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無名人インタビュー:大学中退してそのまま1年間働きながら旅暮らししたけど本当は旅好きなんじゃなくてリスクが好きな人

「天職を当てる質問」というのがありましてね。会話アソビみたいなものなんですが。
相手にまず「明日1日お休みだったら何をする?」て聞くんです。で、次に「3日間お休みだったら何をする?」。その次は1週間、次は1ヶ月、次は1年、と期間をだんだん伸ばす。で最後は「じゃあ一生お休みだったら何をする?(もちろん生活するお金はもらえるって前提で!)」という質問の答え=それが天職という寸法です。どうですか? どう? どう思う?
ってこれで本当にその人の天職がわかるってわけでもないですが、どんなに長い休みでもしたいってのが天職なんだよねってことです。ちなみに私は「小説を書く」でした。あと友達で多かったのは旅行かな。そう!!! 旅です!!!(あいかわらだね前置きが長いの。ごめんね。許して)
ということで今回のインタビュー参加者の方は、約1年、家を持たずに旅暮らしをされていた方です。すごい! まじか! ほんとうにすごい!!! しかも働きながらですって。
というわけで今回の無名人インタビューは働きながら旅暮らし(まさにノマドワーカー)をしている方の実態に迫る! て感じになるかと思いきや、いやべつにそこまで旅旅旅って感じの話にはならなくて。もう轟轟轟って感じでしたわ。
今後とも無名人インタビューよろしく。今回もお楽しみあれ。


今回ご参加いただいたのは 児玉和也 さんです!

現在:旅暮らしから定住へ

qbc:今、何をされている方でしょうか。

児玉:一昨年の4月に大学をやめて、それからホームページの制作の仕事を個人で請け負いながら生活しています。

qbc:どちらでやられてるんですか? 

児玉:最近、福岡に定住して、そこを拠点に活動しているんですけど。去年1年間は、家を持たずに全国を回って、旅しながら生活をしてました。リモートで仕事をしたりもしながら。

qbc:えっと。今、気分的にはどういう状態ですか? 楽しいとか楽しくないとかで言うと。

児玉:今も楽しいし、旅してたときも楽しいです。
定住暮らしでしかできないことって、いろいろあるじゃないですか。今はそういうのを楽しみながら生活しています。

qbc:具体的に、1日をどういうふうに過ごしているものなんですかね? 

児玉:朝起きて、午前中が苦手なんで、午前中はベッドでゴロゴロしたり。だいたい昼過ぎとか昼から活動し始めて。散歩に行ったり海へ行ったりして、2時か3時ぐらいから3時間ぐらい仕事して。自分で料理をするのが好きなので、夜は毎日料理してご飯を作って。そこからはもう自由に映画を見たりっていうのが最近は多いですね。あと、「水曜日のダウンタウン」が好きで、それを見たりしてます。
そういう生活が、ちょうど4ヶ月ぐらいですね。

qbc:なるほど。今の生活を始めようとしたきっかけって、なんでしょうか?

児玉:僕はもともと、とある福岡のベンチャー企業で働いてて、大学の在学中から業務委託っていう形で働いてたんですけど、コロナでクビになったというか、契約が終了になったんですね。
そのときに、いったんほとんど収入がないっていう状態になって。

qbc:学生のとき? 

児玉:そのときは、もう大学をやめてますね。在学中から働き始めて、大学やめてそこで働いていこうって思ってて。大学やめてから業務委託契約終了になったっていう。
それが、ちょうど1年前の12月とかなんですよ。

qbc:なるほどなるほど。そのときは、もう旅してた? 

児玉:まだしてなかったです。そのときは、福岡の市内にあるゲストハウスとかホテルとかを転々としてました。そのときは家を契約してたんですけど、せっかくなら家持たずに旅しようかなって思って。業務委託契約も更新されない、事実上解雇みたいな形になっちゃって。
「初期費用とかもいらないんで、早く解約してください」って不動産屋さんに言って賃貸を解約して、旅に出たっていう流れなんですけど。

qbc:はい。

児玉:旅に出た理由は、本当に興味本位ですね。家がないってどんな生活なんだろうっていう純粋な興味から。

qbc:学生のときは、どこに住んでたんですか? 

