思います。でも、バンドマンとかバンドを好きな子とか、あとスタッフさんとか…それから、いろいろとカルチャー的なことを教えてくれる先輩とか学校の外にはいて。音楽も、あのころに出会った人たちがたくさん教えてくれたからこそ、今があります。本当に…学校は、大嫌いでした。

qbc:はい。

MadokA:だから、学校終わってすぐ新宿のLOFTに自転車で走って行くみたいな…。
やっぱり、その時代にいい思い出はあんまりないですね。
楽しくはあったんですけど、まわりの人たちとは好きなものがズレてて…。
特に中学3年あたりから80年代のUKロックとかそっちのほうに行ってしまったので、バンドのファンよりも、ステージに立ってる人たちやクリエーターのほうが話が合う感じでした。だから、今と変わらず…ちょっと浮いてる存在だったと思います。

qbc:イギリスが良かったんですか?

MadokA:そうですね…昔からイギリスの文化がすごい好きでした。シャーロックホームズのドラマをNHKでやってて、それずっと観てたんですよ。小学校とか、幼稚園の時に…。

qbc:あ、音楽からの入りじゃないんですね。

MadokA:私、小さい頃から本が大好きで…その中でも英文学がすごい好きで、それでその流れだなって最近、思いました。でも、音楽の入り口はセックスピストルズかも 笑。

qbc:MadokAさんにとってのシャーロックホームズの良さって、どんなところなのでしょうか?

MadokA:19世紀のロンドンの文化もですが、やはりコナン・ドイルの作品が好きですね。チャールズ・ディケンズと比べると、チャールズ・ディケンズはもともと新聞記者だったので、描写が写実的なんですよ。コナン・ドイルは推理小説の人だから、そこまで写実的じゃないイメージで…ちょっとフィクションが入っているところが、私もですが子どもの想像力を刺激する気がします。例えば江戸川乱歩の「少年探偵団」を読む時に、「え?どうなるんだろう」って想像してすごいワクワクする気持ち。それと同じくらいに、シャーロックホームズは私をワクワクさせる存在でした。ドラマを見ても、物語を読んでも、私の頭の中にある19世紀のロンドン、そのイメージと現実のロンドンもすごい合致していたので…。

qbc:はいはいはい。

MadokA:例えば洋服も、ドラマではその年代の服装じゃないですか?
あの街並みと、着てるものとお茶を飲んでる感じが、たまらなく好きでした…。
あとはシャーロックホームズにも、少年探偵団が出てきたので、私はそれになりたかったんですよね。

qbc:あ、ホームズになりたいわけではなかったんですね? ワトソンでもなく。

MadokA:そうです‼︎少年探偵団みたいな、ああいうのに入って、ホームズ達と何かを探したり、冒険がしたかったです。

3、AI

qbc:ファッションは、ゴスロリとかもお好きだったんですか?

MadokA:ゴスロリっていうよりは、私は恐らくゴシックでした。
でも、小さい頃から洋服は好きでしたね…。

qbc:他は、どんなブランドがお好きなんですか?

MadokA:ヨウジ・ヤマモト。もう、黒が好きなんですよ。自分のテーマカラーっていうのがあるなら、たぶん黒です。あと、私の作品自体も、ほとんど真っ黒ですからね…笑。
ヨウジの良さは、黒の中でいろんなグラデーションを作って表現してるところなんですね。

qbc:小学校のときからヨウジ・ヤマモトが好きだった?

MadokA:ああいうの着たいって…山口小夜子みたいになりたいって思ってました。

qbc:な、る、ほ、ど。わりと、子どものころから一直線にバーっとやりたいことをやってきたってことでしょうかね?

MadokA:そうですね。子どもの頃から、会いたい人に会いに行っちゃうし 笑。
はっきりしてなくても、それに向かって生きてきてんじゃないかなって思ったりします。
ZINEを作る過程で、それをあらためて実感したんですよね。今回を対談を入れており、「今」っていうテーマで話したい方をお呼びしたんですけど、手塚治虫のお嬢さんの手塚るみ子さんと、赤塚不二夫のお嬢様の赤塚りえ子さんをお呼びしました。その出会いが面白くて…。

