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「世界で通用する面白さとは?」トークライブ金言集

Unity Japanはnoteさんと初めてのコラボ企画として、オンライントークイベントを8月3日に開催しました。

以前よりnoteさんとはゲームやゲーム制作などをテーマにしたイベントの共催を検討しており、そのアイディアの一つとして「面白さ」というトピックスを今回のイベント企画で取り上げることにしました。


そこで、クリエイターを支援する立場の両社としては、ハイパーカジュアルゲームという分野でGoogle Play全米・日本ランキング1位などの実績を持つエウレカスタジオさんから、代表の馬場さんとエンジニアの野田さんにご出演をお願いし、またUI/UXへの知見も深いnoteさんのCXO・深津さんにもご参加いただくことで、「世界で通用する面白さとは?」というトークセッションを実現しました。


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エウレカスタジオさんの『学校をサボる!』をプレイする深津さんと、それを見守る馬場さんと野田さん


トークセッションは予定時間よりも延長し、70分にも渡るものになりましたが、ここではそのまとめ的な記事をお届けしたいと思います。

先に今回のトークセッションで、お三方が話されていたこと=世界で通用する面白さを一言でまとめるとこうなると思います。



「面白さは主観の部分が大きいものの、それをどう伝えるかによって面白さは多くの人に伝わるようになる」



「これが面白い」「あれはつまらない」や、国ごとの文化などの違いによる受容度合いなどは、やはり人それぞれの部分はあるものの、それをどう伝えるかを洗練化することでクリエイターが思いついた面白さはより万人に伝わるという話です。


そうした話をもう少し具体的に紹介するために、ここではトークセッションでの発言の一部を金言的にまとめて、皆さんにご紹介したいと思います。



そもそも、なぜ「世界」を目指すのか?

面白さをどう伝えるか・・・を語る前に、そもそもエウレカスタジオさんが、もっと言うとハイパーカジュアルゲームを開発する人たちが「なぜ世界市場を目指すのか?」という点があるかもしれません。

世界を見渡すと著名な大規模パブリッシャーや開発スタジオがひしめき合うなど、ゲーム市場=レッドオーシャンのイメージが強い方も多いと思います。

しかし、エウレカスタジオの馬場さんは「なぜ世界市場を目指すのか?」という問いにこのように答えていました。


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「ゲームは『面白いか?』という点で評価されるので、競合をあまり意識しなくて良い」
エウレカスタジオ 代表取締役 馬場 紘弥


これについて馬場さんは例えで、「『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』、どっちが優れている?・・・みたいな比較はナンセンス」と語り、また馬場さんがハイパーカジュアルゲームのビジネスを始める際のエピソードとして「販売チャネルも収益手段もすべてグローバルで展開できるものが外部に用意されているというところにビジネスチャンスを感じた」とも語っていました


ここで重要な点は、最初からお題として「世界を狙う」というものが存在するのではなく、クリエイターが置かれた立ち位置を冷静に分析し、それによって決められた戦略を元にクリエイティブが始まるという点だと思います。


こうした部分を馬場さんは違う言葉でも表現されていました。


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「私たちは『アプリを作って売る会社』であって、『アプリを作る会社』ではない」
エウレカスタジオ 代表取締役 馬場 紘弥

「誰に伝え、手に取ってもらい、体験してもらうか?」を明確にしないと、次に続く「面白さ」について考えられない・・・と言っても良いかもしれませんね。



「失敗」という体験を面白く作り込む

では実際に「面白さ」をどうやって作っていくのか?

たとえばエウレカスタジオさんがリリースしている『学校をサボる!』では、プレイヤーはサボりたい生徒として各ステージに用意されたギミックを駆使し、追いかける先生を上手く巻いて逃げる・・・という内容になっています。

上手く逃げることができればステージクリアですが、当然ユーザーを引っかける罠も多数仕掛けられています。


エウレカスタジオさんは「まずはユーザーに分かりやすく、理解しやすいもの・予測しやすいものを提供する」とした上で、いわゆる「ユーザーが予測できること=気持ちよくプレイできること」「ユーザーが予測できないこと=罠に引っかかること」について話してくれました。

この予測できること・できないことについて、エンジニアの野田さんは次のように語っていました。


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「失敗を面白く作ることが大事だと思う。『失敗をデザインする』というところに『面白さ』が生まれる」
エウレカスタジオ エンジニア 野田 言


野田さんは「(ユーザーは)プレイの失敗を繰り返しクリアを目指すので、ゲームを続けてくれるかは『失敗した時の面白さ』に掛かっている」と説明していました。


実はこの視点、当たり前のように思うかもしれませんが、制作過程の中では意外と見落としがちだったりします。つまり「ユーザーは楽しいと思うはず」と思って実装したものが、全然楽しい体験になっていない・・・みたいなことです。

こういう部分も、エウレカスタジオさんではプロトタイプなどが完成すると、社内スタッフで一斉にテストプレイし評価シートを集めるという手法を採っているそうです。


この集めた評価シートのレビューについても、野田さんは次のように語っていました。


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「いいところも書いてもらうが、気になったところ・気持ち悪かったところは必ず書いてもらうようにしていて、開発はそこを注視している」
エウレカスタジオ エンジニア 野田 言


ここでも「伝え方」を最適化する際に、どこに気をつけているのかが分かる金言だと思いました。


世界中の人へ「面白さ」を伝えるために使える時間は?

このようなエウレカスタジオの馬場さん・野田さんとのトークの中で、深津さんも自身の経験などからいろいろな事を語っていました。

たとえば「世界中の様々な人に何かを伝える」という話の時に、ご自身の英国留学経験を踏まえ、次のように語っていました。


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「留学時代にデザインのプレゼンをする時があったが、説明コストの高いものは基本的にウケない」
note CXO 深津 貴之


「英国の大学には各国の留学生がたくさん集まっているので、学生同士で共有できる文脈(=コンテキスト、文化的背景)が少ない。たとえば日本文化に沿ったものをプレゼンしようとすると『まずは日本文化の説明を・・・』となりを時間が掛かってしまう」と深津さんは話していました。

またそれも踏まえ、「0.5秒ですぐ理解できるような普遍的なデザイン」がヨーロッパなどでは必要があることも、その時の留学体験で感じたそうです。


この短い時間で理解してもらうという点では、エウレカスタジオの馬場さんもハイパーカジュアルゲーム市場を例にとって、「米国アプリゲームマーケットのトップ10タイトルを見ると、新規ユーザーの8割が動画広告からの流入なので、動画広告でいかに面白いと思ってもらうかは大事。自分たちは、最初の2秒でユーザーの心を掴めるかを基準にしている」と紹介していました。




トークセッションのアーカイブ

このような金言が多数飛び出たトークセッションは、こちらにアーカイブがありますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。世界に通用する面白さの具体的な事例やテクニック、考え方などが満載です。


この記事やアーカイブを見た皆さんのクリエイティビティに役立てば良いなぁと思っています。何か気づいたことや感想があれば、ぜひコメントをお寄せください。

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