【無名人016】小学生から芥川龍之介を読んでいた文学少女が、書店員、編集、ライター、司書をやってみた結果
▷イントロ
遅筆ですみません、ていう冒頭やめにしたい。。
でもね、最近自動でインタビュー音源をテキスト化する方法が確立化されたので、早くなると思います! でも、その自動化の前の人たちが、まだ7名いらっしゃるんですよ。。。7月の連休で全部仕上げる!
と、いうことで野葛間さんです。のくずまさん。野葛間さんは、実は私からインタビュー参加をプッシュした初めての方です。
基本的に無名人インタビューは待ちの姿勢で行こうとなんとなく決めていて、それは私自身の選好を入れたくなかったからですが、でそれを継続していたのですが、野葛間さんが何かの折にコメントで無名人に興味あるんですよねえ的ニュアンスを漂わせていた時に、ぜひインタビューを受けてください! とお願いしました。インタビューしたらおもしろいだろうなと直感で思ったので。
で、案の定、私がこのインタビュー原稿を寝かせている間に、note公式にとりあげられたり、記事は充実していく一方だし、やっぱり私の目利き合ってたじゃんかと。
でもまあ、仕事は速さが無いとだめですよね。
あ、また私の話になってしまった。
ということで野葛間さん回、刮目してご覧ください!
1、文学英才教育
野葛間:おはようございます、野葛間です。
qbc:おはようございます。のくずまさん、とお読みするんですね、なるほど。私、今起きたばっかりなのでちょっとふわふわした頭でごめんなさいね。
(朝の8時スタートでした!)
野葛間:お忙しいところすいません。
qbc:いや、在宅勤務なので時間帯的には大丈夫です。
野葛間:通勤がないと楽ですね。
qbc:電車っていうストレスがないとほんと良いですね。
それでは、どんなインタビューにいたしましょうか。
野葛間:noteでやりたいことが、文学とか音楽とかアートについてのことでなので、その辺りをどうやって好きになったとか。
qbc:なるほど、分かりました。文学は、子供の頃から興味があったんですか?
野葛間:そうですね。小っちゃい頃から文学が好きで。小学生ぐらいから文学にハマりまして。5、6年生ぐらいから芥川龍之介にガチハマりしまして・・・
qbc:え、初期芥川と後期芥川の、どっちですか? 全然違いますよね、初期と後期。
野葛間:後期です。「河童」とか、「歯車」です。「或阿呆の一生」とか。人生観が変わりましたね。
当時は文豪アニメとかがあるわけじゃないので、自然発生的に目覚めたんですけど。芥川ってかっこいいじゃないですか。写真を模写したり文学館に行って動く芥川を見たりして、自分は文学を勉強していきたいなと思うようになっていきました。
中学に入ってからは、わりと教室がわちゃわちゃしていたんです。いじめがあったり、男子は野蛮だったし。
当時は、現代作家とかフランス文学とか、川端康成なども読んでいたんですけれど、周りに文学仲間がいなくて、でも一人、すごく懐いてくれた後輩がいてくれて、それでちょっと元気が出た感じかな。
高校に入ってからは、文学全集を全部読もうと思って、片端から読んでいきましたね。その時に大江健三郎さんを読んで、はまって、『セヴンティーン』(続編:『政治少年死す』文學界 1961年2月号)とか政治思想系のを読んで、アナーキーだなと思って、これはロックにつながっていくんだなと感じていました。
qbc:そこからロック? あ、ごめんなさいねちょっと声を荒げてしまいました。
野葛間:そんな感じで高校を過ごしてたんですけども、大学に入ってちゃんと文学を勉強するようになって、本当に純粋な文学好きな子がたくさんいて、すごく刺激を受けました。それから都内の大学だったので、名画座に行ってアナーキーな映画を見たり、神保町の古本屋街をさまよったりしましたね。
メジャーなものより、アーティスティックなもの、マイナーなものに目がいきすぎて、それでちょっと危ない感じになってしまってました。
破滅型の小説とか、映画もアートシアターギルドとか日活ロマンポルノとかが好きで、見ていました。文豪のお墓参りにも行きました。
qbc:なるほど。やりたい放題にサブカルした感じですね。
野葛間:そうしているうちに、なんだかあんまり就活っていう感じではなくなってしまったんですよね。
qbc:就活する感じではなくなった?
