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美咲さん ✖️ BL 後編  【偏愛インタビュー】

やっぱり、好きなものを語りたいっっっ!!
ということで、偏愛インタビューつづきます。

【第3回目のゲスト】
 美咲さん
 
インタビュー記事やWeb記事を執筆するフリーランスライター。
 BL について語ってもらいました!
 各種リンクはこちらから!    
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 ・ポートフォリオ
 ・X (旧Twitter)
 ・無名人インタビュー

前編・後編に分けて、好きをお届けします。
前編はこちらをクリック! 
 聴き手:erica (無名人インタビュー・インタビュアー)



04 : BLの萌えを分解していくと、キャラ萌えとシチュエーション萌えがあるんですね。


美咲: そういえば、BLや二次創作からズレちゃうかもしれないんですけど。

幼少期から元々内気というか、自分の思っていることをあんまり言えない性格でした。今はそうでもないんですが、お姉ちゃんは家で暴れ散らかすタイプの人間で。鏡全部割るぞみたいな感じでした。

なので、自分から言って発散できなかったから、「死にたくならない理由を探さないと」って本能的に思ったんですよね。

小学校もそんなに楽しくないし、家も楽しくないから、何とかしなきゃいけんって思い始めた。で、身近にあった週刊連載の漫画とか、毎週やるアニメにハマれば、来週までの生きる目的が簡単に作れるな〜って。

そこから、すごく意識的に漫画やアニメにハマるようになったんですよ。「あ、私、これを楽しんでいるから、死ななくていいや」みたいな。

死にたいなと思ったことは今までマジで1回もないんですけど、変なリスク管理を幼少期からし続けちゃったから、ちょっとこじれてるんですよ。シンプルに、漫画面白いよね〜!!というよりも、ちょっと変というかこじれている、生きる理由にしちゃう十字架みたいなのがあります。

萌えないと自分の人生がつまんなくなっちゃう。そういう無意識の統制が当時は存在してたんだろうなって思います。今は、楽しくやってるという体でいますし、そういうつもりですけど。多分無意識で、すごく頑張って萌えようとしてた時期はあったんだろうなって思いますね。

── そもそも、BLを知ったのはいつ頃ですか?

美咲: 中学1年の時でしたね。BLの漫画で、当時流行ってたものがあって。漫画好きの中で、ジャンプといった一般的な漫画の派生でBLを知ってる子もいて。

回し読みして、BLってものがあるのかぁ〜みたいな。当時みんなが知らなかったからこそ、ちょっと大人みたいな。多分、男子でいうエロ本みたいなもんだと思うんですけど。

そういう気持ちもあって、中1で触れましたね。そこでハマりました。

── 当時、一番ハマっていた作品はありますか?

美咲: 当時は、『純情ロマンチカ』という、BL界の名作にハマってました。


一番回し読みもされていて、有名でした。一番最初に買った漫画ですね。

── 読んでみて、どうでした?

美咲: あー、なんかもう、本当にちゃんと萌えてましたね。

ツッコミどころもある作品なんですけど、当時はあーもう最高みたいな。もう次早く読みたいみたいな。もう本当にシンプルに面白がってましたね。

ぶっちゃけ、当時って少しおませな気持ちで読んでいるから、なんだっていいんですよね。BLがBLであればいいというか、BLにもいろんな種類があるとは考えてないというか。

有名でみんなが知らない漫画を読んでるんだみたいな、ちょっと変な優越感が絶対にありました。THE 平成みたいな漫画で。今思うとそんなに深く考えてなかったかもしれないですけどね。

── まさに平成って感じですね〜。

美咲: ですねえ〜。

── 萌えは、どんな要素に対して感じていたんですか?