児玉:学生のときは実家にいました。大学をやめると同時に、両親から追い出されたっていう。

qbc:旅しながら暮らそうっていうのは、なんとなく?

児玉:一番最初はそうなんですよ。本当に興味本位で。

qbc:旅の生活はどうでした? 

児玉:常に刺激ですね。

qbc:どんな刺激があるものなのでしょう? 

児玉:行く場所もそうなんですけど、特にすごかったのは、やっぱり人の刺激で。
定住生活していると、知らない人と喋る、新しい人と喋るっていう機会って、1日1人いるかいないかぐらいなんですよ。
それは仕事とか街中とかもそうですし、1日1人いるかいないかぐらいなんですけど。旅してたときは、少ないときでも絶対5人ぐらいは喋る。多いときだと30人とか。

qbc:どんな人たちと話をするんですか? 

児玉:ゲストハウスとかだったら、ゲストハウスの共有スペースで話したり。あとは現地の人たちとも結構交流があって、話したりしてました。

qbc:宿に来るっていうことですか? 

児玉:そういう場合もあるけど、現地でたまたま声をかけて出会った人と一緒に、盛り上がって飲みに行ったりっていうのもありましたし。もう本当、世間話から会話が始まるんですけど。「県外から来てるんですけど、ここらへんでオススメのお店とかあるんですか?」みたいな、もう本当に。
家の前を掃除してるおばちゃんとかにも話しかけたりして「こんにちは。県外から来てるんですけど」って。
話しかけやすい環境っていうのが、他にもちらほらあったりするんですよ。例えば、共通点があるときとか。どっか行くときに同じリュックを持ってたりする人がいたら、「同じリュックですね」みたいに声かけたり。意外と会話が弾んで、一見、側から見たらすごいヤバいやつに見えると思うんですけど、意外とそういったひょんな出会いの方が面白かったりして、そのまま飲みに行けるかな。って、僕は思ってます。

qbc:知らない人と話すことは、どうして刺激的なんでしょうか?

児玉:日常生活って、結構ルーティーンの中で終わることが多いじゃないですか。いつものカフェに行って、いつもの時刻の電車に乗って、いつもの家に帰る、いつもの人と遊ぶみたいな。旅をしてると、全部「いつもの」が通用しないんですよ。昨日と違う場所へ帰って、昨日と違う人とご飯食べて、昨日と違う人と今話してるっていう。そういう感じで、全てが真新しいというか。

qbc:はいはいはいはい。

児玉:常にアドレナリンが出ている状態だから。

qbc:それって、今までに体験したことがない経験だったんでしょうか?

児玉:1回ありましたね。高校3年生のときかな。実家がある福岡に住んでたんですけど、福岡から東京までヒッチハイクで旅をしたんですね。そのときも、もうずっと常に新しい人と関わってるし、新しい宿に泊まって、いろんな人と話すっていう意味では、そのときも刺激的でしたね。

qbc:なるほど。

児玉:ヒッチハイクって面白くって。乗せてもらうじゃないですか。連絡先を交換する場合もあるんですけど、僕は普段、連絡先とか積極的に交換しないんですよね。なので、だいたい車内の関係限りみたいな。どこかで会うかもしれないけど、とりあえず、その車を降りるまでの楽しい関係みたいな感じが多いんですけど。そういったときに、乗せてくれた人がいろんな裏話とかしてくれるんですよ。

qbc:なるほど。

児玉:例えば、実際にあったのが、これはサラリーマンの方なんですけど、奥さんに内緒で2千万円の貯蓄をしてあると。

qbc:あ、そういう話をするんですね。

児玉:40歳ぐらいの人なんですけど、奥さんに内緒でずーっと貯金をしてきたと。でも、まだ言えてないから、いつ言おうか、むしろ言わまいか迷ってるみたいな。墓場まで持っていくかみたいな。

