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心の殺人者

タイトル:(仮)心の殺人者

▼登場人物
●ゴードン:男性。40歳。ストーリー現在では母子家庭。母親思い。エレナにぞっこん惚れ込む。
●エレナ:女性。35歳。郊外の大豪邸に住む。両親は既に他界。見た目は清楚に見え絶世の美女。正体は犯罪のエリートで阿婆擦れ気質も備えていた。
●ゴードンの母親:女性。70歳。持病を患っている。息子であるゴードンの事を第1に思う。本編では「母親」や「母さん」と記載。
●浮浪者1~2:男性。初老。そこら辺に居る一般的なイメージでOKです。エレナに雇われ利用されていた(用済みになれば口封じのため消される)。死体はエレナの豪邸の地下室の様な場所に収納される。
●フーゴ:男性。40歳。エレナの元恋人。両親は事故に見せ掛けられエレナに殺されていた(理由は愉快犯と彼に飽きたから)。

▼場所設定
●ゴードン家:市内にあるそれなりに大きな屋敷。
●エレナの家:郊外にある大豪邸。部屋が幾つもあるイメージで。
●街中:スラム街や公園など一般的なイメージでお願いします。

NAはゴードンでよろしくお願い致します。

イントロ〜

なぜ犯罪が起きるのか?
あなたは考えた事がありますか?
よく言われるのは欲望の為。
その人がそうしたいから犯罪が起こる。
つまりそうしたいと言うその内容が法を犯すものになるわけです。
しかしこれは誰の心にもある見えない闇の部分。
その闇が犯罪を達成させるので、
一見ではその人が犯罪者かどうか見分けがつきません。
特に愛してしまった人、気に入った人がそばに居れば、
その人に対する偏見を少し横に置いたほうが良いかもしれません。

メインシナリオ〜

ト書き〈スラム街で彼女を助ける〉

ゴードン「やめろ!やめるんだ!」

浮浪者1「チッ、クソ!!」

エレナ「ハァハァ…あ、ありがとうございます…」

ゴードン「大丈夫ですか?」

俺の名前はゴードン。
ここ界隈に少し前に引っ越してきた者だ。
ここら辺は余り治安が良くなく、
特に女性の夜道の一人歩きはやめるように…
なんて看板もそこかしこに立っている。

俺はその夜、浮浪者に襲われていた或る女性を助けた。
彼女の名前はエレナと言った。
ここから少し外れた郊外に住んでいるらしい。

ゴードン「でも何だってこんな夜道を1人で…」

エレナ「どうしても出かける用事があったもので…。本当は嫌だったんですけど、まぁ滅多な事は起こらないだろう…なんてタカをくくっちゃって…」

彼女は抜群の美人だった。
その上でどこかに気品のようなものが漂い、
「絶対イイとこの生まれの娘(こ)だ」
と俺は直感していた。

その通り、彼女は郊外にある大豪邸に1人で住んでおり、
両親はもうずいぶん前に他界したとの事で、
一人っ子だった彼女はその両親との思い出を捨てられず、
それまでずっと住み続けてきたその家に住んでいた。

その夜、彼女が郊外からわざわざこの市内へ出てきた理由は、
彼女の母親が好きだったランの花が枯れてしまい、
代わりの花を買いにここまで来て、もし店が閉まっていれば
そこら辺で綺麗な花を見つけ、
それを摘んで帰ろうと思っていたらしい。

ゴードン「ずいぶん親思いなんですね」

エレナ「いえ、私にとっては当たり前の事ですから」

彼女は何度もお礼を言って、その夜は別れた。
でもその日から、俺の心には彼女が住み続けたのだ。

ト書き〈数日後〉

それから数日後。
また夜道を歩いていると、今度はひとけのない公園横の道で
女性が誰かに襲われている。

ゴードン「ほんとにここは治安が悪い。警察は一体何やってんだ」

そんな事を思いつつ正義感の強かった俺は、その声がするほうへ行き、
何がどうなってるのかを確認しようとした。

するとやはり1人の女性が少し体の大きな男に襲われており、
よく見るとその男も浮浪者のようだった。

ゴードン「おいやめろ!何やってる!」

俺がそばへ近づくと…

浮浪者2「チッ、クソ!いいトコで出てきやがって」

なんて憎まれ口を叩きつつ、すぐに走り去った。

ゴードン「あ、君は…」

エレナ「あ…あなた」

お礼を言おうとした彼女が俺を見上げた時、驚いた。
今襲われていた彼女はあの時スラム街で襲われていたあの彼女、エレナだった。

エレナ「ほ、ほんとにお恥ずかしい所ばかりをお見せしてしまって…」

ゴードン「いや君が謝る事じゃないよ」

にしてもこんな短期間で、2度も同じようにして
同じような奴らに襲われる彼女を目撃するとは。

でもそれからだった。
俺と彼女の関係は急に接近し始め、更にお互いの事をよく知り合い、
それから数週間、数ヶ月と、一緒に過ごすようになったのだ。

一緒に過ごすと言ってももちろん街中。
彼女はやはり気品溢れる育ちの良い娘(むすめ)だったようで、
紹介されてもないのにいきなり恋人になる…と言うのはタブーだった様子。