美咲: BLの萌えを分解していくと、キャラ萌えとシチュエーション萌えがあるんですね。

キャラクター萌えは、このキャラクター好きだなとか、こういう性格の子が好きだなみたいな。ドラえもんを見て、意外とスネ夫好きだなとか、ドラミちゃんが好きみたいな話と同じ。

これなんで生まれるの? って言われたら、キャラは分かりやすいんです。自分の上位互換を好きになる人と、全く正反対のキャラを好きになる人がいると、私は友達と話して統計したんですよ。好きなキャラクターが生まれる理由って、多分その2つに区分される気がします。

私はどちらかというと、自分が超嫌いなんで。今でこそ収まりましたけど、昔は超嫌いだった。眼鏡かけてたし、すごくおとなしかったんで、眼鏡萌えはまずない。できれば、明るいキャラクター。よく喋るキャラクター。人を巻き込めるキャラクターに完全に惹かれるタイプでした。騒がしいみたいな。

自分の実生活の価値観に紐付いたキャラクター好きが生まれてくるのが、キャラ萌えの話です。

シチュエーション萌えは、読んできた作品や好きな作品、触れてきたエンタメによると思うんですけど。絶対に別れ話をしてほしい腐女子もいれば、もう全部ラブラブいちゃいちゃでいいみたいな人もいれば、ちょっと傷つけたいみたいな加虐心のある腐女子もいるみたいな。

私はあんまり、嫌なことをされてほしくない。せっかく好きで読んでいる漫画で悲しいことが起きるの結構嫌なので、山あり谷ありでもいいけど、平穏、事件は起こさないでというのがあります。

シチュエーション萌えは、性格やこれまで読んできたエンタメの好みの話になると思います。萌えはキャラとシチュエーションの混合で生まれる気がしますね。マッチするキャラが、好きなシチュエーションで動いてたら、萌え〜ってなる気がします。


05 : 多感期に触れたから、BLが人生のキーワードになっちゃったっていう感じだと思います。


── 二次創作を知ったのは、その後ですか?

美咲: 時系列で言うと、小3から漫画を読み始めました。
そして、小5で二次創作を知りました。作品を検索サーチに入れると、二次創作が出てくる時代だったので。

先に二次創作を知って、中学校に入ってからBL漫画を貸してもらった。BLって面白いんだって感じた時に、元々知っていた二次創作の文化は純度100%のBL漫画としても存在するんだってびっくりしました。

同時並行でしたね。好きな漫画、ハマっている漫画があったら、二次創作も読んだり書いたりしていました。BL漫画で面白い作品があったらそれも読むしみたいな。

オリジナルと二次創作っていう2つがあって、『純情ロマンチカ』はオリジナル100%のBLという意味でオリジナルとなるんですけど。オリジナルと創作をどっちも好きになったのが中学以降で、今に至るという感じです。

── 作品を書き始めたのも、中学生の頃ですか?

美咲: 二次創作を書き始めたのは、小5が初めてでしたね。

昔から、本は絵本レベルで読んでて。小3の時に好きなファンタジー小説があって、一冊で終わっちゃう短編だったんですよね。ハリーポッターぐらいやってくれたらいいのに〜って思うくらい面白くて、続きを自分で書いたんですよ。それが、二次創作というか、自分で書いた初めての体験。

それから、文を作るのはずっと好きで。小5でオタクになって二次創作文化に触れて、じゃあ自分も書いてみようとなった。そして、中学でBL漫画を読みました。

なので、書くのが何より先にあって、二次創作があって、オリジナルがあってみたいな遍歴ですね。

── 二次創作が先なんですね!
小学校の頃から今にかけて、見るBLの種類や書く内容に変化はありましたか?

美咲: あー、文章量の変化はあったかもしれないですね。いやぁ、初めての質問です。

文字が書けるようになった。例えば、昔は1500文字ぐらいしかどうやってひねっても書けなかったのが、アルバイトを始めたら漫画がちゃんと買えるから、参考書も教科書も手に入って、いろいろ考えることができた。高校生の時には、1万字書けるようになりました。

時系列飛びますけど、『純情ロマンチカ』を読んでいた頃は、BLだったら何でも読めます!面白がれます!みたいな感じだったんですが。

今はもうアラサーなんで、加虐的なものは本当に嫌で。なんか、平和に行こうよ〜みたいな。なので、逆に読めなくなっちゃった。シンプルに、年齢によるエンタメの幅の狭まりもありました。

── 事前にオススメしてくださった『恋の話がしたい』は、どういった理由から好きなんですか?