qbc:おおー。すごい。

MadokA:私がイギリスにいる時に、夏休みだけ杉並アニメーションミュージアムにインターンシップに行っていて…そこの館長が、トキワ荘の住人でアニメーターの鈴木伸一さん。ある日、たまたま鈴木伸一さんとお話する機会があって、言われたのが…「MadokAさんて、手塚さんのお嬢さんと赤塚さんのお嬢さんを足して2で割ったみたいな感じがするけど、どっちかっていうと赤塚さんかなー」って言われて 笑。
それから、赤塚りえ子さんの本を紹介してもらって、それを飛行機の中で読んだら、「なんか自分みたいな人だな、この人は‼︎」って思ってから、ずっと会いたかった人でした。
憧れの女性で、もう…そしたら、たまたまきっかけがあり、赤塚りえ子さんにお会いすることがありました。それから、お話する機会が出来て…そこで好きなものや、色々とお話をすることがあった時に、「こういうのやっているのですけど、どうですか?」ってお話をしたら…もう、本当に気前よく、いいよ‼︎って言ってくださって 笑。そしたら、「手塚るみ子さんも呼びますよー」みたいな話になって…大変恐縮で非常に光栄なことですが、二人に会えてしまいました。本当、なんとなく無意識に思ってたら叶うんだな…みたいな。
今もずっと…鈴木伸一さん、手塚るみ子さんと赤塚りえ子さんには感謝しても足りないくらいです。私の人生にとって重要な1ページです。

qbc:ほんとすごい。ちなみに、ライブハウスは空間に関するもので、時間とともに消えていってしまうものですよね。
一方、今取り組まれているZINEは書物で、時間の経過に、空間に比べると強い。その違いって、どう感じられていましたか?

MadokA:自分が伝えたいことって変わらないので、基本的に言ってることは同じです。
考えるきっかけとか、見えないものを見てみようとか、自分はこう思ってるけど違う目線もあるんだとか、そういうことをテーマにしているので…特に違いはないです。
でも、プロセスには違いがありましたね。読みやすさとか、文字の字体や言葉の音とか。
あと、紙の場合、何度も見返すから、そういった意味では、空間とか場所を使ったアートとは違いますね。

qbc:なるほど。

MadokA:私が作るものの特徴なんですけど、発見するレイヤーがあるんですよ。そのときどきによって発見するものが違っていて。軽く読んでる人だったら、これは伝わるところ、深く読む人にはここは絶対に深く伝わるところとか…。
たとえば、5年後に読んでも、読むときにその謎解きそて欲しいというのがあります。
だから、ZINEも作品と同じように仕掛けはしてるので、だから時間が経ったあとに読み返しても、新鮮なんじゃないのかな?…そう思います。

qbc:なるほど。
ちなみに、空間を作るっていうのは、具体的には、どのような感じの作業なんでしょうか?

MadokA:たとえば…公園を作ったりとかだと、どこに遊具を置くかとか、だいたいこういう人がここに座るから、ここにベンチを置くと一番心地よくなるかな、ということを考えます。

qbc:イスとか、プロダクト自体は別の人がデザインする?

MadokA:プロダクトも私がデザインする場合もありますし、内容によって変わりますね。
アートになってくると、より体感的になっていくというか…私の場合はカタチの見えないもの、音や匂いなどを使うので、人の記憶とかの誤差をざっと考えながら構築するパターンが多い…すごい説明するのことが難しいです。

qbc:なああるほど。

MadokA:頭の中に空間を作っているような感覚です。あと、頭の中にある種の記憶として、マテリアルを入れてる感じかもしれません。でも、それぞれ感じ方が違うので、同じものでも違うので、それぞれが話すと面白いみたいな…。
ごめんなさい、すごい難しいですね 笑。

qbc:と、いうと、つまり、本であれば、手に取った時点から記憶や空間がつくられるみたいなイメージなんですかね? 本を起点にして世界が作られるというか…。
で、一方、空間は、当たり前だけど、その空間に入った瞬間から世界が始まるような
イメージ。

MadokA:そうですね。本っていうのは開いたときに起動するものではないですか?
今回は音楽とすごいリンクした本なので、音楽と重なるものがありました。
そういった意味で今回は、字体とかもすごいこだわっていて。この人だったらこの字体かな?とか、この色かな?とか…これだったらこうかなっていうもの…今回、AIで分析して出た数値とかも取り入れてたりします。

qbc:あ、今回のZINEに?

MadokA:はい。私、New Orderが好きなんですけど、New Orderの”Ceremony”とドラマチックアラスカの「愛と優」という曲があって、それって絶対重なる部分があるなって聴いてて思うんですよね。だから、二つの曲を分析したデータから、重なる部分を見つけて、この波形のこのパターンは何色かな、みたいな…。

qbc:あ、もうそういうのできちゃうんですね。

MadokA:私が「鉄腕アトム」や「メトロポリス」の映画版とか、そういうものがすごい好きというのも大きいのですが…あの二作品でも出てきますが、人間と機械の対話じゃないですか?でも、やっぱり「心」や感じることに対しては、まだまだAIは発達してないので…「AIってKYだよね」っていう感覚が自分の中にあって、そのKYな部分を楽しいね‼︎って思ったり、言っていれば、何だかきっと面白くなるよねって感じです。

