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無名人インタビュー:ただ話を聞く人

「ただ話を聞く」というサービスをwebではじめた、たださん! けっこう私のやっているこの無名人インタビューと似通っているんで、どんなインタビューになるんだろー、と思いながら話をしていくと、思ってもみなかったようなお話に。
お話を聞くという受動的な内容をやっているわりに、ご本人はけっこうアクティブ、能動的。このバランスが一人の人間に備わっているところにちょっとおどろきです。
あとねー大学生の方だったんですが、けっこう計画がしっかりしていて、なんちうか、最近のwebに生息する10-20代アカウントはおもしろいなーって思ってますわ。確実にあなたたちは日本を変える世代だ!(日本にいないかもしれんが)
ということでたださん回、おっ楽しみにねー!!

今回ご参加いただいたのは ただ話を聞く さんです!
Twitter

1、ただ話を聞く人

qbc:今、何をやられている方なのでしょうか?

ただ:「ただ話を聞く人」って名前の通り、Twitterで話を聞いて欲しい人を募集して、話を聞いています。
基本的にはLINEかTwitterのDMで申しこんでいただいて、チャットのDM上で話したりするか、電話で話すかを決めてもらってます。その人に合ったお好きなツールでお話を聞くって、それだけのことをしています。

qbc:その活動をされていて、どんな感じですか?

ただ:この無名人インタビューもそうだと思うんですけど、本当にいろんな人が来るんで、僕はめっちゃ楽しいです。自分に合ってるものが見つかったなっていう感じがしています。

qbc:時間はどれぐらいかけてますか?

ただ:だいたい1時間で終わりますね。本当に深刻な悩みだったりすると1時間半とか。あとは自分の都合に合わせてって感じです。

qbc:初対面の人が多いと思うんですけど、継続される人とかいます? もう一回やりたいとか。

ただ:リピーターは、だいたい20%超えてるぐらいです。(現在は50%超えです。)

qbc:幅は? 年齢とか悩みの種類とか。

ただ:年齢のほうは、10代から40代。悩みで多いのは、一番多いのは恋愛相談で、二番目に多いのは人生相談ですね。

qbc:恋愛相談、多いの?

ただ:そう、女性が9割以上なんで。

qbc:えっ女性が9割? どういう恋愛なんですか? 友達に相談しないんだ。

ただ:言えない恋愛相談が多いんですよ。

qbc:不倫とかっていうこと?

ただ:不倫もそうですし、浮気をしてしまった人とか。浮気をされてるんだけど確証が持てなくて、とりあえず誰かに聞いてほしいとか。
あとはまあ、若ければ若いほど、友達グループの中の一人を好きになってしまうと、そのグループの友達には言いづらくなりますよね。そういう相談が多いですね。

qbc:なるほど。人生相談のほうは?

ただ:人生相談は、公表してるんですけど僕もうつ病持ちで、精神疾患抱えてて、本当に辛い方とかが、なんで生きているんだろうとか、そんな悩み相談をしますね。
あとは進路。大学生だったら自分のしたいことがよくわからなくなった、って内容で話をすることが多いですね。

qbc:なるほどね。終わったあとはどんな感じって言われてますか?

ただ:悩みが解決しきらなくても、スッキリするっていう方が多いです。

qbc:ちなみに最初の人ってどんな相談だったんですか?

ただ:最初の人は進路でした。高校生で。他のアカウントでつながってた方で、僕がこういう活動したら面白いかなって言ったら反応してくれた子で、それで応募してくれました。
本当の意味でこのアカウントを最初に見つけてくれた人は、別です。女子大生で、学校にも馴染めず、家族はもともと家庭崩壊気味で、生きるのがしんどいみたいな方で。その人からは何回か話を聞いたんですが、ただ話を聞いていただけなのに、めっちゃ元気になって、今元気に過ごしていらっしゃるみたいです。
話を聞いて会話をするだけで、そんなに人生が変わるもんなんだなと思って、びっくりしました。

qbc:元気になるって、どんなふうに?