qbc:うんうん。

児玉:っていうのだったり。あとは、過去の話とかをしてくれる人も多くて。会って1時間ぐらいなのに、今まであった過去の話とか、波瀾万丈な人生とかを話してくれたりとかするから。そういう意味で、すごい面白いなって。車内の関係だけなんで、この後の関係を気にしないで気兼ねなく言えるっていうのがいいのかなって。

qbc:ちなみに、それに気づいたのはいつからだったんですか? 高校生のときのヒッチハイクから?

児玉:いろんな人と話したりってことですか? そのヒッチハイクからですね。そこもそうだし、でも、もうちょっと前に。
そのころ、博多駅の近くに高校があったんですよね。駅から歩いて学校へ向かってるときに、たまたま、ヤクルトを飲んでるおっちゃんから声をかけられたんですよ。
30-40歳ぐらいの人から声をかけられて。その人は、ヤクルトのおばちゃんからヤクルトを買って飲んでたんです。
なんか陽気な人がおるなーという感じで思ってたら、その人が、「お前、ヤクルト飲まんか?」って声をかけてきて。

qbc:はいはいはいはい。

児玉:そこで、「飲みます、飲みます!」って言って飲んだんですよ。おっちゃん2人いたんですけど、その人たちが「お前、面白いやつやな。今日、飲みに来んか?」って言ってくれて。「行きます、行きます!」って言って、夜、飲みに行ったんですよ。

qbc:高校生が? 

児玉:お酒は飲まなかったんですけど。居酒屋で。実際に行ったら、びっくりした顔されて「お前、本当に来たんか!」みたいな。自分も純粋だったんで。
いろいろ話して、そこから、その人と出会ってから、いろんなネジがぶっ飛び始めたっていうのが1つありますね。

qbc:こういうことありなんだ、って思ったんだ。

児玉:今でも、その人とは関係があって。何回も会ってるんですけど。神戸の方なんですけど、僕が神戸へ行ったり、その人が福岡へ来たりして何回も会ってます。
その人は、建築系の会社の社長さんなんですけど、僕、その仕事を手伝いに行ったり、今は一緒にホームページとかをやらせてもらって、一緒に仕事をさせてもらえるように。
その後かな、ヒッチハイクに行ったのは。

過去:趣味はたくさんあるけれど、これといったのはない

qbc:子どものころは、どんなお子さんだったんですかね? 

児玉:僕、幼稚園ぐらいの記憶があんまりないんですけど。小学校は、結構気弱でしたね。

qbc:外で遊ぶよりも家が良かった?

児玉:家が良かったんですけど。スクールカースト的なのがあるじゃないですか。結構上位の人から、家から連れ出されてた記憶があります。「行くぞ!」みたいな。

qbc:地元は福岡ですか? 

児玉:生まれは宮崎なんですけど。幼稚園のころまで宮崎にいて、小学校に上がるタイミングで福岡に来たっていう。それからずっと福岡です。
めっちゃゲームして、めっちゃ本読んでとか、そういう。
ないんですよね。そういう意味では。
親がいろいろ持ってきて「こういうクラブあるよ」とか「こういうスポーツどう?」みたいな。逆に、全然興味を示せないっていうか。そういう子どもでした。かわいくない子どもでした。

qbc:じゃあ、何が好きだったとかも、ふわーっとしてるってこと? 

児玉:そうなんですよ。自分の中で、これといった特技もないし。あるのかもしれないけど、自分でまだ、これっていうのが今でも気づけてないし。
だからこそ、そういういろんなものを補いたいから、旅をしてたのかもなーっていうのを、今、思いましたね。これといった趣味もないし、これといったやりたいというか。

qbc:それは、今でもない?

