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感想は「作者の思惑当てゲーム」ではない、と思いたい。 24/07/23 日記

・眠気に2連敗しているので、今日は他のこと書かずに感想を書こうと思う。

・感想を書くのは苦手……というか、二の足を踏むようになってしまった。世の中には背景や設定、元ネタを踏まえた深い考察が多々あり、こちらの浅さを突き付けられるように思えるからだ。間違った解釈をしていないか、皆が当たり前に気付いていることをスルーしていないか。「正解」の感想を書けているか不安になってしまい、間違えるくらいならアウトプットする必要はないと引っ込めてしまう。

・そんな完璧主義に拘っているといつまで経っても尻込みして、自分の中での作品との向き合いができないままかと思うので、ここは物怖じせず書き記してみようと思う。120点の感想で評価を得たいのではなく、作品を楽しみ糧とすることが目的なのだから。


・てなわけで、ここら先はアラジンとモアナと伝説の海のネタバレ注意。













・まずアラジン。ちょっとは観ていたはずなのだが、色合いとかジーニーが怖くて記憶が残っていなかった。

・観て思うのがテンポの早さ。作品評価基準においてテンポの良さはかなり重視しているのだが、それにしたって早かった。こんなにトントン拍子ハイペースでいくのね。ヴィランがちょいとお粗末な気もしたが、そこはまあ御愛嬌か。おまえ、催眠そこまでできるなら実質国乗っ取ってるようなもんだろ。野心が強いな。


・曲もとても良かった。フレンド・ライク・ミーはなんとなく耳に覚えがあったが、改めて良さを感じた。ジーニー登場のここから作品のテンションが一気に切り替わるが、それを感じさせる映像と音楽のインパクトだった。ワハハ〜。山ちゃんは本当にすごいな。


・自分に正直に、というテーマには割とストレートに表現していた印象ではある。アラジン本人が思ったことを素直に言ってくれるので、わかりやすいというか。素直で実直にいたことでジャスミンやジーニーとの関係が良好に結ばれ、王子と嘘を吐いたことで裏目になる。その上で勇気を出して巨悪に立ち向かったことで認められ、王子の立場と愛を手に入れる。このあたりは素直に受け取っていいのかな。


・身分違いのところとか、神様視点の視聴者はともかく、当事者からしたらあの動きになるよなあとは思う。ジャスミンの反応的に明らかな脈アリだし、王子なのかどうか問われたとき「ドブネズミです」宣言しても勝てたのは間違いないが、身分の差がありすぎるかつ恋愛初心なアラジンだし。当時の身分の差の認識は、現代日本人には理解できないんだろうな。というかジャスミンが異常なんだろうな。

・ジャスミンは、いわゆるディズニープリンセスって感じで一周回って新鮮だった。身体能力高かったけど、自立した女性としての描かれ方ではなかったし、よく揶揄されるトロフィー扱いのヒロイン、というのを感じたところはある。とはいえ病気の妹演技や催眠演技だったり、アニメ放送されてたら面白ヒロインとして突っ走っていたに違いない。ジーニーとの友情の深め方もそうなのだが、キャラクターと関係性の描写はもうひと声見たいところがあったかもしれない。


・一番好きなキャラは魔法の絨毯です。こんなキャラばっか好きだな。イタズラっ子で健気なんだなあ。





・次に観たのがモアナと伝説の海。前情報も前評判も入れておらず、特段思うところなくなんとなくで観たのだが、これがもう最高だった。冒頭の神話はじまったところで、「これは……?」となり背筋正して見始め、最終的にディズニー映画ランキング塗り替えられた。


・何が良かったといえば、音楽の良さと映像美に加え、物語への没入感だろうか。

・ミュージカル映画は好きだ。音楽の良さを堪能しつつ、キャラの感情を語らせながらも違和感なく時間経過をさせられるので、時間あたりの物語密度を上げることができる。モアナでいえば、「幼少期〜本編時間軸」で生い立ちとモアナ本人のキャラクターを表現し、「マウイとの信頼関係構築後」を一気に展開することで短時間でふたりへの愛着と今までの苦労が報われるカタルシスを表現してくれる(後者はもっと見たかった……。バディ物って、相棒関係成立直後の順風満帆状態が瞬間で終わるのがもどかしい)。

・そうした密度と、話本筋のシンプルさ・キャラを絞っての掘り下げがマッチし、物語にとても入り込めた。おばあちゃんが強キャラすぎるのは置いておくにしても、母親が出立を手伝ってくれるシーンはかなり心に来た。表情の表現が訴えてくるものがすごかった。


・モアナのキャラクターも、いい意味で現代的だったのではないだろうか。海に憧れる気持ちは持ちつつも、「村は素敵な場所」「村のみんなのため」という想いは本心として持っている。「ここを出ることこそが正義」とは表現されておらず、出立はあくまで村が危機に瀕していたから。村をひとつの生き方として理解し、自らも(多少の妥協はあれど)村長としての道を納得して進んでいく描写は、現代では受け入れやすいキャラクター造形だったと思う。

・モアナの精神性は、幼少期から一貫しているのも良かった。幼少期は亀を助けるのを優先して貝殻を取り損ね、現在においては村長として動くことを優先して海への渇望を捨てる。海がモアナを選んだのはその精神性をこそなのではないか(化け物染みた運動神経で補正入りまくってそうだけど)。自身の心の声である広い海への旅立ちを聞いてなお、世界を救うべくテ・フィティの心を返しに行くわけで。言われたから、選ばれたからではなく、自らの心の声に従ってテ・フィティの心を自分で手に取り返しに行く。曲とおばあちゃんも相まって、ここは非常に良かった。

・あと、ヘイト管理とシリアス・コメディのバランスがうまかったね。ヘイヘイが役にこそ立たないが足は引っ張りすぎず、どっかでファインプレーするのは明白だったが程々に留めていたし、マウイが本心を打ち明けるところはサメでシリアス度を消して展開をズラした。ココナッツとカニのヴィランも愛嬌あって可愛かったし、このへんのバランス感覚は流石。ストレスなく視聴できた。

・最終盤の「ありがとう」「you're welcome」もね、鉄板ですけど痺れましたね。王道ってやっぱりいいものだ。


・いやー、ほんと良かった。すぐに2周目見直しちゃったからな。シンプル王道ながら、丁寧な作りで映像と音楽を堪能できる素晴らしい作品でした。名作をありがとう。you're welcome〜♪



・マジかよ。








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