ただ:本当に沈みすぎてて、その子は。明日にでも死ぬみたいな感じだったんですけど。
大学生活どういうことしたい? みたいな雑談をたくさんしているうちに、あ、まだやりたいこと、いっぱいあるんだっていうことに気づいたんですよね。
そのやりたいことを1個ずつやるようになって、それから友達とこういうふうにやったら良いかもね、みたいな話をしてたら、ちょっとずつ行動するようになって。
うまくいったりいかなかったりするけど、楽しく生きられるようになっていきましたね。

qbc:その子からはその後の報告とかあるんですか?

ただ:その子からは定期的にDMで報告していただいてたり、また話聞いてもらえますかって言ってもらえてます。

qbc:たださん自身は、どんな気持ちなんですか?

ただ:話してから2週間後ぐらいにだいたい良い報告を聞くんで。あ、やって良かったな、って思いますね。

qbc:それは今まで経験したことのあるような感情でした?
ポジティブな感情だったというふうには思うんですけど。ゲーム買ってうれしいとか、美味しいもの食べてうれしいとか、どういう感情ですか?

ただ:本当に顔も名前も知らない相手なんで、この人の人生の一部分でも関われたって思うと、なんですかね。
僕もネットでいろんな人と話をすることで支えられて生きてるので、自分も支える側になったんだなって思うと、今まで味わったことのないような感情になれますね。
お互い名前も顔も知らないっていうのが、大きいと思います。すごい特殊な出会いじゃないですか。それだからこそできることをしたいなって、僕は思ってて。一回でも、何回でもできるし、はけ口としては一番いいのかなって思ってて。
ふたりきりで、この人にとりあえず吐いて、もう二度と関わらなくても済むやっていう関係でいられるのは、すごい大事にしたいなって思ってます。ネットだからできることかな。

qbc:なるほど。「もう二度と関わらなくても済む」って感じか。
たださんのほうから質問って、あんまりしないんですか?

ただ:しないですね。個人情報はなるべく聞かないようにしてるんで。言ってくれたり、Twitterで書いてあることは見ますけど。

qbc:じゃあ、年齢も職業もわからない人っていた?

ただ:いました。性別もわかんない人もいますから。

qbc:え、ボイチェン?

ただ:いや、DMで話す場合は、わからないんですよ。アカウントを見ただけでは、もう男性か女性かわからない。どっちなんだろうって思いながら聞いてたりします。

2、変える

qbc:話した人が80人を超えた(インタビュー実施した2020/12時点)っていうことですが、ご自身の中で聞くこととは何か? といった定義ができたりしましたか?

ただ:そうですね。ちょっとずつ体系化できてるように思います。
聞くことに関しては、本当にいろんな種類があって。大学の講義でただ耳を貸してればいいみたいなのもあれば、一緒に雑談するみたいなやつもあるし。自分のやってるただ聞くの場合、こちらがいっぱいしゃべっちゃうと相手は嫌がっちゃうんで、その塩梅のためにすごい勉強をしたりしますね。
たとえば頷き方をいろいろ作る、みたいな。「はい」とか「うん」とかでもトーンだけで4つとか5つとかできるじゃないですか。それの使い分けを意識してみたり。

qbc:頷きはいろんなのありますねー。

ただ:あとは、全体の流れとして、最後にどうしたいかっていうのがちゃんと決まらないと、終わりがないじゃないですか。
それを、聞いてほしいだけの人はとにかくしゃべってもらってスッキリしてもらうとか。悩みを解決してほしい人に関しては、僕から悩みの解決策を提示するんじゃなくて、話したことによって、自分で何かを見つけてほしいな、見つけられるように誘導しようって感じですかね。

qbc:勉強は、どんな勉強をしてるんですか?

ただ:カウンセラーが書いてる本とかですね。あとは普通に心理学のテクニック的なものとか。大学でも心理学の授業取ってたりするんで。それで勉強したりっていう感じです。

qbc:大学生って、他にもいろんなものに興味を持つと思うのですが、今この「ただ聞く」ことに興味を持ったきっかけは?