とは言えそんな感じで
デートらしき事をしたのは彼女にとっても初めての事。
そして俺の場合もそんなにモテるほうじゃなかったから
こんな彼女にこんな形ででも出会う事ができ、
心密かに絶頂の喜びを感じていたのだ。

実は俺にとって彼女は心底タイプの人だった。

(デートの時)

ゴードン「あ、よかったら今度さ、僕の家に来ないか?君を歓迎したい」

俺の家には今、年老いた母が1人住んでおり、
数年前に他界した父への悲しみを俺が慰めながら、
母子ともにひっそり暮らしているそんな状況だ。
ただ経済的には豊かで、
将来を安泰させられるぐらいの経済力は確かにあった。

そう、俺は彼女との結婚を考えていたのだ。

エレナ「え、でもいきなりそんな事…。良いの?」

ゴードン「え?来てくれるんだね?」

エレナ「あ、あなたと、お母様さえよければ…」

急に赤面し恥ずかしがっていた彼女は
更にもう少し俺が誘うのを待っていたかのようで、
俺が「良いに決まってるさ」と言った瞬間、
2つ返事で俺の家に来る事をOKしてくれた。

ト書き〈ゴードン家〉

エレナ「まぁ立派なお屋敷」

ゴードン「ハハ、大した事ないよ。さぁどうぞ、母が待ってる」

その週末、俺はエレナを自宅に招待した。
母はリビングで彼女を待っていて、彼女が入ってくるなり
満面の笑みで迎えていた。

母親「今日はようこそいらしてくれて、ささどうぞお楽にね」

それから暫く3人で談笑し、俺達がどうして出会ったのか、
また彼女のこれまでの生い立ちはどんなものだったのか。
そんな事を話せる範囲で語り合い、
時間が経つのも忘れるほど楽しいひとときを過ごした。

母親「あはは、それは災難だったわねぇ。息子が丁度通り掛かって本当によかったわ。…ゴホゴホ、ゴホン!エホエホ…」(咳き込みながら)

ゴードン「母さん、大丈夫かい?そろそろ休む?」

母親「あ、ああそうだね。エレナさん、本当にごめんなさいね。お見苦しい所を見せてしまって」

エレナ「い、いえそんな」

そう言って彼女は俺の顔を見て、
「早く連れて行って休ませてあげて」
と小さく勧めてくるようだった。

そして母親を寝室まで連れて行き休ませた後、
またリビングへ戻ってきて彼女を送ろうとした。
でも玄関を出た所で…

エレナ「もう良いわ、ここで結構。早くお母様のそばへ行ってあげて」

ゴードン「え?大丈夫だよ」

エレナ「いいえ、お母様のほうはきっと寂しがってらっしゃると思うわ。…私、まだ若い時に母を亡くしたものだから、つい…。もう本当に大丈夫だから、早く行ってあげて」

親思いの良い娘。
俺は更に彼女に惚れてしまった。

(母親の寝室にて)

でも…

ゴードン「え?どう言う事だい?」

寝室へ戻ると母は良い顔をしていなかった。

母親「あの子、どうも信用できないわ。あなたの為を思って言ってるのよ。あなた達が出会ったきっかけにしても少し出来過ぎのような気がして…」

ゴードン「出来過ぎって何だい?俺は偶々あの日あの道を通っただけで、彼女が前もって仕組むなんて出来ないだろう?」

母親「にしてもどうもねぇ…」

きっと息子を奪われたくない母親特有の嫉妬だと思った。
俺は一人息子。
彼女と同じく、両親に大事に育てられてきた。
だから余計に子供が可愛いんだろう。

でもそれを聞いて俺の心は挫折するほど折れていたのだ。
「母さんがどう言っても、何が何でもあの子と一緒になりたい」
そう本気で思い始めたのはその夜からだった。

ト書き〈エレナの家に〉

それから数日後。
俺はまた楽しげな公園でエレナと会っていた。
もちろん母さんが言った事は彼女には内緒で。

ゴードン「今度、君の家にも行って良いかな?君がどんな暮らしをしてきたのか、やはり知りたくなって」

さすがに初めの内は肘鉄を食わされる、
そう覚悟していたのだが…

エレナ「ええ、良いわよ。あなたのおウチにもご招待されたんだから、私の家に招くのも礼儀よね」

と言ってすんなりOKしてきた。

ゴードン「ほんとかい!?」

俺はもう嬉しくて堪らなかった。
これまでの彼女のあり方から見て少し不思議に思ったのも事実だが、
「きっと俺の事を彼女も認めてくれた」
そう思う事にしてその週末の土曜、
俺は彼女の家に招かれる事になったのだ。

