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約束

A子「K君と私ってすごい仲良いよね〜」

K「あー確かに仲良いよな。」

A子「何よ、その素っ気ない返事。」

K「わりぃ、わりぃ。」

A子「まぁ、いいわ。ねーK君。このまま仲良しのままでさ、結婚できたらいいね。」

K「急に何言い出すんだよ。そうだな。それまでに俺たちの仲がまだ続いていたら考えてやらんでもないな。」

A子「たくもう、K君ったら上から目線ね。それはいいとして、約束だよ、K君。」

K「それまでA子が言ってること覚えてるか、分からないな〜」

A子「なら指切りげんまんしよ。そうしたら忘れないさ。」

K「A子がそこまでいうんだったらするか。」

K、A子「指切りげんまん、嘘付いたら針千本飲ます♪指切った。」

A子「これで約束も忘れないね。」

K「お、うん。」

これは小学生の頃、A子と交わした約束だった。まさかこの約束が後に、悲劇をもたらすとは誰も予想しなかった。

あれからA子と俺は別々の中学へ通うことになり、殆ど会うこともなかった。そしてA子が中学2年の時、学校へ向かう途中交通事故に巻き込まれ、14歳という若さでこの世を去った。

俺がそのことを知ったのは成人式後の小学校の同窓会だった。同級生の1人が当時の出来事を生々しく語り、俺はA子と小学生の頃に交わした約束を思い出した。

俺はもうとっくに彼女はいるし、A子との約束が気味悪くて仕方がない。なんだか少し彼女に対して申し訳ない気持ちが出てきた。

同窓会は終わり、俺は2次会に参加することもなく、1人まっすぐ自宅へ帰ろうとした。A子のことが気になって頭から離れない。

すると目の前にA子らしき人物が信号機の前に立っているではないか。

A子「K君の嘘つき。嘘つきいいいい!!!」

驚いた俺は迫り来るトラックに気がつかずにそのまま轢かれて、即死した。

トラックの運転手によると、赤信号にも関わらず、静止したように突っ立っていた男性1人しかその現場にはいなかったそうだ。

担当:とろろ魔人

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