児玉:ないですね。多趣味ではあるけど。絵を描いたりも結構好きだし、こうやって人とお喋りするのも好きなんで、趣味はたくさんあるんですけど。これっていったものはないですね。やってて楽しいことはたくさんあるんですけど。

qbc:今のお仕事、WEB制作がめっちゃ好きってわけでもないんですか?

児玉:そうなんですよ。これは言ったら怒られるかもしれないけど、今の仕事はできるからやってるに近いです。できることをやってるって感じですね。
別に、すっごいWEB制作がやりたいとか、ホームページの制作以外にも、これから独立開業したい人に向けてコンサルティングとか、SNSのデザインとかやってるんですけど、それもすごい楽しいかっていうと。それなりに楽しいんですけど、これを一生やっていくかっていったら違うしっていう。

qbc:今、一番楽しいことって何ですか? 

児玉:一番楽しいことか、難しいな。

qbc:一番時間を使ってることっていう言い方でもいいですけど。

児玉:それだったら料理ですね。あと、家で映画を見たりするのが楽しみですね。
家も4ヶ月前に探してたときは、料理と映画が楽しめる家にしようって思って。今、アパートを借りてるんですけど、そこはキッチンがめっちゃ広いんですよ。普通の単身世帯の2倍くらいキッチンがあるとこで。
それから映画を見るために、アラジンっていうプロジェクターを買って。映画と料理ができる家っていうので。最近は、それが楽しいかな。料理してご飯作って、映画見てって。

qbc:映画は何がお好きですか? 

児玉:めっちゃいろいろ見るけど、最近好きなのは、たぶんNetflix限定の『スノーピアサー』っていう映画で。世界が氷河期に突入したっていう設定で。列車に生き残った人類たちが乗り込んで、そこで生活をするっていう。殺人が起きたりとか、トラブルが起きたりっていう映画なんですけど。

qbc:料理はどんなところが楽しいですか? 

児玉:料理は、なんだろう。僕、作るのに凝った調味料を使うとかでもなく、結構一般的に家庭にある調味料で作るっていうことが多いんですけど。今、クラシルとかそういうのを見ると、ネットで検索するといろんなレシピが出てくるんですよ。

qbc:ありますね。

児玉:そういうので、限られた調味料の中でどれだけ美味しいものを作れるかっていう試行錯誤するのがすごく好きで。特別な調味料も使わないし、最近、そういうのにすごくハマってます。

qbc:食べることが好き? 

児玉:食べるのと作るのが1対1ですね。作るのも楽しい、食べるのも楽しいみたいな。食べるのは楽しいけど、作るのが面倒くさいみたいな人が多いじゃないですか。

qbc:どんなところが楽しいんですかね? 

児玉:失敗することもあるんですよ。っていうか、結構失敗する方が多いんですよね。
でも、10品ぐらい作ってたら、1品ぐらいにとんでもなくおいしいものが現れるんですよ。こんなに食べものがあったんだ、みたいな。
それをずっと研究してるっていうのが面白い。だから、多少まずくても、これもありか、みたいなふうに思えるっていうのはありますね。

qbc:また旅をしたいな、とは思わないんですか? 

児玉:あー。実は、数日の旅は行ってるんですね。1週間弱の旅とかは行ってるんですけど。

qbc:質問を変えて。また家を捨てるっていうのは、したいと思わないですか? 帰るところがないという旅暮らしと、変えるところがある旅は違うんですよね? 

児玉:確かにそうですね。一応、5年後とかの目標が自分の中にあるんですけど。今はコロナなので難しいんですけど、海外と日本を転々とする。日本の自分の家をベースに、海外を数週間とか1ヶ月とかごとに転々とするっていう生活をしたくて。
日本に賃貸とか借りてもいいかもしれないんですけど、やっぱり帰れる家みたいなのが欲しいって思って。ずっと固定費を払い続けるのもどうかと思って、今、福岡の田舎の方にぼろ家をもらってですね。週末DIYに行きながら、そこを自分で改装して、そこをゲストハウスみたいな形にして、自分が帰れる家にしようっていう計画でいるんですけど。

qbc:うんうん。

児玉:なので、ゆくゆくは、また旅をするんじゃないかなと思ってるんですね。

未来:矛盾になるかもしれないんですけど、その不安が楽しい

qbc:未来について、焦点をあてます。どういうふうに未来を思い描いていますかね? 