ただ:もともと、何かをして自己実現するのが好きなんですよ。大学一年生のときも、いろいろ取り組んだんですけど、そのときに試してみたものは、全部向いてなくて辞めてますね。
学生団体を立ち上げてみたり、めっちゃプログラミングの勉強してみたり、動画編集で投稿してみたり。でも向いてないなあと思って今は辞めてます。
で、またなんかはじめるかっていうときに、「ただ話を聞く」をはじめたんですけど、もともとはじめたのが7月で、コロナで緊急事態宣言があったじゃないですか。そのまっただなかで、こういう時に話を聞く人がいたら面白いんじゃないかなって思ったんですよ。
それでネットで調べても、やってる人がほとんどいなくて。ここは誰もやってないから、自分のフィールドが作れるぞ、と思ってはじめましたね。

qbc:なるほどねえ。たださんと話していて、不思議な感じがしてたんですよ。やってる活動内容としては穏やかな感じなんだけれども、コンセプトとかはやたらときれいにまとまってる。そこがはちぐはぐなイメージだったんですよね。
やりたいことを計画的にやってらっしゃると。
いろんなことをやろうというのは、子どものころから?

ただ:高校入ってからだと思います。何かを変えたりするのがすごく好きで、中学のときも、部の決まりを変えるのがメチャクチャ好きで。昔からの理不尽なルールが残ってるんですよ。なんで、変えちまえって変えたり。

qbc:何部だったんですか?

ただ:中学は剣道部でした。坊主頭強制だったんですけど、坊主なんてしたって強くならねえじゃんって、めっちゃ先生に言って喧嘩してました。
そういう経験を経て、高校へ入ってから軽音部入って。軽音部が全然、係とかもないし、ライブもほとんどしないみたいな部活だったんですよ。1個上の先輩から改革をはじめて、僕たちの代では、他の学校と合同ライブしようとか、合宿行ってみようとか、ライブハウスに出てみようとか。そういう企画をたくさんする中で、こういう性格になっていましたね。
自分で何かを作りたいとか、今までにないものをはじめてみたいっていう思いが強くなったのとかも、そういう経験からかな。

qbc:なるほどなるほど。私、インタビュー前の印象で、たださんってもっと大人しい方なのかなって思ってたんですよ。
でも自分のやりたいことに対してすごい積極的。で、それは中高ぐらいからの経験がもとになっている。
今後、このサービスをどういうふうにしていきたいですか?

ただ:目標としては、とりあえず100人。100人やったら、このサービスをやったなって言えると思うんで。
形になるかどうかは別として、「話を聞くとはどういうことか」テーマで講演会をしたり、何か小さな本でも書けたらいいなっていうことは思ってます。

qbc:私も100人超えたら本を書こうと思ってますね。

ただ:なんか違うじゃないですか。ゼロのときと。

qbc:全然違うね。びっくりする。今後、この活動を続けることでたださん自身や社会がどう変わっていくかのイメージはありますか?

ただ:自分自身でいうと、就職するまでに自分で何かを作って、何かをやり遂げたっていう経験ができるので、自信になりそうです。将来、何か起業するときでも、こういう経験があるなら自分はできるかもってなりそうだし。
社会的にはどうなんですかね、僕、今知名度があまりにも低いんで。Twitterのフォロワーが千人、二千人だったら、社会的に何かあるかもしれないんですけど、まだ全然見えてこない世界なんで。
今は、地道に一人一人話を聞いてってことしか考えてないですね。

qbc:あ、ふつうに就職を考えているんですね。これで食べていく、とかではなくて。

ただ:就活のときにこういったことをしてましたって言えることがほしくて。

qbc:なるほど。希望の就職先は?

ただ:IT系を目指してます。最近はWEBデザインの勉強をしてます。UIとかUXの関係のゼミに入ってるんで、そういうことも考えてたり。まだ決まってはいないですけど、とりあえずいろんな勉強をしておこうかなっていう思いがありますね。

3、受動と能動

qbc:鬱になった原因って、なんだったんでしょう?