野葛間:商業的なものをバシバシ売ろうという気持ちにはなれなくて、とりあえず、本に携わる方向に行けたらいいなと思って、それで思いつく本関連の職業を全部やってみようと思ってやってみました。
書店員、出版社編集、ライター、図書館司書をやりました。司書以外は長期間ではなかったのですが、自分の適性が分かって良かったです。
2、書店員、出版社編集、ライター
野葛間:書店員は、ブックカバーの掛け方から、当時流行していた付録の付け方とか、レジ打ちとか販売の基本的なこと。あと、サイン会の運営とかもやりました。
本当は潰れかけているような古本屋で働きたかったんですけど、基本的に募集をかけていなかったです。
大きな本屋さんで働いていました。ビルに入っている、何階建てもある大型書店です。売れ筋の本からニッチな専門書まで、各フロアごとにいろんな本が売られている本屋です。各階で求められる知識が全然違って、これは大変だなあと思いましたね。世の中にはこんなに本があるんだなと。
qbc:例えば池袋のジュンク堂みたいなところですね。
野葛間:作家先生のサイン会イベントとかもやっていて、そういうのはお手伝いもしました。本好きな人が集まってきて、私が働いていた頃には、美人作家先生が芥川賞を取った時で、アイドル的人気でした。
qbc:あー、川上未映子。にゅうとらんの人。
野葛間:ちちとらんの人ですね。
qbc:え、まじ? ずっと読み間違えてた・・・。
野葛間:当時、早稲田文学の表紙にもなっていて、人気がすごいなあと思って。そういう感じもいろいろ見てきたんですけど、売れる本の中にはいいものもあるんですけど、自分には解せない作品もいくつかあって。
そういうのって売っていくのはなんか合わないなあと思って。今思えば青臭いなと思いますが。
qbc:なるほど。
野葛間:次に出版社の編集プロダクションに入りました。大きい出版社の下請けのアルバイトで、結構バズってる本を扱ったりとか、それから雑誌の柱の小ネタを書いたり、原稿受け渡しとかしていました。エロマンガの生原稿を初めて生で見て、すごいきれいだなあと思ったりとか、締切前の皆さんの大変さを身近に感じましたね。朝出社すると、ソファーで昨日の服のまま、屍のように寝てる社員さんとか見てやばいなと思ったり。
でも、編集さんは、クリエイターさんが作った既にある情報を面白くパズルのように組み立てて、全体の軌道修正をしていく仕事だなと思って、影のフィクサーみたいな仕事だったんですよね。だから、私はどっちかと言うとクリエイター側になりたいので、人をバズらせたり何かをバズらせたりはできないなと思って。編集の仕事はこんな感じなんだと分かったところで辞めて、その次にライターをやってみました。
qbc:ライターって言っても、すぐになれる職業でもないでしょう。
野葛間:最初は都内の街歩きフリーペーパーをやりたいなと思って、応募してやってみました。記事を書くために、編集長さんと同行して、カフェとか個人経営のレストランを回りました。いろいろ美味しいものも食べられるし、いいなと思っていました。
Web もやっていたのですが、紙のフリーペーパーはすごく薄くて、文字制限がかなりあったんですね。伝えられることもかなり少ないなと思って。せっかくいい写真が撮れても、いい話が聞けても、決まった枠があるから基本情報しか載せられないんです。店名とか営業時間とかアクセスとか。それプラス、ちょっとしたことしか書けなくて。
お店にストーリーがあっても、書きたいことが書けなくて、表現しきれないなと思って。短文だとつまらないものになってしまうんですね。
だから、この街歩きライターも違うなと思いました。
