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同時通訳者の英語ノート術&学習法

同時通訳者の英語ノート術&学習法
工藤紘実・中経出版
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ここ最近英語の学習本の感想をあれこれ書いてますが、
「英語を仕事にしている人は、じゃあ普段からどんな使い方してるんだろ?」
と気になって読んでみた本です。大好きな「ノート」て字もありますし、学習法とありますし。
通訳の方だけじゃなく翻訳の方のものも興味がありますが、それはなんかいい本が見つかった時にでも…

通訳の方って当たり前ですがリアルタイムで言語の変換をしてるわけなんで、お話中で辞書とかひいてるヒマはないですよね。実際にやってみるとわかりますが、話しつつ辞書使うのってめちゃくちゃ時間かかりますもんね。(英語しか使えないイトコや、台湾での生活で経験済み)(あれはなんかもうどうにもならん…)
で、何の通訳かにもよるでしょうが、お話が専門的な場合も大変多いわけで…。ジャンルによって専門を作っている・売りにしているのかと思ってたんですが、そうそう都合がいいこともないよなあ…
拝読して非常にびっくりしましたが、通訳の方ってお仕事が入る前にそのジャンルの専門用語を逐一予習して一時的に大量に覚えていらっしゃるようなんですよね…なにそれ怖い…わたしなんて普通の会議で日本語ちゃんとするのに精一杯だというのに…
※ちなみに、過去に経験したことあるジャンルは自分なりの単語まとめみたいなものを作っておいて、次に来た時にそれをベースで学習するそうです。な、なるほど…(単語まとめを作るのが追いつかないこともあるそうで…)

当然ですが、直訳しちゃうとわけがわからない単語も多くて、通訳て単語が分かるだけではなく、双方の国の文化にも造詣が深くないと務まらないですよね。本の中では「たぬきうどん」が例で出てましたけれど、これ直訳すると「raccoon(ラクーン。たぬきそのもののこと)Noodles」になっちゃって、もうなにが何やらなわけですもんね。このくだりは面白かったw

ということで、通訳の方は日頃からずーっと勉強するのが基本とのことで…ひぇ…目指そうとしている方などはこの本めちゃくちゃ勉強・参考になると思います。普通に読み物として面白かったです。
こちらの本、通訳の基本のスタイルや、どういった種類の仕事があるか、それぞれどういったことを行うか、それらはどう違うか、などなど、通訳の仕事への理解がめちゃくちゃ深まる本です。通訳をする予定も利用する機会もほぼ無いでしょうが、普通に勉強になりました。

学習法はもう基本中の基本の
「繰り返しと継続」
とありました。語学学習はこれはやって当たり前・前提なんでしょうね。
やはり気長な勉強のジャンル…あと楽しまないと続かないだろうなあこれは…
わたしの友人に趣味が勉強の人がいて、初めてそれを聞いた時は
「んな物好きな!」
と驚いたものでしたが、話を聞いてると大変ロジカルというか、なるほどそりゃ当たり前だな。確かに面白いな、て思う内容だったので、自分もそんな感じです、て人は向いてそうですね。逆にそういった習慣がない人は、まず勉強を「日常の当たり前」にするところからかしら。一度覚えちゃうと先々何するにしても便利そうですね。
学習法だけでなく、スケジュール管理や時間へのシビアさなども記述があって、通訳や英語の学習だけでなく、社会人・自営業の人の細かい自己管理も覚えることが出来るのではないでしょうか。

もちろんですが「繰り返しと継続」だけじゃなくて、ちゃんと実用的な学習方法や、ご自身は何を使ってどう学習したか、などもわかりやすくまとまっている御本です。
表題のノート術に関してはちょっと…職業特化すぎて、他の仕事の人が日頃のどういった点に活用出来るかはなんともわからないところなんですが、インタビュアーの人とか、取材が多い人は結構いいのかな…?2014年の御本なので、細かいところ(手法なり道具なり)はアップデートされてるかもしれませんが、それは各人が使いながら手元更新したらいいんじゃないかなと思います。
通訳の方は当たり前ですが「会話」がベースなので、トレーニングは「聞き」「喋り」が強めですね。翻訳家の方だと「読み」「書き」のジャンルのトレーニング法が強めなのかな?
・シャドーイング
・サイト トランスレーション
・リプロダクション
といった学習の手法が紹介されてました。それぞれどういったトレーニングかは各人ググるかこの本を読んでみてください(丸投げ)(説明まで入れたら大変だよ!)。
また、母国・母国語の学習も欠かさないよう促しています。過去に読んだ英語学習本でもここは注記されるものだったので、やはり双方の文化を補足説明などする機会も多いんでしょうね。
英語学習方法の本も数を読むと、細かい手法の違いはあれど
「これはみんなやってる」
といったトレーニングや使う媒体など共通点が見えてきますので、確実に抑えておいたほうがいいものが分かってきてそこはいいですね。

ということで、英語学習の目的がはっきりしている方や、通訳に憧れている方、聞く・喋るの必要が多くなりそうなんだよな…て方、スケジューリングやメモ術でひとつ上を目指したい方などなどはぜひぜひ。

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