児玉:未来は、これも具体的にこうっていうのは言えないんですけど。自分の中で、いろんな想定が頭の中に浮かぶんですよね。
5年後にそこらへんの路上で野垂れ死んでるようなイメージも湧くし。東京とか海外とかへ行ってバリバリ仕事してて、海外の女性と結婚してて、超美人な女性と結婚してて、みたいな想像も湧くしって。自分の中でわかんないですね。

qbc:なるほど。

児玉:どうなってるんだろうみたいな、全く検討がつかないっていうのがあるかな。
それは想像が湧かないっていう話で。自分がこうなればいいなっていうのも、あんまりない。どっちでもいいのかなって、それも1つの作品みたいな。
苦しかったりしても、のちのち笑い話になったりするから。どっちに転んでもいいのかなっていうふうに、考えますね。

qbc:児玉さんの欲望はなんですか? 

児玉:寝ることと、食べることですね。

qbc:どういう育ち方というか、どういう遊びをしてきたんですか? 原風景は?

児玉:トミカが好きで。トミカは母親とかに買ってもらってたんですけど、トミカを遊ぶシートみたいなのがあるんですよ。信号があったり、絵が描いてあって人が歩いてたりとかっていうので、一般的には遊ぶんですけど。
それがあまりにも面白くないっていうか、自分で世界を作りたいなっていうのがあって。そのシートを捨てて、広告の裏をテープで10枚ぐらいペタペタ貼りつけて、自分の町を作って遊んでた記憶がありますね。

qbc:なるほど。ありものじゃ嫌だ、自分のアイデアで作るんだ、てことですね。でも、特に欲求とか欲望がない。というのは面白いですね。

児玉:なんででしょうね。

qbc:児玉さんは周りの人から何て言われてます?

児玉:何考えてるのかわからない。

qbc:一番大事にしてることは?

児玉:一番大事にしてることは、超ありきたりなんですけど、寝ることと食べることですね。それはすごい大事にしてて。

qbc:寝食を忘れて何かに打ちこむ人たちがいますよね。勉強するとか何かを作るとか。
エンジニアだったら寝食を忘れて開発するとかね。
そういう人たちのことを、どう思いますか?

児玉:友達とかは職人気質なんで、わかります。でも、僕はそんなにできないですね。
だから、1日8時間も絶対働けないし。ましてや、絶対僕は週5も無理。なんていうのかな、働きたくないじゃなくて、もう働けないんですよね。
仕事の打ち合わせに遅刻しそうでも、いつも普通にご飯食べちゃいます。

qbc:決まったルールに従って働くのが無理だって気づいた瞬間は、いつですか?

児玉:僕、実は高校生のときにホテルでアルバイトしてたんですけど。そのときに、フルタイム近く入ってたのかな。もともと公立高校だったんですけど、やめて通信の高校へ行って。
で、ほとんど通信へも行かずに1日ずっと働き詰めで。高校生にして、20万円超える月もありましたね。ホテルのアルバイトをやめたときに、こんなに頑張ってるのに20万円ぽっちしかもらえないんだって思っちゃって。

qbc:はいはい。

児玉:じゃあ、普通に稼ぐより、あんまり遣わないっていうか、家で、そんなにお金をかけずに楽しめる方法を見つけた方がいいなって。それが映画だったり料理だったのかもしれない。

qbc:なるほどね。例えば、この競争社会でのしあがって、自分が一番になってやろうっていうような欲求みたいなのは、ない?