実は昨年も似たようなお散歩ライターのお話があったのですが、また同じことになりそうだと思って止めました。
qbc:私も広告のスペースにむずがゆい思いをしたこと、何度もありますね。
野葛間:自分で初めて好きな文章を書けたのが、知人の紹介で書いた仕事だったんですけれど、そこの編集長さんがすごくおおらかな人だったので「もう好きなこと書いていいよ」って言ってくださって。
それはもう本当に自分が好きなアートとか文学とか映画とかの事が書けたので、やっぱり自分らしい、自分の好きなことを書いてお金をもらえるのが一番楽しいかなと思いました。
紙媒体でしか発行していなかったので、レスポンスがあんまりわからなかったんですけれども、いいなあと思って。
本に携わる仕事をいくつかしてきたんですけれども、どれも自分がやりたいこととはちょっと違うような気がして。結局一番長く働いたのは、図書館でした。
3、図書館司書
野葛間:私は、古い本を保存したりまだその本を知らない人に伝えていくことをしていきたかったんですね。さらに、図書館だと、作家さんを呼んで文学の話をしてもらったりとか、読書の普及活動をすることができたんです。コミュニティとか居場所を作ることもできた。図書館はすごい楽しかったところですね。
qbc:コミュニティいいですね。
野葛間:もともとはアカデミックなことがしたいと思って図書館に入ってみたんですが、外から見るよりも大変でしたね。力仕事も多くて。
私がいた図書館は大きくて、年間100万人くらいの来館者数がありまして、毎日目が回る感じでした。
図書館には週刊新刊全点案内(図書館流通センター)という世の中で出版されている本についての出版カタログが来るのですが、そのカタログを見ながら買う本を選んで行くのですけれど、それが週2、3くらいきて、ものすごい量なんです。ネット社会になっても、毎日本はこんなに出版されてるんだなあと。その中から、図書館に入れる本やCDを選定したりとか。
あと図書館の本には番号がついているじゃないですか。日本十進分類法という方法ですべて番号付けされてるんです。例えば小説だと913.6、エッセイだと914.6。
qbc:あ、図書館の人て覚えてるんですねその分類番号。
野葛間:それで整理していくんですけど、まっさらの状態からまず番号を付与して、薄いブックカバーを人の手仕事でつけてと。
それで書架に並べていくのが美しいなと思って。そういうのを見るのがとても楽しかったです。
qbc:私、図書館のヘビーユーザーなんですよ。
野葛間:結構ヘビーユーザーの方の顔は覚えてますよ。
qbc:顔を覚えられてると思います、私。
野葛間:NDC(日本十進分類法)の何類だと哲学系が好きだなとか、時代小説好きだなとか、だんだん傾向が分かってくるので、そうすると新しい本が入った時に、この本はどうですか? とおすすめしたりします。
qbc:あー、ほんと素敵ですね。
4、図書館の指定管理者制度
qbc:図書館って、外部の人間が運営に参加できるようになったじゃないですか。
野葛間:指定管理者制度ですね。
指定管理者のおかげでイベントが増えて良かったなと思います。
図書館って、結局公務員がやってるので、生気がない目をしてやってる人もいれば、どんどん普及活動をやりたいという人もいるんですけど、情熱のある人がいても周りが頑張ってついてこないと、どうにもならないんです。
それが、指定管理者制度が入ったことによって、刺激を受けていろんなコミュニティが広がっていったり、活気づいたなと思いました。ニューヨークの公共図書館とか、海外の図書館みたいに、どんどん地域に対して開いたコミュニティになると良いです。
qbc:イベントって、どういう仕組みで行われてるんですか?