qbc:はい。

MadokA:たとえばAIだと、どっちかというと有機的な波形の動きではあるけど、パターンがまだ想定内といか…動物のように予測ができないということが、なかなか出せなかったりとかする。私はミニマルなものが好きだから無機質なんだけど、その中に有機的な何かを見出したいんです。だから、VJのビジュアルデザイナーに話しをして、AIの作ったものと掛けあわせたりしてやります…それを作るには、その前には音も聞いておかないといけないから、作業はけっこう多いです。多分、私のやり方は、ちょっと変わったやり方ですね…。

4、インディペンデント

qbc:なんでこう、アートのほうが、AIふくめて、先に新しい技術をどんどん取り入れていくんですかね。

MadokA:技術を大衆とかそういうレベルに落としこんでいくことは、ものすごく時間がかかることなので…例えば、本の話もそうです。面白いものを打ち出しても、すぐにお金には繋がらならないことは多い。無意識にわからないものに対しては、お金を出資したくないっていう…気持ちはあると思います。だから、安定した商業的な考えとか、マーケティングを重要視しちゃうことはあると思います。つまりパターン化しちゃったのものしか出てこない…だから、あんまり面白いものってなかなか、世の中に出てこない気はします。

qbc:残念ながら、ハズレ引くよりは、実績のある二番煎じに投資しちゃうんですよね。

MadokA:だけど、海外はそういうおもしろいものに対して、投資をしてくれる場合があるんですよ…これは日本と海外の違いかもしれません。
ただ、海外だから日本だからっていうのは良くない、間をとって何かできないかな? と思います。だから、今回のZINEも何かやってみようかな‼︎という考えになりましたから…。
インディペンデントでぜんぜん何も後ろ盾がない個人が、これおもしろくない? って言ってそういうスタンスでZINEを作ることは、すごい面白いことじゃないですか?

qbc:うん、めちゃくちゃおもしろいですね。

MadokA:すごい馬鹿だなーみたいなことをやるというのが、なんだか面白い…笑。
赤塚不二夫の理論に近い哲学に繋がるのですが…すべて受け入れているので、別にそれでいいじゃん‼︎、これってもう、面白い?ていう感覚でやっているので…。
実は、難しいこと言ってるけど、難しくないんですよ 笑。

qbc:なるほどシンプル。

MadokA:シンプルですよ。だから、シンプルなことを、もっとみんなやってけば変わるんじゃないかなって…でも、なかなか難しいのかもしれません。

qbc:この文脈でインディペンデントって語彙が出てくるのが、印象的です。私、英語がしゃべれるわけではないので、こういうところで使うんだって。

MadokA:インディペンデントとは、大きい広告代理店を挟んでいたりとか、芸能事務所を挟んでいたりとか、何某ってプロモーションではなくて、独立性とか、個人とか、何かを一から自分たちでやる、DIY(Do It Your Self)ってことが大切なのかと感じます。
本来、そういう動きっていうのがあるって正常だと思うんです。そこから、プロモーションとか商業的なお金をちゃんと考えるっていうことに繋がっているので…。
きっとそれに続くという意味で、インディペンデントな活動が、まず第一段階だと思うんですよ。

qbc:なるほど。

MadokA:何事もそうです。このインタビューも本当、そうだと思います。こういうアクションが日本で、増えたほうが良いんですよね…本当に思います。

qbc:ありがとうございます。

MadokA:こいつら、何やってんだ? っていうことが、社会に増えないと面白くない。
いや、世の中には必要なはずですよ…。

qbc:その感覚っていつから? 生まれたときから?

MadokA:生まれたときからこんな感じですね、だからあんまり人と仲良くなれない 笑。

qbc:ライブハウスでは仲良くなれた?ライブハウスは、そういうおもしろい人が集まる場所だった?

MadokA:自分がイギリス行って日本に帰ってきて…結局ライブハウスも、実際はすごい保守的なんだな…って思いました。
もちろん、それぞれの生活のパターンがあるから、難しいことはありますよ。だけど、やっぱりブレイクスルーやクリエイティブな部分でいうと、保守的だなって感じることは多いですね。でも、それは経済を回していかなきゃいけないから仕方ない。何であれ、お金をもらわないといけないじゃないですか?そういうことからは、逃れられないですから。