(土曜日)

でも自宅と言っても、彼女が1人で住んでる大豪邸。
初めに聞かされていた通り彼女の家は余程に大きく、
どこかの貴族の娘…そんな様子を彷彿させた。

ゴードン「やっぱり凄いや、ウチじゃとても敵わないな」

エレナ「そんな事ないわ。1人で住んでると、大きな屋敷と言うのは時々自分の棺桶に見えてくるものよ」

彼女はどこか寂しそうにそう言った後…

エレナ「さぁどうぞ、お上がりになって」

と俺をリビングに通してくれた。
そして暫く談笑した後トイレに行こうと席を立った時…

エレナ「あ、そっちじゃなくてこちらのドアからよ」

とドアを間違えた俺を
慌てて追いかけるようにして自分も席を立ち、
トイレまでちゃんと案内してくれた。

ゴードン「いやぁごめんね♪君の言う通り、大きな屋敷だとそれが違ったものに見えてくる事もあるね。僕の場合は『迷路』に見える♪」

エレナ「あはは」

でもトイレに入り1人になると、少し不思議を感じる。
さっきの慌て様(よう)、何となく尋常じゃなかった。
母の言葉が効いていたのか。
俺は少し神経質になっていたのかもしれない。

ト書き〈オチ〉

でもそれから僅か数日後の事。
或る男が南部からやって来て俺とエレナの間に現れ、
彼女の実情を全て暴露したのだ。

フーゴ「君、今彼女と付き合ってんだって?やめたほうがイイぜ、あいつは危険な奴だ」

彼の名前はフーゴと言い、父親はイタリア系で
アメリカ生まれの母親の元へ身を寄せる形で引っ越してきた。
昔、エレナと関係を持った事があったらしい。

でも彼は数年前に壮絶な事故に遭っていたらしく、
両親をその事故で失い、彼も右腕に大怪我を負い、
よく見ると今、彼の右手は義手だった。

フーゴ「全部、あの女がやったのさ。証拠をあげられなかったから事故になっちまったけどな。あの女は今世紀始まって最大のあばずれ、犯罪のエリートのような奴だ…」

フーゴは遠目から俺とエレナ一緒に歩いているのを見ていたようで、
彼女には内緒で俺にだけ会いに来てくれた。
もし俺がその後それなりの行動を取らなかったら、
彼自身が彼女の前に立ちはだかり、自ら復讐を遂げようとしていたと言う。

彼にそう聞いてから俺はもう1度彼女の家に行き、
彼女の秘密を全て明るみに出してしまった。
そのとき俺の後ろには警察を控えさせ
彼女の家周りを取り囲んで貰っていた。
警察に知り合いが居て良かったと言うところか。

あのとき彼女が隠して居たあの部屋。
そこには数人の浮浪者の死体が山積みになっており、
彼女が犯罪に使ってきたいろんな物も散乱していた。

彼女は確かにフーゴの言う通り。
あばずれで、犯罪のエリートだったのだ。

浮浪者をたらし込み、俺のあとをつけ、
わざとその浮浪者に自分を襲わせて俺の気を惹こうとしていた。

理由は彼女のほうも俺に少し興味を持ったから。
少しでも興味のあるものは一応手に入れておきたい…
それが彼女のモットーだったらしい。

初老の浮浪者を生贄に選んだ理由は、足がつきにくいから。
身寄りが無く、関係者と言っても浮浪者仲間で、
世間的にはどうでも良い存在とされ注目されない。
そう言った彼らを彼女は更に前もってピックアップしていたらしい。

彼女は全ての「事故現場」とされた犯罪場所で証拠を残さなかったが、
その部屋が明るみに出された以上、
これまでの犯罪歴を物語る証拠が面白いほどボロボロ出てきた。

一種の賭けのような試みだったが、
とりあえず自分の将来を守るため無駄じゃなかった。

彼女はその場で逮捕され、
のちの裁判では極刑に処される事になってしまった。

(裁判にて)

エレナ「もう少しだったのに…」

彼女が法廷で放(はな)った第1声はそれだったと言う。

動画はこちら(^^♪
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