野葛間:図書館がやるってなると税金を使うことになるので、自治体の財源から持ちださなきゃいけなくなるので、できることが限られてくるんですよ。
逼迫した自治体だと、そんな余裕ないよとなって、イベントがどんどん少なくなっちゃうんですけど、企業が入ってくることによって、イベント開催のお金も入ってくるようになるし、例えば図書館はスペースだけを貸すような形にもできます。そうすると、自由度が高くなって、地域の図書館だったら、地元のお菓子の会社がちょっとイベントをやるよ、とかもできます。他には、ママさん達のベビーマッサージをやったりとかも。
あと、生涯学習に関することとか、クラフトで革でこういう小物を作るよーとか、ワークショップですね。
私が見たもので印象的だったのは、寺山修司のポスター展ですね。寺山修司学会というのがあって、そこからポスターを借りてきて、宇野亜喜良さんとか横尾忠則さんといった、あの周辺のカルチャーのポスターの大きいのを貼ったりとかして。
いろんなイベントができるようになって、いいなあと思いましたね。イベントを作っていくには中の人、館長さんがしっかりしてないとダメなので。なかなか難しいですね。
qbc:コミュニティイベント作りは、やれと言われても企画力と実行力がないときついですもんね。
野葛間:私は学芸員の資格も持っているんですけども、美術館もやっぱり自治体が運営しているところは公務員がやっているので、私立の美術館とは全然違いますね。
市町村がやっている美術館だと、相当なことがない限り潰れないし、安心感はあるでしょうね。展覧会のテーマもそんなに冒険したものはできないし。地域に根ざした、おじいちゃんおばあちゃんが来ても当たりさわりのない、比較的大人しい展示。イベントも生涯学習系なんですよね。絵手紙とか。
私は美術館へも博物館実習で伺ったことがあるんですけれども、私立美術館はどんどん人を入れないといけないので、どんどんイベントをやる、それも斬新なことをやる。
私立の美術館の人がおっしゃっていたのは、財源確保しないとやっていけないので、入館料を若干高くするとか、中でも一番大事なのが物販だそうです。例えば複製原画とかに力を入れたりとか。全然毛色が違うなと思いました。
どっちかと言うと、コミュニティ作りに力を入れているのは地域の美術館のほうかもしれないですね、入館料も安いですし。
qbc:学芸員資格もお持ちなんですね。図書館司書もあるし。
興味だけでなくて、経験もあると。やりたいことに対してちゃんと取り組んできてらっしゃったんですね。
5、本を大切に保管する、埋もれている本を紹介する
野葛間:図書館がすごく楽しくて、ずっとやっていくお仕事かなと思っていました。
図書館では、古い本をできるだけ良い状態で保存していくのがまず大事なことで、それから、売れてる本だけじゃなくて埋もれている本をみんなに見てもらうことも同じくらい大事でした。埋もれてしまった本は書庫に入りがちで、そうすると読みたくても手が届く場所にないじゃないですか。埋もれた本も、「面出し」といって、書棚に表紙が見えるように並べると、手にとってくれるようになります。筒井康隆先生の『魚籃観音記』という本を面出しした時には、おじさんがすごい勢いで走ってきて「あの本どうしたの、あの本が私は本当に大好きなんだけど」と話しかけてきてくれて、そういう会話のきっかけになったりして楽しいなって思いました。
qbc:これも素敵なエピソードですね。
野葛間:レファレンスサービスも楽しかったです。簡単に言うと読書相談ですね。今まで自分一人で吸収してきた知識がものすごく生かされているというのが楽しかったです。音楽CDとかも結構相談されましたね。
年齢が80歳くらいのおじいちゃんおばあちゃんが、一番文学の話が合って盛り上がりました。見た目は普通のおじいちゃんおばあちゃんだと思っていても、実は結構有名な作品を翻訳してる先生だったり、画家の奥さんとか絵本を描かれている方だったり、そういった方々の創作の一端をお手伝い出来たっていうのがすごく良かったなぁと。
qbc:なるほど、そういう方たちもレファレンスを使われるんですね。
野葛間:それから、絵本とか児童書っていうのもすごく大事だなーって思って。
私、社会人になるまでは子供が苦手で、扱いに困るというか。絵本の読み聞かせで保育園に行ったりとか毎月図書館でお話し会とか開催したりするんですけれども、そうするうちにだんだんと好きになっていきました。読み聞かせをしていると、食い入るようにこっちをキラキラした目で見てくれて、嬉しかったです。だんだん反応が良くなってくるので、それを繰り返すうちにすごい懐いてくれて、抱きしめてくれたり、成長過程を見ていくのが楽しかったですね。子供の頃から本を読むのは大事なことだと思って、このことを伝えていけたらいいなと思っていますね。
qbc:これもすばらしいエピソードだと思います!
