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vol.6 選択に時間をかけないで

「大学生活をもっと充実させたい!」「やりたいことを見つけたい!」という想いを持ちながらも、なかなか行動に移せない北海道内の大学生に向けた連載企画「Knows」。

編集チームが独断と偏見で選んだ面白大学生の人生をお届けします。今回は第6回目。ゲストは北海道大学教育学部3年の長尾陸さんです。

皆さんは2つの選択肢があった時、なかなか決めることができずに時間をかけてしまった経験はありますか?選択するということは勇気がいることで簡単なものではありません。

しかし、悩んでいるだけでは前に進むことはできないですよね...。長尾さんは、読者の皆様に「選択に時間をかけないでほしい」というメッセージを下さりました。

これまで即断即決の姿勢を貫いてきた長尾さんはいったいどんな選択をし、どんな結果を得てきたのでしょうか?

哲学との出会いによって世の中の見方がわかった

陸高校

ーこんにちは!では早速、長尾さんの自己紹介と今の活動について教えてください。
「北海道大学教育学部3年生の長尾陸です。今やっている活動は、活動の補集合みたいな感じですかね。」

ーちょっと待ってください。どういうことですか?
「少し前までは活発にいろんなことをやっていたんですけど、今は逆に何もやっていないんですよ。(下図を参照)まあ、唯一やっていることとしては友達と漫才を作ってそれを披露する機会を作っています。」

長尾陸補集合

現在は赤の部分ではなく、青の部分にいるとのこと

ー面白い表現をされますね。漫才というのも気になるので後々掘り下げさせてください。それでは、長尾さんの小学校時代から振り返らせてください。長尾さんはどんな小学生でしたか?
「小学校も中学校も生徒会長とか、色々なことはやっていたんですけど、今振り返ってみると当時の僕は何も考えてなかったですね。目立ちたかっただけ。1つ1つの行動に自分の意思が介在していないというか。ただただよだれを垂らして生きていたようなイメージです。」

ーそうなんですね。小中の時で覚えている印象的なエピソードとかは無いんですか?
「本当に、当時の僕は考えて行動していなかったので何も覚えていないんですよね。悲しいことに。この頃の思い出は走馬灯のように流れてしまいます。」

ーわかりました。高校生になってから変化があったんですか?
「高校1年生の現代社会の授業で哲学に出会ったんですね。カントが書いた「純粋理性批判」という本を理解できないながらもなんとか読んだんですが、僕の中でこの出会いは運命的なものでした。これによって世の中の見方がわかった気がしたんです。」

ー具体的にはどういうことですか?
「世の中をどう見て、どう考えて、どう動くべきなのか。こういった生きる上での指針を哲学から得ることができたおかげで世界が彩りに満ちました。「あ、こういう風に考えればいいんだな。」という気付きを得たんですね。」

ーなるほど。今まで無思考だった長尾さんが哲学との出会いをきっかけに思考できるようになったんですね。高校ではその気付きをどのように生かしましたか?
「僕は旭川東高校に通っていたんですが、市内に常盤ラボという学生から社会人までが集まる学習スペースがあったんですね。なのでそこを利用して、高校生、大学の教授、社会人などを集めたパーティーの場で旭川の未来について議論しました。これが1年の冬です。

2年生になってからはまず中国に短期留学に行ったり、校内で行動経済学についてのプレゼンイベントを企画して100人を集めたりしましたね。」

ー高校生とは思えないほどの行動力と専門性ですね。大学受験はどのようなプランだったんですか?
「高2まではとにかく動くことに必死で高校の勉強をあまり勉強してなかったんですね。だから、とりあえず日本のトップの大学である東大合格を目指して高校でやるべき勉強をガッツリやろうと思いました。変な志望動機ですよね(笑)。

結局合格できなかったんですけど、後期で合格した北大の教育学部に進学することになりました。」

学外で動き回る

陸東南アジア

ー大学に入って1年生の時は何をしましたか?
「1年生の夏休みを使って、2週間ベトナムでビジネスを体験できる武者修行プログラムに参加しました。参加を決めた理由は2つあって、1つ目は、単純に海外に行きたかったから。2つ目は、根本的にビジネスとは何なのかを学び、体験したかったからです。

大学に入ってから、「自分が将来どう生きたいか、何をやりたいか」という問いについて考えたんですね。その時に自己実現のためにはビジネスという手段も選択肢に入ってくるなと思いました。」

ーなるほど。長尾さんの目的からするとそのプログラムがぴったりだったんですね。
「はい。そういうプログラムを探すために北大内のチラシを片っ端から見まくった結果、最終的に行きついたのが武者修行でした。もちろんそのプログラムではたくさんのことを学びましたね。その後はそのまま現地に残り東南アジアをバックパックで一周しました。」