qbc:なるほどなるほど。

MadokA:ちょっと変わってる子たちは、やりにくいと思います。保守的な中で変わってるのを打ち出すことはどうしようかな?って考えてる段階が、日本のライブハウスなのかもしれません。海外のライブハウスって、もっとなんか違うムーブで、生き方とかそういったものを、クリエイティブもカルチャーのシーンにもバランス良く、取りいれてくれる場所がある。つまり、ちゃんと育てるフィールドがそこにはあります。
今後、日本にそういう場所も兼ね備えた場所ができてくると、人の感情とかがより豊かになるんじゃないかなっていうのは思います。ライブハウスはもしかしたら、それに今後気づいていかないことには、例えばBTSのようなアンダーグランドから今まであったメジャーの固定概念を壊して、新しい面白いものを常に生み出せる人材も含めて、出てこないかも…。
決まったパターンでしかイベントを組まないとか、決まったバンドしか出ないとか、そういうふうになってきちゃうから…そういう保守的なことばかりなのは、つまらないじゃないですか。

qbc:うん。

MadokA:変わっていくんじゃないかな…きっと。未来はそうあってほしいです。

qbc:子どものころのライブハウスは、イギリスから帰ってきてから行ったライブハウスと、どう違った?

MadokA:子どものときは、やっぱりわーって感動してました。経済の仕組みとかもわかってなかったから…。
ただ一つ言えるのは、2005年あたりから音楽も含めてカルチャーとしてのインディのマーケットが、ちょっと下火になってきたんですよ。これについては、ZINEの取材する過程で聞いたことも含めて、それは何だか重なっているように思えました。

qbc:そうなんですか。

MadokA:例えば単館の映画館やレコード屋さん、独立系の書店とか洋服屋さんとか…徐々になくなり出した時期が、やっぱりリンクしてます。きっと…その時代から、カルチャーのシーンがちょっとおもしろくなくなってきたっていう方は、多かったかもしれません。

qbc:今回のZINEの取材で?

MadokA:はい、いろんな方には話を聞いていたので…。
ただ、それをあえてZINEには書いていないです。それを書いてしまうことが、果たして正しいのかと思う部分があるからです。きっと本来、商業ベースで本を作ってる方とか、音楽雑誌の方とか、そういう人たちが、どんどんちゃんと評論、批評じゃなくて評論して、改めてその時代を考えることっていうことが、もしかしたら大切なのではないかな…そう思います。

qbc:評論と批評の違いは、どういう?

MadokA:評論は、否定するんじゃなくて…こういう側面もあってこういう部分がある、だけどもしかしたらこの部分がきっかけになって、失敗につながったかもしれないねってことが評論です。批評っていうのは、これがダメだからダメだよねっていう。要は否定であり、視点がポジティブじゃないんですよね。どちらかというと評論は、ポジティブなプラスの面と、マイナスの面、両方見た上で、間を取ったりすること。どっちも認めた上で話すとか、否定ではないんですよ。映画のレビューもそうですけど、評論のできる人が、本当、少なくなってきたなっていうのが…なんでも「いいね」に終わっちゃう…。
もしかしたら、そうじゃないでしょ?っていうことなのかもしれないですね…このZINEは、なんでも「いいね」のカウンター…。

qbc:インターネットは、その「いいね」の流れのなかで、どんな存在でしょう?

MadokA:インターネットは、もちろんすごい重要ですけど、それに寄りすぎるっていうことは、果たして良いのかな?…と思います。データはすべてじゃないから。
動物ってすごいじゃないですか。あの子たちって絶対自分の生活崩さないけど、サイクルとして、生活がまた生まれて死んでって繰り返す。それをあらためて考えることって大切なのかなと、今のこのコロナの時期に体感したことです。
普通に生物として、純粋な行動してる。話したいから話してみるとか、食べたいから食べに行ってみるとか。シンプルに。

qbc:最後に、言い残してしまったことがあればおうかがいします。

MadokA:なんでも考えたり思ったりして良いんじゃないかなって。自然で、思ったらやれば良い…それぐらいかな。私がつくるというわけじゃなくて、自分が考えて思ったことやれば良いんだよ…。人生はマニュアルじゃないから、自分で描くしかないって思います。それだけです。

qbc:ありがとうございます。

あとがき

無名人インタビューという私の企みの中で、いくつか重要な回があり、今回はその重要な回になります。
インディペンデントという概念について、確かにこの無名人インタビューは誰がなんと言おうと私がやりたかったことの全体だよなって。やめられないよ。
人は人がやりたいことを、自分のやりたいことに時間を費やすのが一番の楽しみではないのか。だよね。
忙しすぎて膿がおかしい時に言うことは、いったい誰がいってることになるんだろう? 時間や、空間や、社会に束縛されない幻想の個人を夢見てね。
燃える赤い反逆の情熱を。

編集協力:有島緋ナさん 白原すみさん

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