野葛間:作家の先生とイベントの時とかにお会いして、面白いお話などがお伺いできたのも良い勉強になりましたね。
直木賞作家の大先生とか言語学者の先生とか、林真理子先生とか。
やっぱりすごいなーって思いました。見た目はやさしくごく普通なんだけれども、考えてることがやばい。文学書いてる人ってすごいなーって。本当に見た目はごく普通なんですけれども、頭の中がアナーキーで、ぶっ飛んでるっていうのがかっこいいなと思いました。
6、ITベンチャー:ぺーパーレスの世界
野葛間:で、その後いきなりSaaS導入/コンサル会社に入って、それがnoteを始めたきっかけになりました。
クラウドサービスを中小企業向けに導入コンサルティングをする会社でした。老舗の会社が事業承継するとか、業務が属人化してしまっている会社さんに、クラウドを導入して負担を軽くしていきましょうと。
私はそこでライターとして雇われて、いかに業務が、皆が楽になるか、というのを書いてと言われたのですが、今まで自分の職業経験の中で、マーケティングのマの字もやってこなかったんですよね。
クラウドってなんやねんって。自分にはかなりカルチャーショックで、自分は紙ありきで紙が大事、全ての書物をできる限り保存する仕事をしていたんですけれども、ITベンチャーに入ったら全部ペーパーレスで、部屋になんの本もないオフィスだったんですね。
qbc:おお、真逆の世界ですね。
野葛間:そこで学んだのは、保守的なままだと成長できない、ということでした。
100年の歴史がある老舗の会社でも、固いままではなくて、FacebookとかTwitterで情報発信をしたりしている。最初はクラウドなんやねん、とか思っている人が多くても、使っているうちに、こんなに便利になるって気づいてくれる。
おじいちゃんの店主さんが、一生懸命パソコンのキーボードを指一本一本で打って、一生懸命ブログを書いたりしている。
そういうのはいいなって思ったんですが、でもやっぱりまたそこで文字数制限があるんですよね。結局従業員が10名とかこんなに効率化したよとか、基本情報だけになってしまう。ストーリーがほとんど削ぎ落とされてしまう。
会社の方でもマーケティングという観点から見ると、私の書いた文章はなんか違うよね、となって。そこがあんまり自分に向かなかったし、私はやっぱり物語、ストーリーを書きたいので、なんか自分は駄目だなあと思って。
qbc:またストーリーを書かせてくれない壁にぶちあたるんですね。
野葛間:で、そこの会社を辞める時に、社長さんに、noteというサイトがあるんだよと紹介されたんです。
最初どういう風にしていいか分からなかったんですけれども、趣味とかについて書けばいいんじゃないってアドバイスいただいて、その時に、有名noterになったら面白いんじゃないのと言われたんですね。
それで今に至ってるんですけれども、結局今何をやってるのか、いまだに分からないですね。
qbcさんにお声がけいただいて、すごく嬉しいなと思いました。
qbc:いやー、こちらこそ。自分から声をかけるというのはやっていなかったんですが、面白い話が聞けそうだなと思って声をかけました。
野葛間:無名人インタビューはすこく面白いなと思っています。
今までnoteで結構読んでいた人がいて、この人こういうnoteを書いていたけど、実際はどういう人なのかなあと思っていた部分があったんですが、インタビューを読ませていただいたら、ああこういう背景で文章を書いていたんだなと、いい人そうだなとか分かって、良かったです。
qbcさんのインタビューを読むことによって、インタビューを受けた方の魅力もよく伝わってくるし、qbcさんにも興味がわくんですよね。
受けたいけどどうしようかなと迷っている時に、ぬえむさんからインタビューを受けていらっしゃったじゃないですか。
その模様はこちらです。
qbcさんのお声をそのインタビューで聞いて、優しい感じの声で安心したんですよね。怖い人だったらどうしようとか思ってたので。声を聞かないと分からないことってあるんですよね。声を聞いて、人柄とか、そういうことが伝わって良かったなと思いました。
qbc:ちなみに、無名人インタビューは、どなたのを読んで、noteと実際の人物像が違っていたなと感じたのでしょうか?