ただ:中学の剣道部のときに、鬱になった原因がありますね。学校の友達にも馴染めなくて、もうボコボコにいじめられてるような、先生からもめっちゃ呼び出しとか説教されて、反抗期もあって家も嫌でみたいな状態になったんです。
誰も助けてくれる人がいないし、誰も話せる人がいないっていう状態を続けた結果、おかしくなっちゃって。それをやり続けた結果、大学に入って今年の1月から3月ぐらいまで動けなくなって、それで病院へ行って治療するようになったんです。それでやっと元気になったのが6月ぐらいで。じゃあ、またなんかゆっくりやれるものを探そうっていうときに、この活動を思いついて、たまたま合っていたっていう。

qbc:未来については? 5年10年というスパンで考えると、将来この「ただ話を聞く」サービスをどうしていこうと考えていますか?

ただ:僕、このサービスは大学卒業とともに閉じるって決めてるんです。

qbc:あ、なるほど。誰かにゆずったりは?

ただ:社会的に必要とか、それだけの何かを抱えるようになったら、複数人体制でやることも考えてますけど。基本的には一人でやって、一人で閉じるってことを考えてます。
働きながらこれをやるのは絶対無理だと感じてます。あと、今高校生とか大学生の依頼が多いんですけど、たぶん社会人の男性が聞くってなると、依頼側のハードルがちょっと高くなると思っていて。
高校生が社会人の男性と話すって、話しにくいと思うんです。大学生ってことで話してもらってるってとこもあると思ってます。

qbc:終わる出口まで考えてるんだ、すごいですね。起業の勉強とかをされてるんですか?

ただ:去年は勉強してました。登記の仕方とか、法人税について。フリーランス志向が強くて、一回社会に出て、そのあと自分でやりたいことをやりたいって考えています。

qbc:なるほどお。

ただ:聞くことが得意な人って、そもそもあんまりいないと思うんですよ。
僕が通ってた高校は女子が多い学校で、テスト期間とかって雑談しながら勉強するじゃないですか、そこで女子が僕にすごい愚痴を聞いてほしいみたいな感じがあって。僕は聞く係にはなってたんで、人の話を聞くのは得意だなと思って。
聞いてるだけって、ストレスを感じやすいらしいんですよ。やっぱり自分のことを話したいっていうのがあるらしいんですけど、僕、聞くって決めたら、あんまりそういうのを思わないタイプなんで。そこが人とは違って役に立ってるのかなあって思ってます。

qbc:社会ってうまくできてるよね。話したい人と話を聞きたい人がいるんだもんね。
たださんの中に、すごいギャップを感じてるんですよ。話を聞きたいっていう受動と、社会で何かを変えたいっていう能動。受動と能動が混ざってる。
このアンバランスってなんなんだろうと思って。

ただ:なんだろう。この活動を通して何かを変えたいっていう欲は強いですね。この活動を通して自分を変えたり、この活動を通して何かを達成したりっていうふうな。
でも、相手や社会をメチャクチャ幸せにしたいとかはあんまりないですね。

qbc:あー。つまり、話を聞くだけで勝手に相手が元気になって、世の中が変わると、面白いね。勝手に相手が元気になってくれると。

ただ:僕もびっくりしましたもん。こっちは話を聞いてるだけなのに、ほんと。

qbc:いいよねほんと。

ただ:でも、話を聞きますよっていうのは、すごい怪しいって思われがちなんですよね、悲しいことに。良いイメージになればいいですけどね、いつか。

qbc:まあねー、こういう機会を悪用する人もいるからね。この人は安全ですよみたいな認証制にするしかないのかもね。とはいえ、人間なんてつねに安全てわけじゃないから。
最後に、言い残したことがあればおうかがいします。

ただ:noteを見てくれた方が、参加してくれたらうれしいですね。

あとがき

いかがでしたでしょーたださん回。ほんと勢いのある学生、計画のある若い人ってすごいよなって思いますわ。けっきょく、若いときにチャレンジしたことが受け皿になって、このあとの経験が倍々ゲームで増えていくって成長モデルなんですよね。わっかりますかね?
小さいころから雪だるまをころがしていれば、どんどんどんどん大きくなっていくって寸法ですわ。
で、彼には実はこのお話サービスを提供しているって顔と、もう一つの顔があって、そちらのアカウントがこちら。ブランディング、自分をどう覚えさせていくかということに対して丁寧なのがこの世代でもあるんだな、と思った次第。

まああ、おもろいわ。

編集協力:有島緋ナさん 白原すみさん

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