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大学授業一歩前(第159講)

はじめに

 今回は世界史を教えてらっしゃる「みんなの世界史」様に記事を寄稿して頂きました。是非、今回もご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教え下さい。

A:はじめまして。公立高校で教員をしています。そのかたわら、2018年からnoteで「みんなの世界史」を運営しています。

関心と研究テーマ

Q:現在、研究している内容とご自身の関心を教えて下さい。

A:まずなんといっても日常的に授業をどうつくるかということ、これが研究ですよね。昨年度は世界史Aと世界史Bと日本史B、今年度は世界史Bと世界史探究と歴史総合を担当しました。ややこしいですね。今はカリキュラムの転換期。新しい科目をどうやって実践すれば良いかということを悩みながらやっています。
 なかでも今は、日本でどのように「世界史」が受容され、再定義されてきたのか(ニッポンの世界史と読んでいます)ということに関心があります。
 昔から、ひとつのモノが、見る人によってまったく違う姿を映し出すような現象に興味があります。自分の扱っている科目の正体がよくわからないっていうのも、単純に気持ちが悪いですからね。
 それとは別にもう一つ、ここ数年はSDGsとは一体何だったのかと言うことも併せて考えています。「日本的SDGs」ともいうべき問題含みな状況を、世界史の文脈の中において考えるとどうなるか、ということです。いまに形にしようと思います。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

A:このページは「大学の授業の「一歩前」になる場」がコンセプトということですよね。
 さまざまな専門分野に進まれる方がいらっしゃるでしょうから、幅を広くとって、世界への関心とかアクションにつながるような一冊、となると、コレです。

高野秀行(2009)『西南シルクロードは密林に消える』講談社。

高野秀行(2003; 2009)『西南シルクロードは密林に消える』(講談社; 講談社文庫)です。

中国四川省の成都を出発し、ビルマ北部を通って、最後にはインドへ――幻の西南シルクロードに挑む著者の前には、圧倒的なジャングルと反政府少数民族ゲリラの支配する世界屈指の秘境がたちふさがっていた。混迷と困難を極める旅なのに、これほど笑えるのはなぜか。究極のエンタメ・ノンフィクションついに登場。
悲惨で絶体絶命で、しかも滑稽な旅がある!
中国四川省の成都を出発し、ビルマ北部を通って、最後にはインドへ――幻の西南シルクロードに挑む著者の前には、圧倒的なジャングルと反政府少数民族ゲリラの支配する世界屈指の秘境がたちふさがっていた。混迷と困難を極める旅なのに、これほど笑えるのはなぜか。究極のエンタメ・ノンフィクションついに登場。

 およそ研究に必要なものは、後から考えてみれば「必然」としか思えないような出逢いを、「偶然」に仕立てることのできる力だったりするのではないでしょうか。この作品からは、行動力や面白そうなモノへの嗅覚のみならず、高野さんの驚異的な調査能力も伝わると思います(「調べる力」って、めちゃくちゃ大切で、深いです)。
 そういう姿勢や力が一体どこから湧いて出てくるのか、感じながら読まれると、おもしろいと思います。
 それにわたし自身、およそ褒められたものではない人間です。そんなろくでもなさを認めながら、前に進んでいく勇気ももらっています。
 

ご自身の読書術

Q:ご自身が実践されている読書術を教えてください。

A:要約することです。
 この本にはこういうことが書いてある。こういう点が気になった。自分が気になったところがどこなのか、貼り付ける位置にルールを決めて付箋をしておきます。
 そうすると後で必要になったときに、すぐに引き出して、過去の自分の思考に接続できる。間違っていたなと思えば、上書きすればいい。小説だったら人物相関図を書いておく、とか。そういう積み重ねがのちのち効いてきます。
 ここに以前に書かれたことのある小池陽慈先生も、要約を重んじられていますね。ふだんから、「ようするにこれはこういうことを言っている(のかもしれないな)」とまとめる癖をつけておくと、よいとおもいます。

メッセージ

Q:最後このnoteを読まれている方へのメッセージをお願いします。

A:おそらく私がふだん接している生徒と、あまり年齢層の変わらないであろう皆さんに向けて書きます。
 つい最近まで机を並べていた高校と、進学される(された)大学とでは、いろんなことが違いますよね。これから入学される方も、期待や不安があろうかと思います。
 自分を変えるような出逢いは、偶然の中に眠っています。そんな良い出逢いを生むには、ときに「背伸び」も必要です。偶然をとらえながら、気持ちの良い学びを続けていってくださいね。
 最後に、逆に運営者さんに質問です。世界史はお好きですか?

おわりに

 今回は世界史を教えてらっしゃる「みんなの世界史」様に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して下さりありがとうございました。

最後に、逆に運営者さんに質問です。世界史はお好きですか?

 最後に逆質問を頂きました。実は、私自身は西洋政治理論を勉強しているのですが、高校時代は日本史選択でした。確かに、日本史はそれはそれで面白いし、今でもとても役に立っている。ですが、高校時代の世界史の知識があれば、もっと自分の勉強に厚みを持たせることができたよなぁと痛感しております。
 ですので、好きか嫌いかと言われれば、好きになっていれば良かったという感じです。是非、皆様は何でもつまみ食いする姿勢で勉強されることをお勧めします。


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