児玉:とんでもない。ないです。なんでなんでしょうね。

qbc:もしもの未来について質問します。もし、高校生のときに「飲みに行こうよ」って言ったヤクルトおじさんとの出会いがなかったら、どうなっていたと思います?

児玉:たぶん、なんとなく普通に就職してたかもしれない。今もなんとなく生きてるんですけど。

qbc:なんとなくサラリーマン。

児玉:全うしてたかもしれないですね。
ひとつ、ちょっと面白いエピソードがあるんですけど。僕が神戸の社長さんのところに、そのときはアルバイトとして行く形で、日給っていう形でお給料をもらえる、10日間ぐらい働きに行くっていうのだけ決まってたんですよ。日給の話とかは、社長さんなので自由に決められるんですよね。なんで、社長さんと電話したときに「お前、給料いくらにする?」って言われたんですよ。
で、「え?」みたいな。びっくりしたんですよ。そのとき、アルバイトをしたことがなかったんで。

qbc:うん。

児玉:「いくらって、それ、決めてもらえるやつじゃないんですか?」「あ、決めていいんですね」って。そのとき、ちょうど留学に行きたかったんで「留学に足りない費用を賄える金額を計算してみます」って言ったら、その社長さんに超怒られて。「違うわ!」って。
「どういうことですか? いくら欲しいかって言ったじゃないですか」って言ったら、「お前はいくらの価値を提供できるんや?」って言われたんですよ。僕、そのときにゾワッとなって。

qbc:うんうんうん。

児玉:そしたら、急に不安になってきて。時給千円ももらえないっていうふうに、思っちゃったんですよね。
そのときから思考がガラッと変わりましたね。常に何か仕事するときに、このお金っていう対価をもらったときに、自分がどれだけの価値を提供できるかっていうのを、すごい考えるようになって。そこから、思考がすごい変わったというか。そういうのがあります。

qbc:それはまだ高校生のとき? 

児玉:それは、大学生になってから呼ばれたとき。大学1年の春から夏にかけてとかですね。

qbc:なるほど。もういっこ、もしもの質問。
もしも、児玉さんと同じ経験を他人がしたとして、その人は児玉さんのように家を持たない生活をするような人になったと思いますか?
ヤクルトおじさんと出会ったり、高校のときに20万円稼いだりするような、同じ経験を他の人がしたら、その後どうなるか、という質問です。

児玉:(笑)難しいですね。

qbc:思考実験として答えてみてほしいです。

児玉:そう問われると、同じ道を辿ってないかもですね。

qbc:他の人とは何が違うんでしょう?

児玉:リスクを考えないんですかね(笑)

qbc:リスクを考えない、か(笑)リスクあるってわかってて、やってる? 

児玉:僕、すっごいやりたくなります。なんか、すっごいやりたくなりますね。
いろんな場面が思い浮かぶんですけど。特に、ちょうど留学に行ったときに、フィジーへ行ったんですけど、危ないっていうか夕方とかになって出歩いたら普通にボコボコにされてお金取られるような、地元の人でも夜は出歩かないような地域があるんですけど。そこに、僕、どうしても行きたかったんですよね。「危ない」って言われたんですけど。
数日前か数週間前に、めっちゃケガをしてそこから帰ってきた留学生がいるって聞いてて、「危ないから行くな」ってみんなから言われて。でも僕、行きたすぎて行ったんですよ。

qbc:うんうん。

児玉:そしたら、現地の人たちに「何してんの、こんなとこで」って言われて。たまたま出会った人がすごいいい人たちで。結局、車に乗せて、ここがこうで、みたいな観光案内もしてくれて。
結局、すごい楽しい旅になったんですけど。そういう危ない地域にも、止められれば止められるほど、行きたくなるというか。ゾクゾクしてくるんですよね。俺、こんな行動を取ったときに、この先何が起きるんだろうっていう。

qbc:実際にケガをしたこととかないんですか? 

