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大学授業一歩前(第92講)

はじめに

今回は生物統計学などを研究してらっしゃる三中信宏先生に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非ご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。

A:京都の府立高校を卒業後,東京大学農学部から大学院へ進学・修了.数年間の紆余曲折ののち農林水産省の研究機関に入り,30年余り勤務して退職.現在にいたる.生物統計学・進化生物学・生物学哲学に関心があります. 

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方はどのようなものだとお考えになるでしょうか。

A:大学時代がもっとも時間が自由になる時代なので(その後の長い人生を考えたとき),一見ムダに思えること(勉強・活動・趣味)でもあえてあれこれ手を出しておくと,自分にとっての “人生の引き出し” が増えるでしょう.たくさんの “引き出し” は身を助く.

必須の能力

Q:大学生に必須の能力はどのようなものでしょうか。

A:何の制約もない無限の好奇心です.損得や打算と関係なく,自分の好きなことを追いかけて突き詰める集中力は内なる好奇心が生み出してくれます.

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学ぶ意義を教えて下さい。

A:私はきわめて “利己的” な人間なので,学ぶことは自分が生きる上での “糧” を得ることと同義でした.誰のためでもなく,ただ自分のために学んできただけで,何かの役に立とうという意識はゼロでした.何十年かそのように学び続けてきたのはまちがっていなかったと私は思います.

オススメの一冊

Q:大学生にオススメの一冊を教えて下さい。

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A:拙著『読む・打つ・書く』 http://leeswijzer.org/files/ReadingReviewingWriting.html でも繰り返し引用しましたが,ピエール・バイヤール[大浦康介訳]『読んでいない本について堂々と語る方法』(2016年,ちくま学芸文庫)はいかがでしょうか.細切れではない体系化された知識を得るという大義を本書は力強く読者に提示しています.

メッセージ

Q:大学生へのメッセージを最後にお願いします。

A:はてしない好奇心とともに,根拠のない自信と楽観主義が生きていく上ではとてもたいせつです.独りで生きていくための知的体力は付け焼き刃では身につきません.時間をかけて広く深く学び続けることを忘れないようにしてください.歩み続ける “亀” に栄光あれ.

おわりに

今回は今回は生物統計学などを研究してらっしゃる三中信宏先生に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。先生の著書である『読む・打つ・書く 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』もオススメの一冊です。

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本を読んだ後に、何か書評をしてみたいという方や、本を買うという行為そのものについて考えてみたい方にもおすすめです。次回もお楽しみに!

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