美咲: 『恋の話がしたい』は、高校生の時に読んだオリジナルのBLです。この先生、当時衝撃だったんですけど。

BLって『純情ロマンチカ』が一大勢力なので。ポップで明るくて花や星が飛んでて、少女漫画を男の子にトレースしたのが流行りだったんですよね。ポップで明るくて、そしてエッチでみたいな。本当に、その3拍子だったんです。それが面白かったり、エンタメ的にやっぱりいいねみたいな感じだったんですけど。

この作者って、そんなに性描写もない。BLでいう性描写って、少女漫画でいう恋愛くらい必要なことなんで。それないと何書くの? みたいな。当時はそんな感じだったんです。ジャンプ漫画でいうバトルない、敵キャラいないみたいな。何でだよってなるじゃないですか!(笑)

『恋の話がしたい』の作者は、非日常的なポップさとか、ギャグ漫画ですか? みたいなテンポ感がなくて、結構ゆったり話を書く人なんです。これがすごく衝撃だったんですよね。これでBLというジャンルが成り立って、しかもちゃんと絵も綺麗で話も面白くて。それが新しかったです。

あと、この作者が好きな理由で結構大きいのが、考える余白があること。セリフでいっぱい説明されてたり、1秒で簡潔にキャラクターを説明するぜっみたいな感じがないから、これってどういう意味でしたっけ? とか、この人ってなんで今これやったの? と考えないと、たまに置いてかれるくらいの、ある種不親切さがあるんです。それが好みだったんだと思います。

前編で好きだと言っていた、60代でホームページで書いている方々がいたと思うんですけど。あのお2人にも共通することなんです。考える余白とか、説明しすぎないところが存在する。私、考えたり思考をねりねりしたりするの大好きなんで。考える余白があるという共通項が全部にあると思います。

── どういったシーンで考えを巡らせますか?

美咲: 例えば告白シーンとか、性描写に入る前のシーンで考えることはぶっちゃけなくて。BLってちょっと俗物的なんで、いきなりなんで高尚な話をって感じですけど、人間関係でここが肝とか、ここは山場というのはあんまりないんですよ。

よく考えたら、いろいろ全部大事だったかもみたいな感じの延長線でコミュニケーションがある気がするんですけど。明確なシーンはないけど、言葉が足りてなかったりとか、2人の思いが通じない前ですかね?

思いが通じ合う前って言葉が足りてないから、何考えてるんだっけ? とか、え、これでいいんだっけ? みたいなすれ違いがあると思うんです。こっちも考える余白がさらに大きくなって、え、これなんで? って楽しめるんですかね。ちょっと答えになってないかもしれないですけど(笑)。

── 登場人物同士のすれ違い、考える余白って、例えばドラマや少女漫画でもあると思うんですが…。BLならではの違いって何かありますか?

美咲: めっちゃありがたい質問で、そこは実は普通にないです。確かに、全部にそういう余白って存在してるから、GLや二次創作のGL含め、全部の人間関係面白いなと思って、今は楽しめているんです。

学生時代にダイレクトに触れたり、周りにあったりしたのがBLだったので。多感期に触れたから、BLが人生のキーワードになっちゃったっていう感じだと思います。当時少女漫画がすごく流行ってて、みんな読んでたら、少女漫画は元々好きだったので引き続き少女漫画を読んでた気がしますね。

エンタメ=スポーツだとしたら、スポーツ全般好きだけどバレーだけやっちゃいましたみたいな感じはしますね。球技は好きだけど、でも一応専門はバレーっすみたいな感じ。

── すごく分かりやすいです!美咲さんの育ってきた環境では、BLを好きな方が多かったんですか?

美咲: 父が出版関係だったんで、漫画は近くにありましたけど、あんまりオタクでもないんで、BLは家になかったです。だから、隠れてひそひそ友達と読んでた感じですね。友達はみんな漫画好きが発展して腐女子でした。


06 : こじらせないように。好きなものは好きと言える方がいいから。


── 今は、BLについて誰かと話すことはありますか?

美咲: そんなに交流が上手でもないんで。一応、即売会で本を売るので、フォロワーさんとBLの話をすることはありますけど。

あとは、中学の腐女子友だち。地元の友達は、まだ仲良い子もいるので、そこで話したりします。

平成だと、腐女子もオタクも隠されるべきものみたいな扱いだったと思うんですけど、時代も変わってきた。私がコソコソしてたら、私の下の世代が、「腐女子って隠さなきゃいけなくて、キモいもんなんだ…」って逆に思っちゃうかもしれない。それは違うなって、自分でも思うようになったので、積極的に言うようにしてますね。

別に、押し付けなければいいかなと思ってるんで。「腐女子です」って言うようにはしてますね。

── 言った後の周りの反応って、どんな感じですか?

