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大学授業一歩前(第140講)

はじめに

 今回は英語を教えてらっしゃる渡辺淳志先生に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非、今回もご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:国際基督教大学(ICU)教養学部理学科入学後、専攻は数学だったが教養学部の制度を活かし、4年間で198単位を取得して卒業。在学中より大学受験塾の講師を開始。ICU卒業後、ICU大学院理学研究科修士課程時より予備校講師の仕事を始める。理学研究科修了後、信託銀行に就職。信託銀行退職後、早稲田大学大学院に入学。アジア太平洋研究科と経済学研究科の修士課程を修了。この間に大手予備校講師と早大高等学院で教えた後、経済学研究科の博士課程に進学。単位取得退学後、東大経済学部経営学科に学士入学。その後、教育学研究科に進学し、修士課程終了後、駒場の総合科学研究科の相関社会科学コースに進学。この間私大非常勤講師も務める。
 修士(理学/国際関係学/経済学/教育学)。教員免許(数学・公民)取得。著書『大学入試自由英作文がスラスラ書ける本』(かんき出版)『教養で読み解く英語長文』(学研)
 現在は予備校講師を休職し、四国でセミリタイア中。2022年より西大和学園特任講師。

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:とにかく本を読む。図書館を最大限活用する。私が塾講師や予備校講師の仕事をアルバイトとして選んだのは本代と学費を稼ぐためだった。あとは語学と哲学をきちんとやる。これは、社会人になってからではお金も時間もかかるので大学在学中にすることがおすすめ。
 次に、映画をたくさん見る。いまはサブスクサービスもあるのでどんどん見ましょう。さらに、休暇中にいろいろなところに旅行に行くこと。私はダイビングサークルに属していて外国も国内もいろいろなところに行った。自分の思い込みや価値観を相対化するのに役立っていると思う。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力を教えてください。

A:「必須の能力」というものでもないでしょうが、全知全能感に浸ったり、「そんなことを知っていても仕方がない」とか「どうせ・・・」とか「せいぜい・・・」というようなニヒリズムに陥ったりしないことが重要だと思います。知的好奇心のようなものが錆びつかないように刺激を求めにいくことが大学生には、いや大学卒業後も大切なのではないでしょうか。「結局・・・」とか「無意味」という思考に陥らないことです。

学ぶことの意義

Q:ご自身にとっての学ぶことの意義を教えてください。

A:学ぶことで、学問のある分野を通底している考え方(disciplineと言います)を体得することが重要かと思います。受験勉強や資格試験の勉強とは異なり、大学での学びは答えがすぐわかることもないし、そもそも答え自体があるかどうかもわからないわけです。このような学びは、日本の教育制度の場合、大学に行って真剣に学ばないと得られないのではないでしょうか。その過程で得られた思考力こそが財産だと思います。

オススメの一冊

Q:オススメの1冊を教えてください。

A:伊藤整の『火の鳥』です。これは人間の内面を具に描写した傑作だと思います。人間の弱さや狡さ、そして複雑さをここまで描く筆力はさすがだと感心しました。大学時代は人間関係で悩むことも多いかもしれません。ぜひとも、この作品を読んでその心理描写に触れてください。
 最近は入手しにくくなっているかもしれませんが、図書館には所蔵されていると思います。ちなみに伊藤整の作品が好きで、私は小樽の伊藤整文学館を訪れました。

メッセージ

最後に学生へのメッセージをお願いします。

A:専門と教養、バイトと学業、さまざまな人間関係。高校時代までと異なり、大学生は自由であるがゆえに選択を迫られる場面も多いと思いますが、「あれかこれか」という二者択一ではなく、「あれもこれも」という可能性をなるべく探ってみてください。
 コロナの影響でオンラインの授業とかも多いと思いますが、与えられた時間を活かしてさまざまな経験を積むといいと思います。

おわりに

 今回は英語を教えてらっしゃる渡辺淳志先生に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。

受験勉強や資格試験の勉強とは異なり、大学での学びは答えがすぐわかることもないし、そもそも答え自体があるかどうかもわからないわけです。このような学びは、日本の教育制度の場合、大学に行って真剣に学ばないと得られないのではないでしょうか。

 答えがあるかどうかも分からない問題に対してじっくりと時間をかけて考え抜く、その知的体力こそが大学で得られる能力ではないでしょうか。この力はすぐに役に立つかは分からないですが、絶対に大切な財産になるはずでず。次回もお楽しみに!!


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