就職と人インタビュー 花梨-003 2023/09/18
連続インタビュー。今回は就職前の新卒の人。前回。
病
——前回インタビューからどうでしたか。
前回ちょうどコロナにかかっていたと思うのですが。どうやってモチベーションを上げようかと、すごく考えていましたね。
食事がとれなくて、睡眠もとれなくて、ずっと咳が止まらないみたいな。
自然とやる気や気力がなくなってしまって。
それが1週間ぐらい続きました。
今は割と安定しています。普通に食べたいものを食べて、したいことをして、しなきゃいけないことして、みたいな感じでやっています。
一言で言ったら、回復に努めた2週間ですね。
——精神状態はどうですか。
食事がとれないのと、体が痛いのが、肉体的にはきつくて。
精神的には、何もできない状態の自分が、悔しいと思っていました。
病気にかかってるんだから、悔しいも何もないなとは思うんですけど。
何も動けないし、何も食べれないので、人間らしい生活ができなくて。そこに葛藤していました。
——その悔しさは、過去に体験したことのある悔しさでしたか。
例えば、受験期に1日無駄にしたとしても、罪悪感は抱かなかったですよね。怠けたい気持ちがあって、もう時間は取り戻せないから、しょうがない。
コロナにかかった最初の1週間は、いや何かできるでしょって思ってしまって。
初めて味わった種類の悔しさかもしれないですね。
これまで病気になった時は、休めるなら休みなって思っていたんですけど。
でも今回は、それが言い訳に感じてしまう時がありました。
——なんでですかね。
変に厳しく自分のことを見ていたんだと思います。
自分のモチベーションを高く保つとか、目標達成のために計画的に動くとか、結局自分の意識次第じゃんって前回のインタビューの後に思って。
自分の行動を自分で統率できなくて、謎に悔しさを覚えてました。
——不安はありませんでしたか。
ありましたありました。
咳が止まらなくって、このまま寝たら私はそのまま死ぬかもしれないみたいな。大げさなんですけど。
一睡もできなかった日もありました。かかって5日目ぐらいの時で、例の悔しさもより強くなっていた気がします。
——眠らずに何をしていたんですか。
本読んだり、ラジオを聞いたり、考え事をしたり。
何を考えていたかは、全く覚えていないですね。
本を読むと、その人の考えが入ってくるじゃないですか。コロナで悪い方向に引っ張られていく思考を消すために、外部のものを必死に自分の中に取り込もうとしていました。
この本を読み、
このラジオを聞いていたそうです。
——夜明けまで起きていて、それで、いつ眠ったんですか。
両親が仕事に行ったのを見送った後だったので、8時ぐらいですね。
——あ、実家だったんですね。
まだ実家に住んでます。ずっと実家暮らしです。
両親の存在は大きかったですね。これで一人暮らしだったら、どん底に落ちていたと思います。
大丈夫って言ってくれる家族とか、心配してくれる友達がいたから、なおさら悔しかったのだと思います。
不安
——その他には、何かありましたか。
よく言えば落ち着いているんですけど、悪く言えば新しい刺激みたいなのが、あんまりないなとは思いつつ。
でも10月からって刺激だらけなんじゃないかなとか思いつつ。
だからこの後2週間どうしようみたいなのは、すごく考えてますね。
ゆっくりのんびりする生活にするか、それともやりたいことやるか。
——就職先のそばへの引っ越しはいつですか。
本当にギリギリなんですよ。
引っ越して数日して仕事始まる感じですね。
そういえば引っ越し関係の手続きとか、コロナで1週間ぐらい何もできてなかったんで、それもやってましたね。書類取りに行くとか、電話して手配してもらうとか。
——就職への気持ちは、今どういう状態ですか?
時期によって感情を変わるんですけど。
感情としては、多分不安と、待つ楽しみとか、いろんな感情がごちゃまぜになっています。
頭的には、やってみないとわかんないよねってわかってるんですが、心では迷いや期待を、いろいろ抱えてるみたいな。
——就職するのは不安ですか。
何が不安なのかっていうのを、考えてみたときがあったんですけど。
思うように生活を自分でコントロールできなくなるのが、一番不安ですね。
例えば、仕事でこれができないあれができないとなって、私生活に支障をきたすのが、一番嫌なんですね。
それは、仕事でも同じで。自分が描いたものを実現できなかったら、一番落ち込むと思うので。
自分の理想とするものに対して、自分のペースが追いつかない時に、不安を覚えるんだと思います。
——花梨さんって、どんな性格なんですか。
いやあ、どんな性格なんですかね。
二面性があると、よく言われます。
穏やかそうに見えて頑固って言われたり。自分はこうしたいっていうのが実はあるよねって言われたり。
見た目的に、初対面では穏やかだねって絶対言われるんですが。仲良くなると、ギャップあるよねって言われますね。
頑固と言われるのは、相談をしないことも一つの要因だと思います。自分で結論出して、それを誰かに事後報告することが多いので。
例えば、インターン行ってくるわとか、一人旅してくるわとか。自己完結と事後報告は癖になってますね。
でも。この間、とある企画で、人に意見を求めたときがあって。たくさん意見をもらえたんですよね。
上から目線かもしれないですが。頼ったら、こんなに人って自分のために動いてくれるんだと、率直に思いました。まあ、時と場合によって使い分けられるといいですよね。
終わりに
先に言っておくと、彼女の次回のインタビューは、就職後にしました。
直前にやったほうがいいのか、後のほうがいいのか、わからない。
けど、
・インタビューしないでおいたほうが言いたいことたまってそう
・いや、前日、当日仕事前、仕事後、就職一週間後とかのほうがいいかな。
ううむ。もはやストーカーだな。
いずれにしろ、今回のように前回からあまり変化のない状態であっても、話を聞いていると避けがたいほどにその人である、という証拠が見つかったりする。
どうもこの人は理想に燃えているように見えるのだけれども、その理想自体が何かはまだ分かっていない、というようなもどかしさ。病気で寝こんでいても、その煩悶に苦しむというのは難儀だなあと思った。
制作:qbc(無名人インタビュー主催・作家)