野葛間:週末競馬さんです。最初アフィリエイターの方かと思ったんですけども、qbcさんのインタビューを見てこういう方なんだなと思って、衝撃でした。
やっぱり先入観は良くないんだなと。
qbc:週末競馬さんは、noteとご本人のギャップ、トップクラスで違いますよ。あの方は別格でしたね。
7、読書の話:本は自分で読んで欲しい
qbc:noteの良いところってどんなところでしょう?
野葛間:Twitterは短文で伝わりやすさがあるんですけれども、短いので背景が伝わりにくいんですよね。そういうのが誹謗中傷のリプライとかに繋がったりするんじゃないのかなと思って。誤解を受けやすいなと思います。
自分はついつい文章が冗長になってしまうんですけれども、色々考えちゃうので長くなってもいいから、そのものの本質みたいなものが書けて行けたらいいなと思っています。
qbc:そうですね、いつのまにかそういう短いテキストで溢れるようになりましたね。
野葛間:Twitterは読みやすいけど短すぎるし、Instagramはちょっと商業的すぎるし、はてなはちょっと閉鎖的なのかなと思って。
その点、noteはすごく使いやすいし、短文から長文まで書けることで、ものすごく幅が広がるかなと思って。
YouTubeの動画もすごくいいなと思ってて、音楽の動画とかヨガの動画を見ています。
けど、すごく人気のある読書YouTuberの方がいて、それを見ている若い子が、本読まなくてもいいって言ってたんですね。それはちょっと違うんじゃないって思って。YouTubeが読書を読む導入にはなるのはいいと思うんですけどね、やっぱり自分でちゃんと読んで感想を書くなり考えるなりしてほしいと思っていますね。
qbc:読書は読んだところからがスタートみたいなところありますからね。読み終わるのがゴールじゃないですから。
野葛間:今は、本が読まれていないなーっていうのがすごく思ってることです。他にもいろいろいいものがありますからね。でも紙の文化とか楽しいよってことと、後は純文学とか暗くなったりとか敷居が高いとか、そんなんじゃないよっていうのを伝えていきたいなと。
qbc:あー、受動的なメディアと能動的なメディアの圧倒的な違いっていうがあって、YouTubeとかテレビは受動メディアで、時間とともに流れていく、能動メディアである読書は、読むのをやめちゃえるんですよ。自分が読まなければ止められるんですよ。
野葛間:私、受動メディアが苦手なんだと思いました。テレビはあまり見ないし、YouTubeも途中でムズムズしてきちゃうんですよ。
qbc:読むと行間で止まったりとか、これ何だろうと考えごととかし始めたりしちゃう。そういうのがほんと自由自在なんですよね。それが読書の意味であって、これって何だろうって、ほんと一対一で作者の書いたことと話し合って、それが自分自身の言葉、個性の生まれる源泉なのであって、それがないと、さっきの読書YouTuberの話になってしまう。本を読んだ人の話を聞くことは、読書じゃないよ、ただの情報の摂取だよって。
読書は、情報の摂取ではなくて、作者の主張との対話。対話から生まれる自分自身の考えなんだよって。
野葛間:そうですね。それを言いたかったです。
qbc:読書の歴史っていう本があって、いかにして人は本を読んできたかっていう本なんですが、それ読むと、西洋史の中での書物って特別枠なんですよね。
日本で本が特別ではないという話しではないですが、日本の本って謝辞が少ないじゃないですか。
野葛間:明治大正とかあったようですけどね。佐藤春夫の本なんかで、谷崎潤一郎君へ、みたいな。その頃はまだ作家の横のつながりがあったんですよね。確かに最近あまり見ないですね。
文学の話ね、qbcさんとできたら面白いなと思っています。
8、noteで実現したいこと
qbc:おすすめの本屋さんとかありますか?