美咲: あーもうみんな、今は気にしないですね。それで聞いてくれる人もまあいないんですが。確かに、BL好きと言われても興味ないだろうし。

「あぁ、おっさんずラブ好きなの?」 みたいな。いや、おっさんずラブは好きじゃなくて、余白が…みたいな感じで、今話しているようには絶対に言わないですね。「そういう趣味もあるんだ、ふーん」という反応です。聞かれたら答えますね。

── 今後、BLに関して叶えたいことはありますか?

美咲: 今まで10万字ぐらい書いてるから、それを再録した1冊の本を作りたいですね。

今後のマインドで言うと、腐女子を秘めた文化にすると、具合が悪くなるなと思ってて。どういうことかっていうと…(笑)

平成は本当に抑圧というか、まあ私が結構気にしちゃったのもあるんですけど、やっぱりオタク=キモいみたいな雰囲気があった。

今はビジネス的な理由もあって、オタク上げになってる。なんか不用に上げる必要もないし、推しに人生の全てを託すのも私ちょっとあんまり好きじゃないんですけど。でも、好きなものを好きって言えなかったから、すごく抑圧されている気持ちだったんですよね。

学生時代、自分を元々表現するのが下手なのに、自分が一番好きなものを好きって言おうもんなら、え? キモ〜いって絶対いじめられるみたいな気持ちすごくがあった。

好きなもの何? って聞かれた時に、BLと言えたことが一回もないというか。私、やっぱりエンタメが好きだし、BLが寝ても覚めても一番好きというのは変わらないんで、話題のカードが元々少ないんですよね。そして自己表現が結構できないから、すごく抑圧されていた。

間違ってたわけじゃないですけど、1社目はオタクと喋りたいっていう理由だけで、オタク系企業を受けちゃって。なんか考える幅が下がっちゃったなみたいな気持ちがあったんで。

こじらせないように。好きなものは好きと言える方がいいから。今後も、私は後ろめたいことはしないようにするし、後ろめたくないように思おうっていう気持ちでいますね。

腐女子って言っても嫌われないだろうし、そこで嫌う人はごめんなさいって感じです。


おわりに : 本当にこういう話はできないですし、しない方がいいと自分でも思っているんで。


── これまで話してみて、いかがでした?

美咲: すごい、解放させていただいた気分になりました。

── 嬉しい!良かったです!!

美咲: 本当にこういう話はできないですし、しない方がいいと自分でも思っているんで。結構思想的な話だし、ハテナな部分もあるじゃないですか。スポーツの話とは、ちょっと方向性が違うというか、思想感が強いというか。

今回、偏愛っていうワードにちょっとピピピッと来てお願いしちゃったんですけど、いろんな形でお話を広げていただいてすごくありがたい気持ちでした。


ひとりごと

久しぶりにBLを読んだ感想を書く。

私は一時期、GLとBLを読み漁っていた。それは、少女漫画に出てくる、両思いの2人を邪魔する意地の悪い当て馬男女が苦手だったから。2人の世界が守られてほしいという、厄介なプライドを上手く守ってくれたのがGL・BLだった。

邪魔者が出てこない、2人だけの世界。なのに2人はさまざまな理由からすれ違う。そこに尊さを見出していた。
オススメしてくれた『恋の話がしたい』は、そのフェチをどストレートに貫いてくる作品だった。
私も思考をねりねりするのが大好き人間なので、思考を阻害する人間はいないで欲しいというか、意味もなく感情的に動く人はいないで欲しいという我がままがあるのかもしれない。

色々書いてしまったけれど、とってもいい作品だった。コミックシーモアで読めるのでぜひ!懐かしい感情を思い起こさせてもらったインタビューでした!

美咲さん、改めて好きを教えてくれてありがとうございました!
偏愛インタビューは、第3回でおしまい。
でも、また新たな好きに出会えるかも…?

インタビュー・編集・ひとりごと:erica🐿️


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