ー素敵な夏休みですね!その後が気になります...!
「素晴らしい夏休みを送ることができたので、今度は次の長期休みをどう過ごそうか?と考え始めました。そんな時に僕のインスタに広告でリクルートが主催するプログラムであるWOW! BASEというものが出てきたんですね。「あ、面白そう!」と思って、勢いで応募しました。」

ー本当にすごい行動力ですね...。
「この時は、とにかく動きまくろう!という想いが強かったんです。自分自身に対しても「動け動け」と声をかけ続けていたように感じます(笑)。折角大学に入ったんだから、色んなことをやって学びまくりたいじゃないですか?

で、結局WOW! BASEに合格して、プログラムに参加することになりました。そこには、自分のやりたいことをやっている学生・自分のやりたいことを見つけようとしている学生が本当に多くて驚きました。この人たちとの出会いが本当に大きかったです。」

ーやっぱり人との出会いがキーになるんですね。2年生になってからは何をしましたか?
「本当にいろいろなことに手を出しました。台湾にいる友達と一緒に海外旅行者をターゲットにしたビジネスを始めようとしたけどコロナで挫折したり、WOW! BASEで仲良くなった友達と学生のコミュニティづくりに取り組んだり。

そのコミュニティづくりは、今は中断しています。それが2年の夏です。」

自分を見つめなおす

陸落ち着いたとき

ー今までたくさん行動してきた長尾さんがここで一旦落ち着いたんですね。
「はい。一回やることがなくなったのでいつもの如く、「次何しようかな!」と考えたのと同時に一個の問いが頭の中に浮かんできました。「おれってなんでこんなに動きまくっているんだ?」「何がおれを突き動かしたんだ?」と。

今までは「外へ外へ」と向かっていたので、一度自分の内面、生活を見つめなおすことにしました。」

ー一度立ち止まるのは大事ですよね。
「実際に自分の生活を見つめなおしてみたら、本当に悲惨だったんですよ。発狂ものです。自炊も掃除もしない。バイトも家庭教師しかしていなかったので、ビジネスとか学んでいたくせに実際の日本社会で起きていることを何も知らないことに気付いきました(笑)。

だからまずは自分の生活を整えることから始めました。掃除するとか、飲食店でバイトするとか、自炊するとか。」

ー身の回りのことをきちんとできていない人は大したことできないですもんね。実家暮らしの僕にはすごく刺さります...。
「そんな生活をしている中で、「自分の本当にやりたいことって何だろう?」という問いについて考えてみました。今自分が好きなものをたどっていくと全てコメディに行き着くことに気付きました。

おれはきっと笑いを生み出す人になりたいんだと思って、3年生になった今は友達と一緒に漫才を始めました。」

ー方向性のシフトがとてつもないですね(笑)でも、自分の本当にやりたいことを見つけれたのなら良かったですね!
「大学2年生の夏まではとにかく「動く」ことが目的になってました。でも一度立ち止まって色んな人と話してみた結果、「動く」とは自分の幸せの対象に向かっていくことなんだろうなと考えられるようになりました。その対象は自分の好きなことなのであれば何でもいいんだと思います。」

今後の展望とメッセージ

陸最近

ー長尾さんの今後の展望を教えてください。
「まずは自分の作品で人に笑ってもらうことですね。どういう種類の笑いがあるのか、どういう設計をすれば人は笑うのか、この二軸を突き詰めていきたいです。

なので大学卒業後は、笑いについて学べるところに行こうと思っています。お笑いの養成所とか。」

ーでは最後に、想いはあるけど動きだせない大学生に対してのメッセージをください。
「「選択をしなかったら何の良さもわからない」ということは強く伝えたいです。例えば、僕は起業しようとしました。で、実際にやってみると起業ってこんなに面倒臭いのかという発見がありました。だからこそ、起業しない人生ってめちゃくちゃ楽でいいなと身を持って体感できるんですね。

悩んでる時って何かを選択しようとしているときだと思います。そんな時はどっちでもいいから選択してください。たとえどっちを選んだとしても、どっちの良さもわかります。だから選択に時間をかけないでください。」




以上でインタビューは終了です。とにかく動き回る日々だった生活から一度立ち止まってみたことによって本当にやりたいことを見つけることができた長尾さん。

生き方に正解なんて無いのだから自分の生きたいように生きるのが一番大切なんじゃないかと考え直すことができ、本当に楽しいインタビューでした。

長尾さんの人生を書いたこの文章から何かのきっかけを得てもらえたら嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

取材・文:金子新太郎(FacebookTwitter

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