野葛間:神保町の小宮山書店ですね。
確か4階建てだったと思うんですけれども、アート系の本が結構あって、寺山修司とか横尾忠則さんのポスターを売ってたりとか。アンディウォーホルのシルクスクリーンとかもあたり。
すごい好きですね。ロック系の本とかもあったりして。
好きな書店は神保町に多かったんですが、潰れちゃったところとか、コロナの影響でまたさらに厳しくなっているみたいですね。
私、あんまりお金として成立しないものが好きなんですよね。駄目だと思います。甘ちゃんだと思います。
qbc:そろそろインタビュー終盤なんですが、読むこと書くことに関心があったところから、徐々にその向こう側にいる人たち、作者や読者へも興味が湧いていったという印象を受けました。本に関わる職業を通じてですね。
野葛間:自分がやりたいのが、ストーリーのある文章を書きたい、それからnoteで繋がっていった方々と交流していきたいです。
往年の文学とかアートとかロックとか好きで、それから紙媒体がすごく好きなので、そういうことをnoteで発信していきたいです。
noteは真摯に向き合ってくれる優しい方が多いので、すごくいいなと思ってますね。
qbc:あ、ストーリーのある文章というのは、小説を指します? 商業的じゃないって意味なんですかね?
野葛間:商業的でもいいんですけど、こういう商品がありますとかこういう人がいますとか、ただ事実を書くだけじゃなくて、その人の背景にあることを書いていきたいなと思っています。
こういう背景があって、だからこうなってるんですとか。ただの情報だけじゃなくて、その背景を深く書いていきたいなと思っています。
短文ではなく、掘り下げて書いていきたいなと思っていて。
qbc:なるほど、物語ですね。
野葛間:noteに書くネタがないって言う人が散見したんですけれども、私は書きたいことがめっちゃあって、逆に情熱が溢れすぎて書けないことも多いんですよね。
本当に好きなものについては、まだ書けていないんですよね。冷静に文章が書けないでいるんです。ちょっとずつ書けるといいかなって思ってますね。
でも、アングラだったりエログロなものは好まれないのかなあ、とも思ったり・・・。
▷アウトロ
筒井康隆が自分の小説内で「俺の中学生ファンで『時をかける少女』が好きですというやつにはロクなやつがいないが、それ以外の作品をあげるやつは見込みがある」といった話がでてくるのだけど、それを踏まえつつ、図書館員時代にさらっと『魚籃観音記』を面出ししてしまう野葛間さんは、かなりのロッカーだなと思いました。ハードコアですね。
2か月前のことですが、書き起こす内に、ああそうだこういう、声はかわいいんだけど強烈なことを言い放つ人だったなと思いだしていった次第です。
図書館の指定管理者制度については、実際に働いていた方の声が聞けて良かったと思います。読書については、ほんと、読書は読んでからが始まりだし、本を読む、文体と争うこと自体が大切なのだからねと思う。別に読書要約サイトが悪いって言うのではなくて、読書要約サイトでの情報摂取と読書は、まったく別のことだから。
最後に、私の書いた「贋僕、贋冒険小説を書く」が面白いって言ってもらえてすごくうれしかったです! ありがとうございます!
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