児玉:ないですね。確かに、骨折とかもないですし、ケガもないですね。

qbc:どういう感じですか? これはリスキーだなって思うものに飛びこんで行くときっていうのは。

児玉:不安ですね。いつも。結構ビビってますよ。高校やめたり大学やめたりっていうのも、周りには己れの道を行ってる的な発言をしてたんですけど、正直、相当ビビってました。どうなんだろうみたいな。

qbc:はいはいはいはい。

児玉:やっぱり怖いです。不安9割、期待というか何が起きるんだろう1割で。
矛盾になるかもしれないんですけど、その不安が楽しいんですよね。楽しいっていうか、それで体のアドレナリンが出るっていうか。
何ていうのかな。言葉にするのが難しいんですけど。その大きな不安っていうのが、定期的に自分の中で欲しくなるんですよね。

qbc:旅暮らしっていうのはね、きっとそういうことの連続なんですよね。

児玉:確かにそうですね。やっぱりアクシデントが起きるんで。飛行機に乗り遅れたりとか。

qbc:そういうご自身にありつつ、今、定住を選んだっていうのはどういうことなんですかね。

児玉:そうなんですよね。そこも自分の中で引っかかるところがあって。定住も意外と楽しいですよね。
家の中で過ごす。何なんでしょうね。そういった意味では、もしかしたらどんな環境にも適応できるのかもしれない。
これは嫌だとか言いつつも、さっきの「就職で8時間働くのは無理だ」って言いつつ、いざそういう環境になったら普通になんなく働くのかもしれない。

qbc:あーなるほど。

児玉:そういう何とかこなしてきた経験があるから、路上でも生活できるし、タワマンで東京でバリバリ仕事してるっていう風景も浮かぶしっていう、そこにつながるのかもしれない。今、自己理解が進みました。

qbc:慣れちゃうんじゃないの? どんな環境でも慣れちゃうから、ダメなのかもしれないですね。

児玉:確かに。

qbc:よし。それでは最後に、言い残したことがあればお伺いします。

児玉:今、話してて思いました。自分って何なんだろうって思いました。

qbc:(笑)。自分は何なんだろうって考え続けても面白いと思います。答えがないので。
児玉さんをちょっと不思議な人だなって思うインタビューでした。インタビューが始まる前は「このまま人生ずっと旅をして生きていきます!」みたいな話になるのかなと思ってたんですけど、そんなに単純ではなかった。

児玉:「みんな、旅した方がいいでしょう」みたいなことは、僕、公言してました。

qbc:でも、10年後、また家なしで旅をしてますってことにはならなさそうですよね。

児玉:そうですね。

qbc:その旅暮らしの経験がいいっていうのは、間違いなく旅暮らしで得られた経験だと思うんですけども、でも児玉さんはそれをずっとやり続けてなさそう。
そのときそのときの好奇心に従ってるんじゃないんですかね。不安を伴うような好奇心の充足を求めて。
ありがとうございました。

児玉:ありがとうございました。

あとがき

旅じゃなくてリスクが好きなんだ。てのは面白かったですね。そうか。家を持たずあてどのない旅は確かにリスクの塊。確かに怖い。怖いけどドキドキしちゃうやめられない!
多くの人が避けるであろう危険を好んでしまうという性格類型はやっぱりあるんですね。
ウニを人類最初に食べた人ってすごいよなこんなトゲトゲの中にうまいものがあるなんて、その貪欲さすごい、その知的探求心すごい、みたいな。今回のインタビュー参加者はまさに人類に新しい知見をもたらすために冒険する(何かの)突破者なのやもしれん。
どうであろうか。いやそれにしても、冒険者は若いときから冒険者なんだなあ。と思った。年とってから冒険者になる人もいるであろうけどね。
ではまた次回!
ということで読者の皆さま、どのような感想を持たれたのか。よろしければコメントで記事への感想お待ちしておりますねー!

編集協力:有島緋ナ

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